元ホームレスとヒッチハイクで青木ヶ原樹海へ
なぜか先日元ホームレスと知り合ったのだが、初対面でアホほど打ち解けたノリで、今度一緒にヒッチハイクしようかということになった。彼女にとってはこれが初めてのヒッチハイクになるので、とりあえずは気軽に行けそうな近場のスポットをゴールにしようと考えた。
というわけで
いざ、樹海へ。
7:30
調布ICの近くの道路にてヒッチハイク開始。これから高速に乗る車にアプローチしていく。
ママチャリに乗った通りすがりのお母さんが、唐突する勢いで我々の方をチラ見してきたので心配になった。
7:50
通りがかった方が、車の中から手招きしてくれた。温泉旅行中のご夫婦だった。
ここまでたった20分。一般道に立っていて、こんなに早く拾ってもらえるなんてのは珍しい。元ホームレスのバイタリティのおかげでもある。
お父さんの方が大分ゆるふわ系で、「なんか〜、見かけたから乗せちゃった〜」と、始終ふわふわしていた。癒された。
8:30
談合坂SAに到着。
予定よりずっとスムーズな到着ではあったがツアー客が多く、同乗させてくれそうな人はなかなか見つからなかった。結局、トイレとゴミ箱の間の空間で1時間ほど立ち続けることになった(SAで置き去りにされるような状況が発生したら、とりあえずこの空間に立っておくのがおすすめ。多分なるようになる)。そうしたら、やたらと日焼けしたおじさんが声をかけてくれた。
「え、樹海に行くの?通るから乗せてってあげるよ。本栖湖までサーフィンに行くから。」
さすがに、高速から直接樹海まで行くことになるとは思わなかった。彼によれば樹海の周辺は意外と観光地化されているらしく(車通りも多いので)、なんなら樹海の入り口でヒッチハイクしたとしても車が捕まりそうだということだ。でも誰が樹海の入り口で行き倒れている人間を拾おうと思うだろうか?
10:30
富岳風穴(樹海の入り口)
12時ごろの到着を見込んでいたことを思うと、あっという間だった。
まずは鍾乳洞みたいなところ(ここは普通に観光地)に行ってから、ちょっと入り組んだ道に入り、いかにも樹海なエリアを探検した。
その名の通り、まさに倒木の海なのである。この地は火山灰の堆積でできているので土が少なく、倒木が新たな命の主栄養源となっているのだ。なお、この地では方位磁針が機能しないという俗説があるが、それはあながち間違ってもいなくて、火山岩のもつ磁力が磁針を惑わすこともあるのだという。山ならば山頂へ行きたければ上へと向かえばいいわけなのだが、それに対して樹海は平坦な地形なのでシンプルに迷いやすい。
ちなみにここら辺は全て元ホームレスの彼女が語ってくれたことである。なんでこいつこんな博識なの?
途中で3組ほどの散策客とすれ違ったが、どれも外国の方々だった。すごいにこにこしながらヘーイとか言ってきてくれて、樹海感はかなり損なわれた。
14:00
樹海の入り口(森の駅)に戻ってくる。
私の膀胱が瀕死になってきたので、やむなく途中で樹海を脱出して車道に乗り上げたのだった(彼女がわざわざ道を調べてくれた。ごめん)。
ちょっと休憩してから、
帰りのヒッチハイクを開始した。
15:30
あっという間に、1時間が経過した。
暑い中ずっと立ちっぱなしだったので疲れてくる。
樹海で車を拾おうとするのはさすがに無茶すぎたのだろうか…。バスの最終便が16時だから、あと20分ほど脈なしだったらばここでのヒッチハイクは諦め、バスで河口湖ICまで行こうと決議した。
だがここで諦めるのは癪なので、できる限りのことはやる。勤務態度の見直しである。我々は今に至るまでヒッチハイクでよくあるグーのハンドサインを掲げていたわけだが、これではどこか調子に乗っている感じがあるので乗せてやろうとは思われないのではないか。両手の平を合わせ、地に伏さんばかりに懇願していく姿勢で行くべきなのではないのか。
このスタイルに変更してから、15秒で車が止まった。土下座の訴求力をこれほどまでに実感したことはなかった。
山登り帰りのお兄さんだった。学生時代にヒッチハイクをした経験があり、そのときに受けた恩を誰かに返したいとのことだそうだ。私もいつか知らない誰かに返したい。なんと、東京までダイレクトで送ってくれるのだという。
「なんか早めに帰れそうだから横田米軍基地行こうぜ」
ここでいきなり彼女がこのように言い出した。ちょうどその日、青梅の横田基地でフェスティバルがあったのだ。2人とも体は疲れていたが躁っぽかったので、即決で行くことになった。私は米軍基地が東京にあることすら知らなかったが。我々の行き当たりばったりすぎるプランを聞いて、お兄さんは最高だねと笑ってくれた。樹海から米軍基地に行く機会なんて、この先もうないかもしれない。
18:00
米軍基地の近くまで到着。
こんなに早く東京に帰ってこれるなんて。危ない局面もあったが(膀胱が)、
非常にスムーズに楽しくやってこれた。ドライバーさんたちと彼女のおかげだ。最高の一日だった。
ここで問題発生。
米軍基地に入るにあたって身分確認があり、私的には学生証でいけると思ったのだが、マイナンバーカードじゃないとだめだったみたいで、その発行をサボっていた私は入れてもらえなかった。我が大学の権威も地に堕ちたものだな。
追い返されてしまった…。
「マイナンバー発行するきっかけになってよかったね」と彼女が慰めてくれたのにもかかわらず、私はその無愛想な兵士にむかついて「もう一生発行しない」などとほざいていた。病気すぎる。
とは言えせっかくきたので、
基地の外から花火を見ることにした。
だが、脳がデフォルトで樹海にセットされてしまったので、「花火って文明だな〜」という感想しか抱くことができなかった。今日一日の情報量が多すぎてショートを起こしそうだった。
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