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よく熟れて「梨もぎ」した幸水、1個いくら?
幸水(日本梨)の季節です。たわわに実った梨、お尻の色がすこし赤みがかった黄土色のものを手にとり、そのまま上にひねると簡単にとれる。梨もぎです。
近所の大学の社会人園芸講座、3月から始まってそろそろ仕上げ時。農業はいいですね、ここのところ収穫つづきで毎回お土産つきです。とうもろこし、えだまめ、トマト、ズッキーニ、ししとう。そしてこれからがメインイベント、梨とぶどうです。
梨の花は4月、それまでに花芽を選んで枝を剪定します。はじめてのことで、これが難しい。伸ばす枝、切り取る枝、選定理由を教えていただくのですが1回じゃ覚えきれません。
開花が始まれば、短期間のうちに花粉をつけて受精させないといけません。同じ品種ではだめ。ちがう種類、それも特定の木の花粉でないと実をつけない。「選り好み」が強いのです。その花粉を刷毛につけてひと花ずつ、手で。大変な作業です。
その後、受精して実がついた花果は、ひとつの花房に3つ残して摘み取ります。形のよいもの、花梗の長いもの、上を向いていないものを残します。せっかくつけた小さい実を惜しげもなくハサミで切り取ります。かわいそうですね。その後さらに実が大きくなると、3つをひとつにします。生存競争が激しいです。
まだもう1回あるのです。それでも残った梨の実を、傷ついたものや生育の悪いもの、葉の数約30枚にひとつの実を残して他を捨てる。これが6月末ころの仕事。ああ、もったいない。でもそうしないと、実に栄養がいきわたらず美味しくならない。
そして、7月終わりころから収穫が始まります。子どもの手には余るほど大きくなった梨の実。梨肌、ざらざらした感触と赤みを帯びた色合いが甘さをあらわしています。
スーパーで見ると、幸水1個300円から400円。結構高いもんだなあと思っていました。実習は全体作業のほんの一部ですが、今自分が値つけをするなら1000円どころじゃありません。
なぜって?
よく熟れた、もぎたての幸水。甘くて、みずみずしい果汁、それでいてシャキッとした食感。300円のとは比べものになりません。
しかも、手間ひまをかけて、手塩にかけて育てた、初めての梨ですから。