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浪花そばのビジネスモデル

東京駅新幹線18、19番ホームの立ち食いそば、「グル麺」が閉店した。発車時間を気にしながら、あったかいそばをふうふうしながら食べるのもできなくなった。残念です。一方の新大阪駅構内には麺屋「浪花そば」がある。今は券売機があって椅子席になっているが、改装する前の店は立ち食い。大阪ならではの超合理的なうどんの食べ方ができた。

赤と白の提灯が下がった、細長い店。入口はひとつ。そこでおばちゃんに注文し、すぐ奥のカウンターでうどんをうけとる。3つか4つの島になった立ち食いテーブルと、クの字型の低い長椅子にテーブルがあった。食べ終わると食器を奥のカウンターに下げて、横手にある出口から外に出る。そう、一方通行の店なのだ。

核心は注文をきくおばちゃんだ。「きざみうどんの玉子入り、一丁」とチケットとおつりを渡しながらマイクに向かって言う。カウンターの中には麺を茹でて丼にいれる人、トッピングを用意する人、おつゆとトッピングかけて渡す人がいた。店の入口を常に見ながら、おばちゃんの声を聞いてすばやくうどんを仕上げる。この間、数秒。わたしが数歩歩いてカウンターに着くころには出来上がっていた。

すばらしいシステムとチームワーク。早いのは牛丼屋さんを超える。時間を気にしながらのうどん、それに、旨かったなあ。新大阪駅乗降時にはいつも立ち寄ったものだ。

このビジネスモデルを船橋駅でも見た。この店はさらに省人化していた。券売機があり、ボタンをおすと、なんとその券売機が「月見うどん、一丁」と奥に向かって言うのだ。びっくりしましたね。でも、カウンターで少し待った。

改装後、浪花そばに立ち寄った。あのおばちゃんの声は聞こえなかった。うどんが出てくるタイミングも遅くなり、椅子席になって雰囲気がちがってた。以来、行っていない。

以前の浪花そばのような店、急いでいる駅構内でのサービスとはこういうもの。あんな店出てこないものかしら。