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能古島ドローン

博多湾のちょうど真ん中へんに位置する島、能古島(のこのしま)。姪浜からフェリーで約10分、1時間に1本(朝夕は2本)運行している。作家の檀一雄さんが晩年ここに住み、ここの暮らしを愛した。今、この島の話題は、セブンとANAのドローン配送実証実験です。

「檀」(沢木耕太郎)は、妻ヨソ子さんの語りを通して檀一雄の生涯を描いたもの。それに能古島の暮らしが書かれている。娘のふみさんのエッセイにも、思い出話としてこの島が登場している。

姪浜駅から歩いて20分ほどでフェリー乗り場に着いた。天気がよく、少し汗ばむほどだった今年の5月、思いたって能古島を訪れた。乗り場からは、すぐ向かいに島が見える。ほんの目と鼻の先といってもよい。でも、間には海があり、橋はかかっていない。

郵便配達の赤いバイクをフェリーの甲板で見た。島に着くと右手に観光用のお店があって、その向こうに郵便局があった。そのバイクが郵便局の脇の坂道を登っていく。4、5軒の民家が坂道沿いにあって、順番に配達をしているようだった。

檀一雄の家はフェリー乗り場の近くの高台にあった。そこからはフェリーが着くのが見え、今かと郵便物の配達を待ったという。その後、家は取り壊され、あとに歌碑がある。フェリー乗り場から郵便局とは反対の、左に少し行って、坂道を登ったところにあった。見晴らしがよく、海と対岸の博多の町が一望できた。

日用品・雑貨の小さなお店はあるようだけれど、コンビニはない。市役所によると、349世帯656人が住んでいる(9月末)。この規模だとコンビニ出店は採算がとれないのでしょうね。今、セブンとANAが共同で、能古島の5つの地点に配送実験をおこなっている。昼の12時から夜の8時まで、セブンの取扱品を対象に配送料は110円だそうだ。

セブンが豊洲で1号店を出したのが1974年(昭和49)、檀一雄さんが亡くなったのは1976年です。当時は向かいの姪浜にもコンビニはなかったでしょう。

台風の時なんかどうなるのか、ちょっと気になりますが、これが日常になれば名の通りの「コンビニ」が能古島にもやって来る。