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「相手を否定しない」ケアのポイントはこれだそうです ②

母親は、目の前にいる人は自分の息子に似ているがちがう、誰だろうと思いながらも、(今日行ったはずのない)神戸の話をする。
「何を言っているの?」
と思い、ついに来たかと認知症を疑った。
違うでしょと言ってもしようがない気がして、話にのってしばらく聞いていた。すると、また同じ話を繰り返す。

大学の履修講座の演習で、認知症「ロールプレイング・ゲーム」がありました。ふたり1組、それぞれの役どころと行動を書いた紙を配布され、相手と会話をする。お互いに相手の紙の内容は知らない。会話はアドリブです。
たとえば、Aさん(女性)が自分の娘を幼稚園に迎えに行こうと家を出る。そこに近所のおじさんBがいて何かと話しかけてくる。

B「おでかけですか?」
A「娘を迎えに幼稚園まで」
B「お昼ご飯は食べましたか?」
A「すませました。子供のお迎えの時間がきまってますので。」
B「お掃除はおわりましたか?」
A「そろそろ行かないと」

AさんはBさんを振り切って迎えに行こうとしますが、Bさんはこれを引き留めようとします。実はAさんが認知症で、自分を35歳、娘がまだ幼稚園に行っていると思っているのですが、本当は75歳なんですね。でもAさんを演じた人は、そうとは知らされてません。自分は普通で相手がとんちんかんなことを言ってなにかと口出してくると思います。

たぶん、これが認知症の人の気持ちなんでしょうね。相手は自分のしたいことの邪魔をすると感じます。さらに、強く否定されれば、相手を拒絶し閉じこもるかもしれません。 このゲーム、うまくできていると思いました。

否定せずに、相手の言うことをよく聞いてあげることで安心感をもってもらい、心をひらいてもらう。これがポイントなんですね。