Gothic and Lolita Market 山田菜々子さんインタビュー 〜ロリータブランドの可能性を求めて〜
原宿で年2回、ゴシック&ロリータ系の個人ブランドが一挙に集まる即売会 Gothic and Lolita Market(ゴスロリマーケット)。
2019年に初回が開催されて以来、今やロリータファッションにフォーカスした即売会イベントとしては最大規模であり唯一無二といえる場になっています。
そのゴスロリマーケットを主催している株式会社Gothic and Lolita Marketの山田菜々子さんと、ロリータファッションに関する様々なお話を深くさせていただきました。
ゴスロリマーケットは、実はひとりのロリータの女の子が強い信念をもって立ち上げ、挑戦を続けているイベントなのです。
ロリータとの出逢い、ゴスロリマーケットへの情熱
大石蘭 (以下、大石) : そもそも最初に山田さん自身がロリータファッションに興味をもったきっかけは何だったんですか?
山田菜々子さん(以下、山田):それまで服に全く興味がなかったんですけど、高校2年生のとき部活帰りにコンビニでたまたま立ち読みした雑誌に、 ロリータの広告が載っていたんです。そのお洋服の柄が、風船とカルーセルだったかな。絵柄はすごくポップだけど色味はちょっと毒味のある紫でかわいくて、心に刺さったんです。
でもロリータ服って高いじゃないですか。だから最初はそんなにすぐ着ようとはならずに、もうめちゃくちゃ頭でっかちになるくらい勉強したんですよ。手に入る限りいろんな古本屋さんに行って過去の ロリータ系雑誌を買ったり、ネットのいろんな書き込みとか、良いものも悪いものもたくさん見ました。
そのタイミングで、ゼロ年代くらいの服がめちゃくちゃ好きだなってことに気づいて、「このときの服が着たい!」という気持ちになったんだと思います。「古(いにしえ)のクラシカルやゴス」みたいなのが、そのタイミングで好きになったのかなって。
埼玉に住んでいたので、原宿まで来て目的もなくロリータブランドの前をうろついたりしたんですけど、「こんな服で入るなんて……」って結界が張られてるみたいな気持ちになって、入る勇気なくて。
服も持ってないから、白いブラウスに手芸屋さんで買ったリボンをちょっとつけるとか、ロリータ「風」を楽しんでいました。
でも大学生になって、バイトをいっぱいして、これからいっぱい服を買うぞ!ってときに、雑誌もなくなり、好きなブランドもどんどんなくなってしまいましたね。
大石:97年生まれだとそういう時代になりますよね。山田さん、今はいつもいろんなロリータさんと会っていて広い人脈を持っているイメージがあるんですが、いちばん最初はどうやってロリータの輪を広げたんですか?
山田:いちばん最初はお茶会です。古いVictorian Maidenのジャンスカとブラウスを着て、和やかな集まりに行きました。
それからお茶会を渡り歩く中で、徐々に交流の輪が広がった感じですね。
Twitterでのフォローも沢山してまわっていましたが、そこから仲良くなるのってわりと至難の業なんですよね。フォローした上で、その人とどこかのお茶会とかで遭遇したときに仲良くなる、というパターンが多かったです。
大石:それで、大学時代にゴスロリマーケットを始めることになるんですよね。
山田:まだロリータ着始めの時に参加した様々な即売会イベントでの交流・体験が、ゴスロリマーケットを立ち上げる動機になりました。
川崎で開催されていた、ロリータブランドの展示即売会「アラモードマーケット」に最後の1回2回くらいだけお客さんとして参加して、すごく楽しかったんですよ。
「アーティズムマーケット」という即売会も、ボランティアスタッフとかやるくらい参加しましたね。アングラみが強くて、ロリータイベントではないけど一部ジャンルがかぶるテイストのイベントです。
「デザインフェスタ」もめちゃくちゃ行ってました。それまでに貯金して、すごいときは1回に10万以上落とすくらい買い物してました(笑)。
でも、一番好きだなと感じていた即売会「アラモードマーケット」が、16年くらい続いている歴史あるイベントだったのに、雑誌が軒並み休刊していったぐらいの時期で終わってしまって、待ってても次誰がこういう場を作ってくれるかも分かんないし、って気持ちが学生時代の私を動かしました。
実は、2018年の秋にゴスロリマーケットの1回目を開催しようとしたんですけど、失敗したんですよ。出店者が集まらなくて!
そのとき、学生だったからナメられないようにと思って、顔も写真も出さずにただTwitterのアカウントだけ作ってDMで営業したんですけど、今考えたらまぁ怪しいですよね(笑)。
その回はうまくいかずに会場費だけキャンセル料を払って中止になりました。
でも、絶対私以外にもっこういう場を求めている人はいると思って諦めませんでした。
大石:そんなことが!そこから今のように出店者も抽選制になるくらい増えるに至るまでには、どういう経緯があったんですか?
山田:いちばん最初は、まずはお誘いする方法を変えたこと。
私がいろんな即売会とか個展とかに顔出しに行って、「こういう者で、こういうイベントがどうしてもしたくて、この資料読んでもらえませんか」っていうのを、名前入りの封筒で手渡ししてお声がけしていきました。
そしたらそのあたりからだんだん気持ちをわかってくださる方が増えて参加率が上がっていきました。
その次の段階は、いくつか有名なブランドが出店作家さんとして参加してくれるようになってから、「そこも出てるんだ!まぁそれなら大丈夫かな」といったように信用度がちょっと上がりました。
その次の段階は、多分うちのイベントに出ると認知度が上がってファンが増えるとか、ロリータ熱の高いお客様が多いのでお客様からの反応が良いっていう話題になってきたことだと思います。
お客さんも、いちばん最初は300人くらいだったのが、今は1日で1000人、2日で2000人くらいなので、相当増えてますね。
単純に参加ブランドが増えているから各ブランドのファンが来ているって考え方もありますし、東京で今もう定例でロリータ系のイベントをやってるところが他にないから、お買い物の場としてだけでなく、交流の場としてみんなが集まってきてるんだとも思います。
大石:その後、ゴスロリマーケットはサンフランシスコなど海外でも開催されてますよね。海外に進出したきっかけは何だったんですか?
山田:コロナ明けくらいに、ドイツのイベントに日本のブランドを誘致する協力をしてくれませんか、というメールが来て、チャレンジしてみようかなと思ったのがきっかけでした。
ゲスト扱いで行ったんですけど、現地の方もこんなにたくさんのブランドと商品数を取り扱ったことがなかったみたいで結局スタッフとして走り回ってました(笑)。様々なトラブルもあって本当に大変だったけど、現地の方が本当に心から喜んでくれるのが伝わった回だったので、今後海外とのコネクションも強化したいなと思わされました。
その後アンテナ広げていたらいろんな方向に知り合いができて、知り合い経由でその人がやっているイベントに絡めて近い会場でやる方法で、今はアメリカでも開催しています。
今後は香港とか中国とか、まだ知り合いのいない行きたい国もありますね。
香港は、年齢層がちょっと高めで、大きなお茶会グループはあるけど、ロリータ限定の即売会はない。デザフェス的な即売会はある。という状況を噂で聞いています。
ぜひお茶会グループと協力してイベントを開催したいですね。
来年はテキサス行きますよ!
大石:日本でも海外でも、SNS上でのロリータさんのコミュニティの力もすごいですよね。購入品紹介みたいなのもみんなするから、それを通してお互い知り合ったり興味が広がったりしている感じがします。
山田:私個人のアカウントでもコーディネートの写真だけをアップすると「どこのですか?」と聞かれることが多かったので、今は絶対に「服はここ、イヤリングはここ」みたいに全部詳細を書くようにしてるんですよ。
そこからいろんなブランドに興味を持ってもらえたりすると、私もすごく嬉しくて。正直、SNSが得意なブランドばかりじゃないと思うので、私にお手伝いできることがあれば嬉しいっていうのがありますね。
昔は雑誌で自分の好きなブランドの周辺のブランドをすぐ見つけられたけど、今はどこにも集合してないから、自分で掘りに行くしかないじゃないですか。
でも即売会なら、好きなファッションが近い人やショップが集まってるから、以前の雑誌みたいな役割もできたらいいなと思ってます。
大石:今思ったのが、雑誌とネットの違いって、紙の辞書と電子辞書の違いみたいな感じかも。紙の辞書だと、開くと近くにある言葉も一緒に覚えるみたいなことよく言われるじゃないですか。電子辞書は、知りたいことがすぐ調べられるけど、ピンポイントになってしまうという。
山田:まさにそうですよね。雑誌がそういう役割を担わなくなったことによって、ちょっと上の世代からしたら有名なブランドでも、若年層からは知られていないブランドになってしまっているのが現状だと思っています。
大石:SNSを通してブランドに直接アクセスできるようにして、さらに雑誌のようにロリータのブランドを一挙に見つけられる場を作る、ということですね!雑誌の次の時代に、ロリータファッションとカルチャーを盛り上げるキーがここにある気がします。
個人ブランドとロリータファッション
大石:雑誌や有名ブランドが次々なくなったっていう時期に、個人作家のブランドが台頭してきたのかなと私は思ってるんですが実際どうなんでしょう。
山田:そもそもロリータに限らず、ハンドメイドブランド自体が一気に流行りましたよね。
コロナ禍が後押しになったと思います。
あの時期って、おうち時間を充実させよう!という感じでminneとかがかなり広告を出していた印象があって、それでハンドメイドを始めたという人も増加した気がします。
私の知り合いのブランドで、元々ビーズがメインアイテムでちょっとだけ刺繍のアイテムも出してたブランドがいたんですけど、その刺繍が本当に素敵で刺繍のアイテムをもっと強化した方がいいと勧めたら、実際たくさんのロリータちゃんに刺さって今は刺繍のブランドとして有名になっているところもあります。
あの時期は良くも悪くも家で過ごさなければならなかったので、こだわった作品も生まれやすかったかもしれませんね。
ロリータでは、個人ブランドが徐々に力をつけてきたというよりかは、分かれてた層が混ざり合ったのかなと私は思ってます。
今までは商業施設に直営店があるような有名なブランドが好きな層と、個人作家さんを好きな層って完全に分かれてたと思うんですよ。でも最近、BABY, THE STARS SHINE BRIGHTがすごく好きな人でも個人作家さんのアクセサリー使ったりとかしてるんです。
個人作家さんの影響力も徐々に強くなってきたのかな。ラフォーレ原宿に愛と狂気のマーケットってありますけど、今までは相当知名度があったり話題を呼んでいるブランドでないと、そういう館に置かれることってあまりなかった。
でもコロナ禍で店舗を維持できないショップが増えてテナント枠が空いてしまったから、館としては期間限定で埋めようっていう流れになるんですよ。それでハンドメイドのポップアップショップが増え、ポップアップになるとより規模感が小さいブランドも出店しやすくなって……という流れが、本当にコロナ禍で一気に進行した気がしますね。
あと、ロリータもちょっと自由化したというか。
ロリータは頭から爪先まで同じブランドで揃えなきゃいけない、みたいな風潮だったのが、今は緩くなってませんか?それも追い風になってると思います。
大石:確かに昔に比べて自由化した印象がありますね。ロリータブランドでお買い物するのと、そういう個人作家のブランドの即売会でお買い物するのとでは、どのような違いがあると思いますか?
山田:個人ブランドの魅力としては大きく2パターンあって、一つは、細やかな手仕事。
メジャーなブランドでは到底できないような、リボン刺繍を贅沢に施しているとか、手で布やレースを染めてるとか、一点もののアンティークのパーツを綺麗に加工して使用しているとか。
そういうのって細やかなところまでこだわっているからこその個性だと思うし、そういう細かいところに価値を見出せるのがロリータさんの特性だと思うので、そこの相性がハマった結果ではないかというのが一つです。
もう一つは、どうしても多くのロリータさんに刺さることを念頭に置かなければならない大きなブランドではできない、個性的なデザインのアイテムが手に入るっていうところかなと私は思います。
オリジナル感のあるコーディネートをするってなったら、そういうハンドメイドのアイテムってすごく魅力的に見えますよね。
大石:ゴスロリマーケットを開催する上で、そういう個人作家さんのブランドとの関わり方としてこだわっているところはありますか?
山田:ゴスロリマーケットでは、ポスターにもイラストとかをメインには使わず、実際に販売しているものをメインに載せるようにしています。着ているモデルさんや架空のアイテムではなく、実際に手に入れられるアイテムに恋をして来てほしいから。
あと正直、私の仕事の3割くらいは作家さんのメンタルヘルスケアだったりするんです。
素晴らしい作品ばかりで心配することなんてないのに、イベント前になって自信を失ってしまい気力を失う方も少なくなくて、こまめに連絡をとってケアをしたり、場合によってはお茶したり。
それにより繋ぎ止めてきた縁がすごくあるから、そこは企業じゃないが故にできることだと思ってますね。
イベントを一緒に作り上げていく上でトラブルが起こったりするのもコミュニケーション不足が原因なことが多いと思うので、私はコミュニケーションをすごく大事にしたい。
今後扱うブランドが増えても、このスタンスを変えずにいきたいなと思ってます。
原宿を盛り上げ、個人ブランドの認知拡大のために
大石:今後の展望としてやっていきたいことはありますか?
山田:軸としてはずっと同じなんですけど、一つは原宿を盛り上げる。
あの頃うきうきした気持ちで来ていた原宿を大事に守りたい。それが理由で、会場費が高くても、これ以上広い会場がなくても、私は原宿から動く気がないんです。
たとえばゴスロリマーケットとは別に、できるかはわからないけど、毎月第何土曜日がロリータの日、とか定期的に決めて、いろんなお店や団体を巻き込んでスナップを撮ったり、定期的に刊行できるものがあったらいいなと思ってます。
SNSで日々流れていってしまうものじゃなくて「ブツ」として残して、定点観測することってすごく大事だと思うんです。
ゴスロリマーケットでも初回からずっとスナップをやってるんですけど、それ見るだけでわかるものがいろいろあるんですよ。今雑誌がなくなってしまったからこそ、そういう定期的に見られる刊行物を作りたいと思いますね。
ということで、一つは原宿を盛り上げること。
大石:なるほど、今なかなかない、「ブツ」として残る冊子のようなものを作るということですね。
山田:二つ目は、海外との繋がりを強化したい。
日本からの海外への輸出もそうですし、行ってみて初めてわかる海外のロリータさん情報も多いし、もっとその繋がりが強くなれば面白いのになと思ってて。
最後は、個人ブランドの認知拡大や、規模感を大きくするお手伝いがしたいなと思ってます。
ゴスロリマーケットに出るタイミングに合わせてブランドを始めました、って最初の原宿スペースが会場の回から出てくれたMoonrise Theaterってブランドがあるんですけど、今はATERIER PIERROTでの取り扱いもされていたり、ファンもどんどん増えている。
そういうブランドが増えていったらいいなと思って、ステップアップしていく階段を用意することができたらいいなと思ってます。
まだセレクトショップで扱ってもらえるかどうかの一択みたいになっちゃってるのが面白くないなと思って、私の立場だからこそできることを考えたい。
大石:今後ゴスロリマーケットからBABYみたいなブランドが生まれるかもしれないってことですよね!
山田:そこまで有名なブランドがゴスロリマーケットから誕生したら最高ですね!でも本当に、それくらいのブランドを育てたい。みんなが集まることによって認知度を上げていくことが大事じゃないかなと思うんです。
今度、オンラインショッピングモールを作るんですよ!
ゴスロリマーケットをきっかけにフォロワーが増えたとか、繋がりが増えました、ってブランドの話もよく聞くので、それはすごく嬉しくて、そういう場をオンラインでも作れたらって思ってます。
若い子からすると、「有名なブランド」=SNSでフォロワーが多い、とかよく流れてくるブランド、ってイメージになっちゃうのがもったいないなと思って。
雑誌の時代を知っている人たちにとっての「有名なブランド」っていう認識と、かなりズレてるんですよ。
せっかくユーザーも増えてきてるのに、新規のユーザーにはあまり知られない良いブランドがたくさんあるっていうのはもったいないから、そこを改善したいなっていう問題意識があるんです。
あとモールが開始されたら、作家さんが国内の拠点に作品を送るだけで海外の購入者の自宅に転送されるサービスとも連携するんですよ。
今までは年1回とか海外でゴスロリマーケットを開催してその場で購入してもらうことしかできなかったけど、好きなブランドを見つけられたら、今後は海外の人も日本のユーザーと同じような動きでお買い物ができるようになる。
複数のブランドから買ったものも同梱して送ってもらえるので、送料も安く抑えられて海外に住んでる人からしたら革命だと思います!
ブランドとユーザーを直接繋げたほうがそのブランドの利益にもなるし、業界全体が盛り上がる話にもなってくるんじゃないかと思ってるんですよね。
大石:ファッションショーをするとかは?
山田:モールのサイトができ次第なんですけど、やります!
ファッションショーで見た服の詳細をその場で見られるようにサイトを連携して、入場時に渡した冊子からQRコードを読み込んだら、細かな仕様の詳細もわかるし、いつ発売かもわかる、って仕組みを作ったらめちゃくちゃ良くないですか?
気になったらその場でその服への愛を深めることができる。そういう環境を整えたいなと思ってます。
あと、許可的なところでいろいろと難しいかもしれないんですけど、遠足がしたいな。地方のかわいいお店とかを巡るツアーとかしてみたい。
素敵なコテージを借りるとかもかわいくないですか?お城を見に行ったり。
購入機会があり、着る機会がある、って大事だと思うから、どっちの機会も提供していきたいなと思います。
「どういうときに服を買いますか?」ってアンケートを過去にとったことがあって、もちろんたまたま見つけた商品がかわいくてってパターンもあるし、ブランドをずっと追いかけてるってパターンもあるけど、何かのイベントに合わせて服買おうっていうきっかけも多いんですよね。
ファッションは着ないことには始まらないので、オンラインもやりつつ、お茶会やお出かけ会など、ゴスロリマーケット以外にも集まる場も増やしたいです。
これからのロリータファッションの可能性
大石:山田さんは、これからロリータファッションはどうなっていくと思いますか?
山田:今ロリータのメインの層って30代と言われてるけど、それよりも上の年齢でもすごく美しくロリータを着こなしていて、若い子たちからも憧れられる人たちってやっぱりいるんですよね。
この前ゴスロリマーケットを開催したときに、会場内の雰囲気って感じで、いろんな人のコーディネートを1秒ずつ載せていくショート動画をTikTokにアップしたら、50万再生くらいされたんです。
その中で、いくつか反応がいいコーディネートってあるんですけど、TikTokの若いユーザー層にウケてたのが、スチームパンクとのミックスとかクラシカル系とか皇子系、あとは50代の方のマダムっぽい着こなしのロリータ。そこにたくさんコメントがついていて、年齢を重ねていった人にとっても目指すファッションがいろいろあると思うし、若い子は若い子でいろんな未来があるなって。
ロリータはこうあるべきというルールのある時代があったからこそ、このファッションに名前がついて今があると思うけど、今は多様性というか、広がってきているじゃないですか。
その中でもまた、これはロリータでこれはロリータじゃない、みたいな論争も起こる。しかも歴が長い人だけでなく若い子の中でも。SHEINとかが流行ってる時代だからこそ、若いロリータの子が「あれと一緒にしないで!」みたいなことを言っていたりするし、時代は巡るなぁって、勝手に嬉しくなっちゃう(笑)。
そうやって多様化していく人がいる一方で、ずっと自分の考えを守り続けてる人がいる。やっぱり、このファッションの真ん中には人それぞれの強い精神があるんだなって。多様化して薄れていってなくなるのでは?と心配することはないなって思います。
今まで皆の認識を統制していた雑誌というものがない以上、今後どうなっていくんだろうなとは思いますけどね。
「 ロリータ」の解釈が広がったり、統制があったりの繰り返しになるのかな。
変わり映えのない業界って衰退していくと思うので、常に新しい風を入れる必要があると思ってます。
〈インタビュー後記〉
大手ロリータブランドはレジェンドのような存在として君臨し続ける一方で、気鋭の個人ブランドは次々と生まれ、ロリータファッションに新たな風を吹き込んでいます。
そんな個人ブランドとロリータのユーザーを繋げ、購入機会と着用機会を提供する試みを続けているゴスロリマーケット。
インターネット上でピンポイントに情報にアクセスすることと、リアルな即売会という場で好きなファッションを通して人と交流したり、周辺のブランドを広く知ること。
その両輪を動かすことで、ゴスロリマーケットはロリータファッションを始めたり長く続けていけるような場を作るという、かつての雑誌に代わるような役割を担っているのだと思います。
私もこれからのロリータさんたちが生きるリアルな場というものに注目し追っていく中で、今年以降のゴスロリマーケットを通して新たな出会いや発見が広がることを楽しみにしています。
(聞き手・文責:大石蘭)
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