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沖ノ鳥島はどうなっている

「島じゃない、ただの岩だ」とお隣は言う。「水面から顔を出してりゃ、立派な島だ」とまわりをコンクリートで固め、外側に鋳鉄製の消波ブロックをつみあげた。そう、沖ノ鳥島です。領土を守る、つぎの国家プロジェクトが急がれます。

「昭和初期の沖ノ鳥島」という1枚の写真があります。海上保安府海洋情報部がとったものらしい。北小島、波で浸食されて、シイタケの石づきのように細くなった足のうえに岩が乗っています。これじゃあ、いつポッキリ折れても不思議はない。50年近く放っておかれ、EEZ(排他的経済水域)の観点かその重要性を再認識して護岸工事がはじまった。

消波ブロックは鉄(鋳鉄)製です。海岸などでよく見かけるのはコンクリート製のテトラポット。これとおなじ形で、やや小ぶりのものが鉄鋳物でつくられた。鉄とコンクリートの比重の差、鋳鉄は錆びても腐食されにくいという特長からこれが選ばれたようです。

特需でした。1990年、バブルが崩壊したあとの不況のなかで、当時の新日鉄、日本鋼管、住友金属などの高炉メーカーが分担してテトラポットを受注した。数量はわかりませんが、万トン単位の鋳鉄製のテトラポット、ウチの会社は当時それをつくる材料を納めさせてもらってました。「鉄は国家なり」、まさにそのとおりですね。その一部でも参画させてもらったのはいい思い出です。

そんな沖ノ鳥島の今はどうなっているのでしょうか。

管轄の国土交通省は、高さは平均水面から北小島で1m、東小島で0.9mとわずかでしかないことは認めているが、「沖ノ鳥島は公式の満潮位がなく、満潮位からの島の高さは具体的な数値がない」という(日経新聞)。

そう、「記録がなければ、沈まない」さすがです。お役人の答弁はたいしたもの、ふだんの国会答弁には辟易しますが、こんな時はもってこいですね。

お隣のクレームに対する時間稼ぎはそれで結構です。そんなことよりも、温暖化による海水面上昇とプレート移動による島の沈下は待ってくれません。

「遺伝子組み換えでサンゴ礁を急速成長させる」
これがいちばん近そうな気がします。サンゴ礁の遺伝情報も解明できてきました。この技術で絶滅を防ごうという動きも米国マイアミ大学などではじまってます。

一次の護岸工事は終わりました。次は領土を増やす。国家プロジェクトとして至急これに取り組んでほしいものです。お隣の国は南の海で埋め立てをしているようですが。