#205『あなたがお空の上で決めてきたこと』西田普

 報告された生前記憶によれば、(報告された限りの)全ての子供は自らの自由意志によって、親と環境と試練と苦難を選択して生まれてくる。そして自分と親と世界が幸せになることに尽くそうとする。
 とは言え、これは「初期設定」であり、生まれてしばらくするとこの魂の願いは覆い隠されてしまう。そして全てを忘れ、こうしたスピ系話をあざ笑ったり、「ほんとだといいねー」と弄んだりするようになる。しかしそれでも魂の声の強い人や、魂の軌道に戻った人、戻りつつある人は、自分が何を望んで、何の考えて生まれたのかをおぼろげながら思い出し、それに従って生きることを始める。私は仕事でそういう人たちの路線変更を支援している。
 あらましこういうことを、著者は一つの小さな物語とそれに解説を加える形で本書にした。良い本である。今まで読んだ本の中では一番しっくり来た気がする。個人的には。そういうわけで、オススメしたい。
「起きた出来事に対して何を思いどんな態度でいるかで運命は変わる」
「死んだ時にお空の上で尋ねられる三つの質問。1)楽しみましたか? 2)愛しましたか? 3)喜ばせましたか?(私はまだまだ…と思った。)
「必ずその人ならではの人生経験を生かした最高に美味しいブレンドがある。それは沢山の人を元気づけ、魂の目覚めを促す命の水になる。変わった味でも良い。世界は広い。変わった味のジュースを飲みたいという人も多い。お金は必ずあとからついてくる」
「(家族問題について)思いっきり幸せになること。すると絡み合った因果からまず自分が抜け出せる。糸がぐちゃぐちゃに絡んでいる時、一度にほどくのは難しい。その中の一本でもほどいて抜くことが出来たら、絡み合った他の糸もほどけていくことがある」
「家族や職場など逃れられないところにネガティブなソウルメイトがいる。ネガティブなソウルメイトとは…1)なぜか気に触る2)なぜか許せない3)なぜか辛く当たってくる4)なぜか一番イヤなことを言ったりしたりしてくる5)なぜか嫌いなのにそばにいる。
 い・ま・す・ね〜〜〜(笑)
 非常に良い本である。
 しかしこの種の本の感想としていつものごとく思ったことがある。それはこうしたスピ系の王道ストーリー、または模範的事例において、主人公はどんなに苦境にあったとしても、親に愛された出自を持つ(少なくとも片方の親から)。それが自信回復、自己肯定、神や運命や宇宙への信頼の基礎になる。これは絶対不可欠のものだ。しかし、親がそうでない場合は…?「非常に難しい」とある精神科医は言っていた。私もそう思う。状況はかなり絶望的だ。そして私の所に来るクライアントはほぼ全員、この王道から外れている。この人たち(私を含む)には「王道とは別の解決の道」が必要である。それを私は探しているし、それをまた人に伝えるべきだと考えている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?