見出し画像

天津甘栗

枡席のチケットをいただいて、相撲好きの家人がよろこびいさんで国技館にでかけた。お茶屋さんにお土産をたくさんもらって、ちかくのホテルに一泊して帰宅した。わたしには天津甘栗だった。
 
4人席、4人すわると身動きが出来ないほど。3人だと荷物があってもなんとか余裕がある。だから、わたしがはずされた。家人の姉が名古屋からかけつけ、下の娘とで楽しんだ。土俵入りも間近に、西席からは正面から横綱をみれたらしい。
 
「はい、お土産」
 
小さい紙袋に入ったのを開くと、天津甘栗だった。ひとつ、ふたつ、爪がたたないので下の前歯で外皮を軽く割る。ころっと外皮に渋皮を残して実がとれるかと思いきや、はずれない。全体を半分に割って、手で外皮をむく。
 
なんか、ちがうよね。手が黒くならないのはいいのだが、食べにくい。だいいち、しっとり、もっちり感がなく、かためで乾燥しかけた実は旨いとはいえない。
 
これ、本場「小宝栗子」の栗に似ている。天津出張のとき、向こうで温かいのを食べると、とまらないほどの旨さだった。ところが、日本にもって帰って会社で分けると、評判がよろしくない。そう、その間に乾燥して、かたくなってしまう。
 
お土産の「天津甘栗」は輸入品と書いてます。小宝栗子とは紙袋がちがう。といっても現地はただの薄いクラフト袋だったけれど。熱した小石に油や砂糖、水飴などをからませて、かき混ぜながら中国産の栗をいれる。ノウハウだと、店の中の機械を写真撮影するのは禁止だった。
 
日にちがたっても、日本のはしっとりとした実が保てている。日本の甘栗は剥くと手が黒くなるが、お土産や小宝栗子のはさほど黒くならない。この差が、乾燥の原因とにらんだ。つまり、油や砂糖、水飴などの配合比率だろうと。
 
お店にならんで、あつあつのを紙袋にいれてもらって現地で食べる小宝栗子。同じ中国産の栗をつかっても、日本のとは少しちがう。天津からもって帰ったらちがってた、というのは栗だけじゃないかもしれません。