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井上陽水が音痴になった

「夢の中へ」「心もよう」それに「少年時代」。井上陽水さんの懐かしい名曲だ。若いころはよく聴いたものだった。彼独特の艶のある高音域の歌声を、今も耳が記憶している。

1948年生まれ、74歳。最近は「みなさんお元気ですか?」 との言葉や「音」も聞かない。お元気なんでしょうか。

「陽水が音痴になった」
Tさんがしみじみと言う。

「仕方ないよなあ、トシだもの」
「本当?そうなんだ。どこで聴いたの?」
「テレビで歌ってた。ほら、NHKのブラタモリ」
「それって、ライブじゃないでしょ。いつから?」
「久しぶりにテレビをつけたら、ほら、彼のあの高音域、出てなくて音痴っぽい」

なんか変だ。仮にでも彼が音痴になったらテレビには出ないだろう。

「Tさん、耳、大丈夫?」
「最近ちょっとね。聞こえづらくなった気がする」

加齢による聴覚障害は、程度の差はあれ、だれにも起こるもの。とくに高音部の周波数が聞き取れない。鼓膜の振動をキャッチする「有毛細胞」が壊れていくのだそうだ。

陽水さんが歌う高音域の周波数が、フィルタでカットされているようなものだ。声は聞こえるが、高い音がスルーするから、「音痴になった」ということらしい。

同世代のみなさん。「陽水」を聴き直してみたらいかがでしょうか。