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八重洲ブックセンターの歯切れの悪い閉店

1978年(昭和53年)の開業だという。東京駅八重洲南口、8階建てのビルすべてに本、本、本。ここにないものは、ほかの本屋にもないと出かけたものです。以来44年、残念ながら来年3月には営業終了するという。

八重洲2丁目再開発事業に伴うものというが、どうも歯切れが悪い。お知らせでは、「(28年竣工予定の超高層大規模複合ビルへの)将来的な出店を計画しております」という。ふつうなら「出店を予定」と言うと思うのですが。

しかも、その間の仮店舗については何もふれていない。社長の山崎さんへの文化通信社のインタビューでは、「八重洲近辺で探していますが、なかなか条件が合いません。現時点では未定です」 

そう、仮店舗を出すと決めたわけではない。来年3月ですよ、歯切れが悪い。

一方、神保町の三省堂本店、ここも1980年竣工の古いビルを建て替え工事中だ。これについては、昨年9月に「工事期間中の仮店舗は現在検討中」であると表現している。場所は決まってないが、借店舗は「やる」としている。当然でしょうね。

八重洲ブックセンターは鹿島建設が創立し、2016年にトーハンが49%資本参加して、社長の山崎さんはトーハンの出身だ。収益は1億円の赤字、3期連続して1~1.2億円のマイナスとなっている。

100万冊の在庫をもっていたという。徐々に減らしてはいるらしいが、例えば1冊1000円としても、10億円の在庫である。この在庫がブックセンターの強みだった。先日近くまで行ったので寄ってみたが、客が少ない。手にとってこその在庫、これでは100万冊が足をひっぱる。

わたしの場合、欲しい本が決まっていれば在庫の確かなブックセンターには行かずとも、ネットで注文すれば明日届く。本屋さんに行くのは、時間があったときに面白い本はないかというとき。そこは通勤の途中であったり、買い物のついでであったり、そこそこの本がそろっていればいい。

山崎さんの悩みもこんなところかもしれません。