12月の宮之浦岳に登った話
九州最高峰をご存じだろうか。
ちなみに九州“本土“の最高峰は九重連山の中岳(1791m)である。
何がいいたいかというと、
九州の離島にそれよりも高い山が存在する。
上記サイトを閲覧すると、なんと九州の高い山のトップ8は屋久島に存在する。
その中でも最も高い山が宮之浦岳(1936m)である。
宮之浦岳は屋久島のほぼ中央にあるため、屋久島沿岸部の集落からはその頂上を見ることはできず、昔から屋久島の住民からは「奥岳」と呼ばれる山々に分類されていた。
また頂上からは360度太平洋を眺めることができるため「洋上アルプス」という異名を持つ。
そんな南洋に浮かぶ離島の宮之浦岳だが、その標高の高さから12月下旬からは雪積期に入る。
今回はその宮之浦岳の雪積期に入るギリギリに登ってきた話をする。
12月中旬某日、屋久島に前日入りし、翌日午前4時過ぎから淀川登山口まで車を走らせた。
ちなみにナビゲーション上は1時間程度の所要時間であったが、登山口までの山道は細く、舗装もところどころ陥没しており、悪路であった。さらに街頭もほとんどないため、ナビの所要時間通り到着することは難しい。
5時半に登山口に到着、この時期の日の出時刻は7時であり、あたりはまだ真っ暗であった。入山料1000円を所定の場所に投入し、ヘッドライトをつけ登り始める。
なぜこんな時刻から登る必要があるかというと、宮之浦岳の日帰り登山は一番所要時間の短い淀川登山口からのピストンですら標準10時間のコースであり、日の入りも17時と早い12月では日の入りより先に登山を終える必要があるからである。
最初は淀川小屋まで見事な屋久杉の林を歩くのだが、日の出前で何も見えない。道は世界遺産とあってそこそこ整備はされているが、日の出前であり、一か所だけどちらに進むか迷う箇所はあった。
淀川小屋を過ぎたあたりからあたりは白み始め、屋久島の雄大な山容が明らかになってくる。
頂上に近づくにつれ岩場も増えてきて、冷たい岩肌に触れるために手袋の装着が必須になってくる。
頂上はさえぎるものがなく、凍える風が吹きさらしになっているため、長居はできない。この日は幸いにもガスがかからず全方位の景色が望めた。
「1カ月に35日雨が降る」といわれる屋久島においてこの景色が見れることはありがたいことである。
その後は予定時間よりも早く下山でき、車で宿に帰った。
往復7時間で出会ったのは人間一人とヤクジカ一匹であった。
最後に12月の宮之浦岳の登山についてメリット、デメリットをまとめてみる。
・メリット
宿や航空券も夏場より料金が安く、予約も取りやすい。
オフシーズンであり、淀川登山口の駐車場が空いている。
・デメリット
南洋の島といっても標高が高いため防寒具は必須。
日没が早いため日の出前から登山開始する必要がある。
淀川登山口までの路面が凍結していると、登山口まで車両通行禁止となる場合がある。
特にデメリットの3つ目に該当してしまうと日帰り登山はかなり厳しくなるため、事前に道が凍結していないかネットでチェックするのがよいだろう。
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