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2023年8月28日の乾杯

2023年8月28日の乾杯。4年ぶりに開催された高円寺阿波踊りの話やおじさんが観たいろんなタイプのお芝居のことを、たっぷりに語り合います

👨演劇のおじさんと
👩おねえさんです。よろしくお願いします。
👨お願いします。今日も暑かったですよね。
👩いやぁ、まだまだ暑い。暑い日が続いておりますが。 
👨まあ、夏ということであちこちお祭りがあったりとかね。中央線沿線でもいくつかお祭りやイベントがあってね。
👩まあ、私はいろいろと都合があって。出たいけれどなかなか出られないのだけれど。
👨そういえば。私は高円寺の阿波踊りってあるじゃないですか。
👩はいはい、ありますね。
👨あれが4年ぶりの開催ということでね。
👩ああ、はい。なんかもう凄い人出みたいですけれどね。
👨そうそう、なにか高円寺の町全体が踊り場と化すというね。

掲載の写真に問題がありましたらお知らせください。対応いたします。

👩いやぁもう、まっすぐ歩けなかったりするでしょ、あれは。久しぶりだから。みんな待ちわびていたから凄いことになっていたのでないかなぁと。
👨いや、その日たまたまちょっと中央線沿線に出かける先があって、帰りに様子だけでも見ていこうと思って寄ったのですけれどね、5時ちょっと前に高円寺に着いたら、その時点で簡単には駅から出られなくて。本当のことを言うと、高円寺でちょっとご飯を食べましょうということで知り合いと約束していたのだけれど。
👩ああ、そうだったのですね。
👨それが高円寺に着く直前に、「会うだけでも無理っぽいし、目的のお店にもたどりつける保証もないので今日はばらしましょうっていうLineが入ってきて。でもそれを読んでいる間に高円寺に到着したのでホームに降りたら、凄い人でこれはさもありなんって思った。
👩なんか一方通行がめちゃめちゃ増えるんだよね。
👨うん、そう。どこか目的地があってもそこに着くまでが完全に迷路みたいになっていましたからね。
👩うふふ、わかるなぁ。
👨高円寺って劇場がいくつかあるから、まあまあ馴染みの街で、一応土地勘もあるのだけれどね。でが、待ち合わせとかは無理だよ、あの人の流れでは。個々に高円寺を楽しむということで正解だったと思う。
👩じゃあ、しっかり見ることができたんだね、その分。
👨うん。でも想像をはるかに超えていましたね。前に高円寺で、杉並区が主宰ということで地域振興の催しがあって、そのなかで阿波踊りをテーマにした演劇が上演されたのですよ。マチルダアパルトマンの池亀三太さんが作・演出をしてね
👩へぇ。
👨高円寺の阿波踊りがどのように始まって、どんな苦労や経緯があって、世代を繋いで広がっていったかという経緯がその中に綴られていて。それを観たのでとても興味を持ってもいて。で、最後には阿波踊りってこんな感じなのですよって有名な連の人が日替わりでさわりを演じてくれたりもして。
👩へぇ、凄いね。
👨だから、一度は生の阿波踊りを観たいとずっと思ってはいたのよ。
👩うん。
👨着いた時には始まる直前で、もう1m進むのもけっこう苦労みたいな感じだったのだけれど。始まって少ししたあたりでようやく割合に通りが見渡せる場所というか人と人の間に潜り込むことができて。あれは凄いわ。
👩いやぁ、見応えがあるよね。あの近辺に住んでいて観たことのない人は是非いってもらいたいなぁ。一度でいいから。
👨そう。
👩一回は観ておいて欲しいなぁ。あれは本当に凄い。街が全部お祭り会場になっているからね。
👨そうそう。

掲載の写真に問題がありましたらお知らせください。対応いたします。

👩あの、歩いたりするのは大変だからね。場所を定めて。まあ、阿波踊りを観ることが出来るお店とかもあるのだけれどね、
👨あぁ、あるみたいね。
👩でも、めっちゃ高いし予約でもうパンパンなのよ。
👨うふふ。いや、今どこでもそうじゃない。お祭りになると指定席がものすごく高いとか、新聞でも問題になっているじゃない。
👩それこそあれだよね。阿波踊り。阿波踊りって本物はどこでやっているんだっけ。
👨阿波の国は徳島でしょ。
👩ああ、徳島か。この間その徳島の阿波踊りをこの前やって、そこのいい席。次々に連が踊りぬけていくそこの道沿いに段が組まれていてそれも有料みたいなのだけれど、道を跨いで客席も作られていて。もちろんそこでは地元の名産というか和牛や海の幸やおいしものもずらっとついて、説明もついて、でも一人一席20万円なんだって。
👨あぁ、なるほど。
👩凄くない。でも、わかるのよ。そこまで手厚い。もうどんどん迫ってくるというか。
👨で、多分、演じる方もいつもよりたくさんやるんだよね、その場所は。
👩うふふふ。いやぁ、どうなのかなぁ。まっすぐ進んでくるだけだからねぇ。そこだけたくさんやると後が詰まってしまうから。
👨でも、観ていると、というかひがし演舞場のちょっと行ったところでみていたのだけれど、
👩ああ、ごめん。今いったのは徳島のだよ。
👨徳島もきっとそうなのだろうけれど、高円寺も多分演舞場を踊りすぎてくというのは同じで。あの、まず白い線が引いてあって、そこからのスターとのところで。で、そこから踊りこんできて、真ん中あたりでそれぞれの連の見せどころをつくるところがあるのね。
👩あぁ、決めのところをね。
👨そこには、多分招待客とか有料のお客さんのいる本部みたいな場所があって、時間もとって。拍手をもらって更に進んでいくみたいな感じなのよ。
👩はいはい。
👨高円寺の場合は8の字型にコースが定められていて、それぞれの通りを演舞場としていて。全部で8つ演舞場があるのかな。それぞれの中央で決めをやって過ぎていくみたいな感じなのだけれど。
👩うんうん。
👨でもね、その先頭が白線に足をかけて、これからっていう最初のところも凄くいいんだよね。最初に鐘がちょんちょんとなって女性の掛け声があわさって一斉にはじまるところも凄く迫力があってね。
👩ああ、そうね。
👨連ごとにみるたびにぞぞっとくるんだよね。
👩うふふふ。わかるなぁ。
👨私はもっとクラシックで和風のものだとおもっていたのだけれどね。まあ、女性の方が笠をかぶって華やかな着物をお召しになって下駄をはいてという感じも、足袋をはいて粋なすがたで踊る男踊りもあって、お囃子があってというスタイルは定まっているのだけれど。そのお囃子のリズムが、どう聴いてもラテンにしか思えない連もいくつかあってね。
👩そういう連があったということ?
👨うん。なんかただの和風のお囃子だけではないよね。
👩えぇ、どうなんだろうな。よくわからないなぁ。でも、使っているのは昔ながらの曲でしょ。
👨うん。まあ、曲というよりはリズムが圧倒的に勝っているお囃子ではあるのだけれど。あと、連によってその曲調もけっこう違っていてね。
👩むしろ、ほかの国のなにかが入っているというよりは、その祭の魂みたいなところが共鳴しあっているというだけじゃない?
👨あぁ、そうかもしれないね。でも太鼓なんかをタムタムみたいに鳴らしている連もけっこうあってね。
👩ふーん。
👨特に決めのところなんかは連ごとに自由に踊るから。
👩あぁ、そうですね。
👨和のリズムだけでは収まり切れないところもあるのだと思うのね。
👩なるほどね。
👨そもそも、阿波踊りってどの連も阿波踊りという同じリズムや振付で踊っているのかと思っていたのだけれど、ベースのフォーマットはありつつ連ごとに全然違うのね。
👩そうなんですかって・・、まあ確かにいろんなのがあったなぁ。
👨あと、掛け声というのかなぁ、踊り手が声をそろえて言うセリフもあって。
👩そうだね。
👨それも連ごとに違うし。で、その言葉を拾っているとパターンもいくつかあるし自分の連の名前をおりこんでいるところなんかもあって面白いの。
👩うんうん。
👨あと、参加している連も元々地場で活動しているところだけではなく、あちこちの地方からやってくるところもあるし、企業で連を作って参加しているところもあってね。
👩あぁ、うん。
👨そうすると、マイクロソフト連とかコムシス連とかが出てくるわけよ。あと郵便局の職員の方たちの連とかとかNTTの方たちの連とかもあるのよ、区役所の方たちとかね。
👩あぁ、いいねぇ。
👨そこにはいろんな個性も出てきて、たとえば郵便局の連の高張りのてっぺんにはポストがついていたりするのよ。
👩うふふ、可愛い。それは可愛いね。
👨あと、一番笑ってしまったのはNTTの連で、男踊りの中にうちわ代わりに受話器をもって踊る人がいたりもしてね。
👩あははは。
👨そういう工夫があったり、もちろん踊りが切れていたり見事だったりするところには拍手も大きいのよ。
👩「おぉっ!」てなるのね。
👨17時から20時までで、最初明るいころは連と連の間隔もゆったりしていて、メインのところで前の連が踊り終わるのを待って連がスタートみたいな感じなのだけれど、だんだん暗くなってきてライトがつくころには会場も熱を帯びてきて。また、19時を過ぎると場内放送もあと1時間ですとか30分ですとか煽っていくのよ。
👩うふふ。ああ、そうなんだ・
👨そうすると連の間隔もつまってきて次から次へみたいな感じになってくる。
👩おもしろい、迫力があるよね。
👨あれも、ショーの演出の一種だよね。
👩うん。
👨それで、15分前とか10分前とかどんどん刻んでいって、最後に3分前とかいうころにはみんなガンガンに踊って、で、20時には潔くみんなピタッと終わるの。
👩あれ、めっちゃいい。かっこいいってなる。
👨そう。観ていたら、たまたま存じ上げている俳優も踊っていらっしゃいましたけれどね。
👩あはは、そんなことある?
👨でも、俳優の方というのは身体表現者でもあるので、踊りとかはきっと得意なのではないかと。
👩まあ、もともとそういうものになじみがあればねぇ。
👨だから高円寺近辺出身の方だったりすると。
👩高円寺?徳島ではなくて?
👨だって、高円寺で踊るのは高円寺近辺の人じゃないですか。
👩いや、それはそうだけれど、元々の魂は徳島にあるのかもしれない。
👨あの、オリジナルは徳島かもしれないけれど、高円寺は高円寺で地域復興のために始まったという歴史があることは、以前に観たお芝居からも学んでいて、
👩なるほどね。
👨その、地域の人が街を盛り立てていこうという気持ちが積み重なって、積み重なって、今があるものだから、やっぱり高円寺の阿波踊りは高円寺の魂でもあるとおもうんだよ。
👩うん、なるほどなるほど。
👨全国にはいろんなお祭りがあるけれど、その場所で続いていくということはそこに魂を持っているからだと思うんだよね。ねぶた祭りにはねぶた祭、祇園祭に祇園祭みたいなね。
👩うんうん。
👨ただ、さっきの話には戻るけれど、ねぶた祭りのときには1グループ100万円の席があったんでしょ。
👩そうなの、凄いねぇ。
👨ただ、それはグループ席だから7~8人で利用できるんだって。
👩でも、でもね。
👨うん。
👩なんかそういうのって増えてきているし、花火大会の席がどうのこうのって揉めたりしたりさ。
👨ああ、あったね。
👩でも、結局のところ、いいか悪いかはとりあえずおいといてさ、住み分けができているというか、ある程度のお金を払えば快適に観ることができるという選択肢があるのはよいかもとは思った。
👨うんうん。
👩ただ、花火に関してはやり方がちょっと。お金を払わなけれだ観るなみたいな感じになっていたから。
👨あの、琵琶湖の花火みたいに、柵をつくってというのは流石にやりすぎかなぁともおもうのね。
👩でも、思うのよ。柵を作らなければみんな留まって観てしまうからとうのも、今までは有料席のところに留まって観ていたということなのだろうから,その住み分けはねぇ。有料席だったらお金をとるのだからちゃんと席でやりようだろう見てもらいたいというのもあるだろうし、そこは、うーん、やりようだよねぇ。
👨だからそこは行政の手腕なわけですよ。
👩あまりにも、あれはダメ、これはダメというのもねぇ。
👨地元の住民からすると、人も混むしあとにはゴミも残るし大変なのに。いままでは花火をみることができるからそれでもしょうがないかと思って我慢していたのに、その花火も観ることができないとなれば我慢できないというのもわかるよね。
👩そうしたら、勘弁してくれとか、ここでやらんでくれってなってしまうよね。
👨だから、近隣の自治会が花火は反対ですって言いだしてしまったわけでしょ。
👩そうなるよね。正直やり方がおしゃれではないなぁっていうか。ちょっと強い言い方をすれば、貧乏人は花火を見るなみたいなことになるわけでしょ。
👨あははは。まあねぇ。
👩ケチは観るなみたいな、そういう風にとられてもしまうわけじゃない、あのやり方だと。そうではないやり方だってあるはずだけど、そう見えてしまから。
👨うん、映画の中での「埼玉人は草を喰え」というのとおんなじだよね、その根にあるのは。
👩反感を買ってしまうのかなぁとは思うよね。その、どうにかこうね。絶対的にお金を払ってという席で観る方はその分良い席で観て欲しいし、快適に見る権利を買っているわけだから。それは守られてほしいのだけれど、ただもう少し綺麗な言い方ややり方はなかったのかとは。
👨そう考えると、高円寺はすごくそのあたりをちゃんとしていたよね。
👩ああ、そうだね。
👨本当にしっかりしていた。たとえば連がいくつかとおるとその後にはボランティアのひとが通って沿道のごみをしっかりと回収していたとか。
👩凄いよね、その辺は。
👨それはもう、観る方からすると頭が下がる思いだよね、そういうのは。
👩ほんとだよ。というかみんなごみを捨てるなとはおもうのだけれど。
👨まあ、お祭りだし、飲食物も販売されているし、飲み食いもするしね。
👩いや、飲み食いしたものをそのあたりにぺいぺい捨てるという感覚がわからないのよね。飲み食いするのだったらゴミ袋くらい持っていけって思うのよ。
👨まぁまぁ、それはそうだよね。
👩というか、捨てたゴミがなくなるわけではないのだから。言ってしまえば、あなたの家に祭りだからと言われてごみをぽんぽん捨てられたらどうなのかというのと似ているじゃない。まあ、わからない人はわからないみたいだけれど。
👨いずれにしても、綺麗な所でみると女踊りの衣装の可憐さも踊りの美しさも、男踊りの衣装や踊りの粋なんかも映えるしね。
👩うんうん。
👨あと海外からの方もたんと来ていてみんな夢中になっていた。
👩うふふ。そういえば最近は海外からの旅行の方って多いよね。
👨うん、多い。
👩なんかすごく人が多いなって思うもの。
👨うふふ。
👩でも、来てくれるのって嬉しいよね。
👨うん。たまたま見ていたところの隣にいた人たちが外国の方で。まあ、夫婦でこられていて、偶然の阿波踊りに遭遇したみたいなのだけれど、旦那さまも英語がよくわからないみたいで。多分スペイン語がネイティブだと思うんだよね。
👩はいはい。
👨だから、拙い英語どうして、問われるままに説明もしていたのだけれど。たとえば踊りには男踊りと女踊りの2種類があってそこにバンドがついてひとつのグループなんだよとか。
👩なるほど。
👨あの一番前にあるやつはなんだとかいうから、あれはトラディショナルなライトで「ちょーちん」というのだよ、それぞれのグループの名前がかいてあるのだよとかね。そういうのを話しながら楽しんでいましたけれどね。あの、女性の踊り子が前を通ると旦那さんがめちゃくちゃエキサイトして、奥さんが頭をぶっ叩いていた。
👩あははは。
👨まあ、でも、楽しかったですね。
👩それはなにより。良いものを観ましたね。
👨あれは、来年も行こうと思えるようなエンターテイメントだよね。
👩うん。ところで、少し話を変えて。最近観た舞台もあるんじゃないですか?
👨えっとね、あの、avenir’eという団体がありましてね。そこが『#VALUE!』というタイトルの公演をしたんですよ。

Paperback Studio

👩はい。
👨場所も初めていくところで。京王線の千歳烏山と芦花公園のちょうど中間くらいにあるPaperback Studioというところなのですけれどね。行ったことあります?
👩ないです。
👨地下にある割と小さめのスペースで、そこに客席も持って組んでいて12~3並べてみたいな感じだったのですけれどね。
👩うんうん。
👨で、そこで、AIってあるじゃないですか。そのAIと人間が会話をする態のお芝居をやっていたの。
👩へぇ、面白いね。
👨もちろん、人口知能がお芝居をやっているわけではないのだけれど。
👩それはわかっているよ。前にもアンドロイドと人間がお芝居をしているものもあったじゃない。
👨そういうのはあったからね。平田オリザ先生がされていましたからね.
👩すでにもうあるというか。
👨ただ、それとはまた違っていて。要はカップルがいて、旦那さんが病院に運び込まれてきたということで、奥さんがその病院の医療スタッフから説明を受けるところからはじまるのね。最初は応答がぎこちないしうまく伝わらないのだけれど、奥さんの言葉から、夫婦の人間関係が少しずつうまくいかなくなって、旦那さんが心を病み睡眠薬を飲み始めた中で、次第にAIに依存していったことがわかるのよ。AIは最初の会話こそぎこちないけれど次第に学習して旦那さんの心を捉えるようになって。AIというのは深層学習じゃないけれど経験のなかで相手を隔週して、分析してその人に適した会話というか旦那が慰められる会話をするようになっていくわけ。でも、奥さんとはやはり理解しえないところがあって、とあることでショックをうけてかつてもらっていた睡眠薬をオーバードースしてしまうという物語なのよ。                                        
👩へぇ。
👨でも、奥さんがそういう話をしたあとに、もうひとりの医師が来て、彼はアンドロイドであることを告げて、申し訳なかったと詫びるのだけれど、奥さんもAIとの会話に浸潤されて彼と話したいと医師にお願いをするの。
👩ほぅ。
👨AIって最初はステレオタイプな会話しかしないけれど次第に、相手の態度とか反応とかを学習して変わっていくじゃない。そうすると人間もだんだんAIの供するものに取り込まれていってしまう。ましてや人間どおしというか夫婦での会話の場面などもあると、AIが人間に沁み込んでいくというか取り入って人間との距離感のなくなっていく感覚が直感的にすごくうまく作られていたように思う。
👩うんうん。
👨で、その感覚って多分文書に書いても戯曲として読んでもわからないのだと思うのね。
👩私も、話を聞いていてもそうなんだっていうくらいで、うまく想像ができない。
👨想像ができないでしょ?
👩よくわからない。でも、すごく良いことだよね。舞台で初めてわかるって。それは舞台でしか見られないということだから。それはすごいよ。
👨なんというか、文字情報的な体験ではなくて空間での実体験をしないとわからないような感覚があってね、なんだろ、それは恐ろしいことにも思えるのだけれど、体感として妙に納得もしてね。
👩うんうん。
👨途中にはなにかイメージのようなものが差し入れられたりもするのだけれど、それもとても良く出来ていて自然に納得したりもしてね。最後にはこの作品はChatGPIを使って作りましたという文章が表示されて終わりなのだけれど。まあ、どうやってこれから人間が、たとえば介護にしたってそうじゃない、たとえば私なんかが20年くらいしたら絶対にAIに介護してもらうようになると思うのだけれど。
👩うーん、そうかなぁ。
👨うん。
👩いやぁ、そうはならないんじゃない?AIにはできないことがいっぱいあるじゃないですか。
👨いまは出来なくても。たとえば5年前にはAIが絵を描くなんてあんまり考えられなかったじゃない。
👩でもさ、AIは考えることはできても、それを全部行動に移せるかというとそんなことはないから、やっぱり
👨全部は無理かもだけれど、それが極めて無限大に広がってはいくんだよ。どんどん学習をするから。それがどこまで人間に近づいていくかみたいな話はあるかとおもうけれどね。
👩はい。
👨演劇というのはいろんなことを表現できるけれど、ああやって感覚としてわたすべきことを表現できるというのも一つの可能性かなぁって思ったりもして。
👩うんうん。
👨まあ、キャパが少ない空間で美術などもあまりなくて、上手にお医者さんや患者などが座る長椅子があり、あと下手奥にパソコンがあり、センターに机がみたいなかんじで。
👩はい。
👨それはとても無機質な空間にも思えて。で、夫婦の関係というのはやっぱりどこかどろどろしているわけじゃない。
👩うん。
👨そういうドロドロした関係より、時に人は無機質な関係に惹かれてしまうんだなぁと思うこともあって。シンプルに。
👩ああ、まあ、自己投影しやすいというか。邪魔が入らないみたいなところもあるのかもね。
👨そうそう、というか、AIってどんどんその人用にカスタマイズされていくわけじゃない。
👩うんうん、でもそうやって依存していくうちになにかがあると絶望で動けなくなってしまうこともあるので。最近さ、ちょっと前になるけどさ、ペットロボットっているじゃないですか。
👨はいはい。Aiboみたいなね。
👩それは随分古いなぁ。最近は全然違うのよ。なんていう名前だったかなぁ。いるのよ。カフェとかもあるのよ。
👨ああ、私それ知ってる。
👩あの、丸っこいやつ。そう、LOVOT。
👨うん。
👩LOVOTとかもう家族だものね。LOVOTを迎えている人たちにとってはもう家族だからさ、こういうことだろうなって思ったの。
👨多分人間の中には必ずそういうものを求める気持ちというのがどこかにプログラムされているのだろうね。DNAかなにかに・
👩そうだね。おもしろいなぁ。
👨きっと私もお年寄りになったらきっとLOVOTがそばにいるんですよ。
👩うふふ、そうかなぁ。
👨わからないけれど。
👩でも、それを考えさせられる。舞台の形だと、ペットとその愛玩というタイプではないのが面白いね。
👨そう、やっぱり空間で描かれるものというのは、なんだろ、あたまで考えるものよりはるかにリアルじゃない。その力で描かれるものはやっぱりすごいなぁと思って。でね、私が観たのは公演期間中の割合と早い時期だったのだけれど、公演自体は3週間くらいのロングランでやっていたのですよ。
👩へぇ、すごい。
👨それだけ、舞台も進化していったのだと思うのね。
👩うんうん。
👨時間がなくて観に行けなかったのだけれど、最後がどんな感じになっていたのかは気になるよね。
👩それを観ることができたら、また感想も変わったかもしれないね。
👨演じている俳優も変わっていったのではないかという気がするしね。もしまた再演とかがあれば、されるのかどうかはわからないけれど、観に行きたいなぁという気がするよね。
👩再演があればまた変わっていくかもしれないしね。おもしろいね。観たかったな。
👨あんな少人数の観客でやっているというのもすごく贅沢だなぁとおもったし。
👩うふふふ。
👨あと、もうひとつ、前にアイドルがおひとりご出演でその方がお上手で面白かったというオイスターズという団体があるのですが。
👩あぁ、はいはい。
👨そこがザ・スズナリで公演を打たれまして。今回はキャラメルボックスの原田樹里さんがご出演だったのだけれど。

ザ・スズナリ

👩うん。
👨前回はお父さんがどんどん増えていく物語だったのだけれど。
👩ああ、おっしゃっていましたね。
👨今回は全員が学生の話で。中2病の学生さんたち出てくる話なのだけれど。こっくりさんをやっていたら手を放してしまったから狐にとりつかれたというところから始まって、
👩へぇ。
👨最初は頭のよさげな委員長の女性が、まわりの思い込みや不条理な考え方に巻き込まれていくうちに、だんだん、彼女自身がそういう理不尽にまわりを巻き込もうとしていくという話なのだけれど。その委員長と男子生徒が廊下ですれ違うという同じシーンが何回かあってね。そのたびに物語の様相が変化していく。その最初はつっこみをしていた委員長がだんだんそのこっくりさんのご利益に捉われていって、逆につっこみを受ける側になっていくのがじわじわとおもしろいのよ。あとひとつ見せ場があってね、後から登場する女性徒がいて、こっくりさんのご利益でじゃんけんをしても絶対負けなくなったっていうのね。
👩はいはい。
👨実際にものすごい速さでやって絶対に負けないのよ。
👩すごい稽古だ。
👨あれば、稽古でできるのかとか考えながら見ていましたが。
👩それは稽古でしょ。出すやつを決めてその通りに出すっていう。
👨でも途中からふたりを交代に相手して負けないんだよ。
👩それは稽古だよ。稽古をしなければ。
👨でも、一回でも間違えたら終わりじゃない
👩というか間違えちゃダメなんだよ。舞台では。
👨ははは、そうかぁ。
👩何を言っているの。当たり前だよ。
👨そうか、俳優の方たちにとってはそれが当たり前なのね。
👩うん、当たり前です。
👨いや、でも観てる方にとっては、あんなに複雑なことを間違えずにやるのはすごいなぁと思って。
👩うふふ、それが舞台だよ。
👨みんなだてに俳優をやってはいないのね。
👩そうだよ、それがお仕事だよ。
👨なるほど。特にじゃんけんで勝ち続けたのはオイスターズの劇団員さんだからね。
👩うんうん。
👨まあ、オイスターズというのは、前回のお父さんが増えていく話でもそうなのだけれど、物語を構成する一つずつのピースというのはどこか不条理だったり理不尽だったりするのよ。だけど、それが積み重なっていくうちに元々その不条理を批判する方が狂わされてしまうような話でもあるのね。
👩なるほど。
👨そのつくり方がほんと面白くて。で、私はその手のお話が基本的には大好物なのね。
👩そうだよね。
👨だから、また観にいこうかなぁと思いますけれど。来年あたりにまた東京にも来るみたいだし。
👩うん、私もオイスターズさんは観たいね。
👨その節にはおさそいしますよ。
👩うん。
👨あと最後にもうひとつ、松濤にBASEというバーがありましてね。
👩あぁ、はいはい。
👨コロナなどもあって暫らくぶりなのだけれど、あそこでまたお芝居がありまして。『お盆に家族でBARへ行く』という。作品は10年前にやったものの再演なのだけれどね。
👩へえ。

BASE

👨小口ふみかさんとかもご出演で。
👩はいはい。存じ上げております。
👨お父さんとお母さんの霊が来て、娘とその彼氏がうまくいくかを見届けていくという話なのだけれどね。
👩またオカルトじゃない。
👨まあ、夏だからさぁ。
👩また出てきた、うふふ。
👨だけど、ああいうバーのような小空間での濃密なコメディというかお芝居っておもしろいよね。
👩うん、面白い。
👨で、岩倉さと子さんの生演奏もはいってね。
👩へぇ、いいね。凄いね。
👨開演前からずっとスタンダードナンバーなんかをキーボードで演奏しているわけよ。
👩へぇ、すごい。
👨それだけでも十分値打ちでしょ。
👩そうだね、値打ちだね。
👨しかもバーだからワンドリンクつくわけじゃない。
👩うんうん。
👨スミノフを飲みながら、ちょっとだけ酔っぱらって物語に浸って。で、生演奏の作る呼吸ってすごいのよ。
👩はい。
👨SEで入る音とはまた肌触りが全然ちがうじゃないですか。そういう舞台の肌触りを楽しみながら、お芝居に夏の暑さを一瞬でも忘れるというか。よい暑気払いでもあると思うのですよね。満たされるものがあるなぁって。
👩そうね。さっきというか始まる前に話してましたけれど、こう元気な時に、まあどっちなのだろうね、要はさ、マックみたいな、いやどっちもいいんだよ、高級食材みたいな舞台もあればマックみたいな舞台もあって、疲れている時にはマックが食べたくなったりとか、元気な時にはお寿司が食べたくなるみたいな。人によりますよね、元気なときにはお寿司を食べたいというひともいるだろうし。でもそれがこう舞台とかも。私は最近思うのは、こう元気な時に観たいというか、元気な時でないと観ることができない舞台が多いなとおもってしまうのよ。最近思うの。もちろん人それぞれよ。でも元気じゃない人に向けて作る舞台ってないかも。まあどこかにあるのかもしれないけれど、私が出会えていないだけなのかもしれないけれど。そういうのも欲しいなぁって最近思うようになってる。まあ、元気がない時に観たいものってみんな違ったりもするから、元気ない時には元気なものが観たいという人もいれば、静かなものが観たいとか優しいやつが観たいという人もいるだろうし。
👨確かにね、最初に話したavenir’eのお芝居なんかは観る方も体力がないともたないしね。
👩いや、そうなんだよね。そうなんだよ。ほんとに自分が立ってもいるし、いたし、なんていうのかな、
👨観ている方は自分の中にそれをどれだけ受け止めるかというスペースみたいなものをどう作るかみたいなことがあって、avenier’eみたいなお芝居は自分の中でいろいろと考えていかなければいけないから、その余白を自分がもっている時ではないとなかなか観ることができないよね。
👩ああ、そうだね。最近思うんだよね、何故観ることができないのかって、舞台を。そのことをするには多分余裕がないのだろうね。
👨なんだろ、途中で消化しきれなくなってしまうのかもね、疲れているときって。
👩そうかもしれないですね。演劇はさ、演劇人という言葉があるけれど、それは全員で作っているんだよね。舞台を作る側、演者側というか舞台の制作側、作っている側、創作側と観てくださる観客の方々。本当にその場を一緒に作っているのだなぁと思うよね、しみじみと。観る側だったら、それは疲れるし、楽しい時もあれば勉強になるときもあるし、切なくもなるけれどそれが癒してくれたりもして。凄い世界よ、本当に。
👨BASEで観たお芝居なんかだと全部そのままに受け取ることができて、観る側に積み上がり沁み込んできてくれるから、そうすると、観る側が疲れていても物語に惹かれて受け取り元気をもらえるような気がするのね。
👩そうですね。
👨一方で、考え落ちのあるオイスターズのお芝居なんかだと、こちらも受取ったものに対して受け身をとらなければいけないから、いろいろ。あと、ああこうなんだっていう気づきがおもしろかったりもするので、そうすると体力をつかうのだけれど、でも体力を使った分だけ返ってくるものがあるので、凄く面白かったりもするし。
👩いい話ができたね。
👨avenir’eに至っては、こちらがもらった側からさらに咀嚼していかなければいけないから、この感覚はなんなのだろうって、自分を追い詰めていくことで訪れるおもしろさもあるから。
👩うんうん。
👨なんか、そんな気がします。
👩そうね、
👨だから、振り返ってみると、私はここのところ割とバランスよくお芝居を観ることが出来ている気がするんだよね。
👩うんうん、確かに聞いているとそうかも。
👨で、最後にそんなことどうでもいい高円寺の阿波踊りに嵌っていろんなことがどがちゃかになってしまったという・
👩いいバランスで観ているじゃないですか。
👨でしょ。ところで、そろそろ今後のおすすめもしておきますね。
👩はいはい。
👨ひとつは、中野坂上デーモンズが活動を止めているじゃないですか。でも主宰の松森さんはいろんな作演をされていて、こんど大川企画というところでお芝居をするのね。それはこれまでの俳優とはちょっと色が違う方が出ていておもしろいのではないかとおもったり。
👩なるぼど。
👨それから、三鷹のNEXTも9月にあるじゃないですか。あそこは良き劇団をたんと取り上げているので。今回は「劇団アンパサンド」と「排気口」の2団体なのですけれど、それも楽しみで。
👩はいはい。
👨あと、もう一つ上げるとすれば文学座の公演があって。
👩なにをやられるのですか
👨「アナトミー・オブ・ア・スーサイド」という翻訳劇で。なんか3つの物語が複層的にあまれていくみたいですけれどね。文学座はこの間みた「夏の夜の夢」がほんとうによかったので。
👩文学座の「夏の夜の夢」なんて最高でしょうね。土台がしっかりした舞台ってやっぱり面白いと思う。
👨古典であっても古臭くはなっていかないのだなぁって凄く思ったし。文学座って老舗の劇団のご多分に漏れず、お年寄りも結構多いのだけれど、なんか若い方もけっこう観にいらしているのね。たしかに若い人にも魅力的なのだろうなぁと思える舞台を文学座に関してはけっこう見ていたから、今回も楽しみです。
👩はい。
👨ということで、今日はこのくらいにしましょうか。
👩はい。
👨では、演劇のおじさんと
👩おねえさんでした。
👨また次回もお楽しみに。

(ご参考)
・avenir’e『VALUE!』
2023年8月11日~29日@Paperback Studio
脚本 : Script team:休日の図書館、須賀真之
出演 : 家入健都、髙橋龍児、谷川大吾、東澤有香

・オイスターズ『きいて、はなさないで』
2023年8月24日~27日@ザ・スズナリ
脚本・演出 : 平塚直隆
出演 : 原田樹里、平塚直隆、田内康介、
横山更紗、芝原啓成、佐治なげる

・BASEプロデュース『お盆に家族でBARに行く』
脚本 : 岡見文克
演出 : 黒川竹春
音楽 : 岩倉さと子
出演 :小口ふみか、山本佳希。石黒亜実、
白岡優

劇団アンパサンド『地上の骨』
2023年9月1日~10日@三鷹市芸術文化センター
脚本・演出 : 安藤奎
出演 : 黒田大輔、島田桃依、篠崎大悟、
安藤輪子、西田麻耶、安藤奎

・排気口『時に想像しあった人たち』
2023年9月29日~10月9日@三鷹市芸術文化センター
脚本・演出 : 菊地穂波
出演 : 佐藤暉、中村ボリ、坂本ヤマト、
井上文華、桂弘、倉里晴、
東雲しの、竹之内勇輝、龍村仁美、
根間健太郎、広野健至、松田顕生

・大川企画『笑う』
2023年9月6日~10日@王子小劇場
脚本・演出 : 松森モヘー
出演 : 踊り子あり(はえぎわ)、宝保里実(コンプソンズ)、
奥泉(あんよはじょうず。)、松森モヘー(中野坂上デーモンズ)

・文学座9月アトリエの会『アナトミー・オブ・ア・スーサイド』
2023年9月11日~23日@文学座アトリエ
脚本 ; アリス・バーチ
演出 : 生田みゆき
出演 : 沢田冬樹、鈴木弘秋、目黒未奈、
栗田桃子、渋谷はるか、山森大輔、
吉野実紗、梅村綾子、柴田美波、
磯田美絵、村上佳、鶴田しげ里

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