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東京の宇和島駅

皇居の北側、竹橋の近くの東京近代美術館に、新しい駅が誕生していた。駅名は「宇和島駅」。大きな看板が立っていた。いつできたのだろうか。気がつかなかったなあ、地下鉄?何線?工事をしていた気配もなかったし。なんで宇和島?四国じゃないの?

美術家、大竹伸朗さんの展示作品なのだそうだ。この11月1日からはじまった「回顧展」のひとつ。夜は赤いネオンサインが灯るらしい。「美術手帳」に彼のインタビューがあった(1)。

東京から宇和島に移ってしばらくしたころ、宇和島駅が全面改装することになり、あの看板が撤去されることになった。捨てると聞いて自分でブリキの4文字をはずした。その後、ネオン管を追加して、最初は新津市美術館の開館時に設置したら映えた。大阪や水戸、広島などでも披露した。

「あらゆるものが画材だ」と彼は言います。皇居が見える東京近代美術館をキャンバスにして新しい絵を描いた。宇和島出身の人がこのネオン看板を見て、反射的に泣いたという。

手帳をみると、11月2日に朝散歩でその前を通っているし、5日には近くの毎日新聞ビルに行った。今朝、その大きな4文字が目に入るまでは残念ながら気がつかなかった。キョロキョロ散歩しているつもりでも目に入らないものですね。展示は来年2月まである。ぜひ暗くなって赤い「宇和島駅」が浮かび上がるのを見てみたい。

宇和島駅、何年か前に行ったことがある。今思い出せば、あの看板とは時の距離がある近代的な駅だった。近くには宇和島城があって、もちろん、海が間近にある。宇和島といえば、ホタルジャコを原料にしたじゃこ天が旨い。ついでに、美術館でお土産にじゃこ天を販売してくれないものでしょうかね。

ご参考
(1)https://bijutsutecho.com/magazine/interview/25993