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東京電力は「生かさず殺さず」か

東京電力2023年3月期の決算は売上7.8兆円、営業利益▲2300億円、経常利益▲2900億円だった。増収減益、10年ぶりの赤字に陥った。円安と原油価格の上昇が、値上げによる2.4兆円の増収と、同時に大幅な赤字に貢献した。これが決算発表の骨子だ。値上げしたけどまだ足りないからよろしく、といいたいのだろうか。

一方で、フクシマ原発事故の賠償金である「特別負担金」は0円だった。

原発事故の賠償金は総額7.9兆円と見込んでいる。国が賠償金を立て替えた後、毎年分割して回収する仕組みだという。賠償金である特別負担金は、「(東電の)経理的基礎を毀損しない範囲でできるだけ高額」にするとされ、これまで年400億から1100億円だった。しかし、赤字の場合は支払いが免除される。

なんか変だ。

賠償金とは借金してでも支払うべきものだと思っていた。被害者に対する償いはそういうものだろう。過去、公害加害者であった企業はそうやってきた。それが、東電は特別、赤字だと支払わなくてもよい。代わりに国が払っておくからというのだ。

国が代わりに支払う?立て替えた金の原資は国債だろう?ひいては国民の負担の増加になる。

「百姓は生かさず殺さず」というのが江戸時代の農業政策だった。原発事故の当事者である東電は、黒字であろうが赤字であろうが、金を工面して支払うべきだ。そう、払い終えるまでは「賠償金ファースト」だ。

じゃあ、それなら「再値上げで」と東電がいうのなら、「生かさず殺さず」にしろと政府に言いたくなる。