金持ち草｜＃ショートショートnote杯

　咲菜は花屋で買ってきた黄金色の草を、友人の彩芽に見せた。
「これが植えると縁起のいい草ね」
　彩芽はそっと指を触れた。
「食べるともっと縁起がいいらしいけど、苦くて上に固いんだって。これを食べる位倹約した人が店を構えられるって」
　物知り顔の咲菜を見て、友人が感心した。
「茹でたらどうかな？　食費の節約になるし」　　　　　　　　　　　　
　咲菜は草を庭の隅に植え替えてみると、瞬く間に増え、庭の一画が黄金色に輝いた。
「これが純金だったらなあ」
　友人の言葉を思い出し、料理好きの咲菜は草を少し間引きすると、ほうれん草の要領で茹でてみた。
　苦くてすぐに吐き出した。
　もう少し工夫して見ようと、砂糖で煮たり、酒やヨーグルトに浸してみた。上手く行かないと、圧力鍋やオーブンも使用し、悪戦苦闘を繰り返した。

　三年後、とあるテレビ番組にて。
「本日のゲストはビターゴールド料理の第一人者で、この度レストランもオープンされました咲菜さんです」