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だんだん高くなるカフェ|#ショートショートnote杯

 戦争が終わり、破壊された街に人々が戻って来た。ジョセフは弾痕だらけの壁と崩れかけたコンクリートを利用し、木の樽を椅子代わりにカフェを始めた。

 盛況だった。コーヒー豆がようやく出回り、人々はそれを渇望していたのだ。

 大きなトランクと小さな包みを持った陰鬱な女性が、樽に座った。
「コーヒーを一杯」
「300億ペンゲー」
 女は金をトランクごと主人に渡す。金属のカップを手渡されると、隅にある瓦礫の山にそれをかけた。瓦礫から沸き上がる湯気、唖然とする主人。女は目に涙を浮かべていた。
「夫がここで亡くなりましたの。コーヒーを飲ませてあげたかった」
 女は憑き物が落ちたようになり、帰ろうとした。ジョセフはさらに100億ペンゲーを要求する。提供する間に値段が上がったと。女が困惑していると彼は
「カタにその包みを預かりましょう」
 と、強引にそれを奪い取った。

 包みには拳銃――弾は一発。
 エリザと名乗る女性は、カフェで働くことになった。

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