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人には旬がある

人には旬がある、という。体力も知力も感性も、そして仕事も。旬をすぎればハリがなくなり下り坂になる。中根千枝さん、昨21年10月に94歳で亡くなりましたが、旬は続いていたようです。

「タテ社会の人間関係」1967年の講談社新書です。わたしが読んだのは高校生くらいだったでしょうか、よくこんな本を手にとったと今さらながらに思うのですが。50年たって、中根さんのインタビューを構成し「タテ社会と現代日本」が出た。そのなかに、こんな記述がありました。

50年前は高度成長期、それから世相もかわり、「タテ社会」にも変化があったんじゃないかという編集部の思いに対して彼女はこう言います。

「あれは当時の現象をとり扱ってはいるが、その奥にひそむ理論の提示であるから変更の必要はない、この理論と今日的現象(長時間労働、パワハラなど)をとり扱ってみようと考えた」

そう、変更がないのが理論だというのです。日本人の特色は、その人がもっている個々人の属性(資格)よりも「場」(かかわっている小集団)によるというのは変わらない。

なるほど。自分とそのまわりには、この理論が今でもあてはまります。では、ジョブ型や副業、職の流動性についてはどうなのか。「タテ社会=場を共有する小集団」に対して属性が主役となるにはハードルが高い、だから変わっていくとしても時間がかかるのではという。

中根さん、50年たっても「旬」は続いてました。