おしゃれができない子
私はおしゃれができなかった。
金銭的ではなく、心の問題だった。
小学4年の時、友人のさっちゃんと近所の雑貨屋に行った。
私はいつものようにかわいい鉛筆やメモ帳を探していると、さっちゃんが「お揃いで買おうよ!」とリップグロスを指差した。
衝撃的だった。
大人の使うものだという認識で、かわいいけど自分にはまだ早いと思っていた憧れの化粧品を、さっちゃんは何のためらいもなく買おうと言うのだからだ。
さっちゃんがとても眩しく見え、自分も買っていい年頃になっていたんだとウキウキして色を