九月のはじめに九月さんのライブに行った
「九月」という芸人さんがいる。文章を書くことに長けた方でTwitterの投稿がしばしばバズるので、そちらで知っている人も多いかもしれない。かくいう私も彼のことはTwitterで知った。
去る9月2日、興味にまかせて彼のライブ「まっさらな家5」へ行ってみた。兵庫県にあるシェアハウスを会場に、48時間ぶっ通しで行う凄いライブだ。めちゃくちゃ面白かったので、ファンレターも兼ねて感想を書いた。長いこと下書きのまま放っておいたのだが、このたびライブシリーズ「まっさらな家」が最終回を迎えるとのことなので、ギリギリではあるが出してみる。
会場
まず、会場が凄い。なんの変哲もない民家。周辺も普通の住宅街。会場の入口には、A4サイズのポスターが貼ってあるだけ。正直、入るときに「不法侵入」の4文字が脳裏をよぎった。
そして家に入ったは良いものの、ほとんど物音がしない。玄関に靴がたくさん並んでいるのに、人の声がしない。え、この家だよね?合ってるよね?どの部屋でライブしてるんだろう。あ、もしかして2階?そんなことを考えながらウロウロし、本格的に不審者っぽくなりはしたが、どうにか無事会場である部屋にたどり着いた。
九月さん
会場は狭くも広くもない和室だった。客席代わりと思われる布団が何枚か敷かれていた。部屋自体は暗く、コントをやるスペースと思しきところの照明だけがついていた。そしてその逆光を受け、九月さんがたたずんでいた。
正直……正直なところを言わせてもらうと、ちょっと怖かった。なにかしらの妖怪かと思った。和製ホラーの導入に使えそうなシーンだった。私が漫画のキャラクターなら、今しがた開けた扉を速攻で閉めていたと思う。
しかし私は現実世界を生きる人間なので、扉を閉めることなく一歩踏み出した。恐怖もあったが、それ以上にワクワクしていた。蚊の鳴くような声ではあったが、「こんにちは、はじめまして、よろしくお願いします」と挨拶をした。
それに、怖かったのは本当に一瞬だった。九月さんは気さくというか陽気というか、賑やかな方だった。すぐに挨拶してくださったし、私が持ち込んだ彼の著書にサインももらえた。
コント
挨拶をしてサインをもらったあとは、すぐにコントが始まった。
九月さんのコントは、時間にして1本数分間のものが多い。内容は様々で、高校の職員室を舞台にしたものもあれば、犯人を取り調べる警官を演じるものもある。
今回のライブで観たコントから、特に面白かったものを何本か紹介する。ぜひ動画を観て欲しい。
雑談
コントの合間合間に、九月さんはいろいろな話をしてくださった。コントに直接関わる話もあれば、あまりコントには関係なさそうな話もあった。
先程も書いたとおり、九月さんは賑やかな方だった。大きな体をめいっぱい動かし、大きな声を張り上げて楽しそうに喋る人だった。そんな人と話していれば当然、こちらも楽しくなってくる。最初は2,3時間で切り上げて買い物にでも行こうと思っていたのに、気づけば8時間くらい経っていた。
帰宅
できることならもっと長居したかったが、用事があったのでおいとました。
九月さんに見送られて外に出ると、当然ながら普通の住宅街が眼前に広がっていた。まだ日は沈んでおらず、視界は明るかった。
会場は暗くて非現実的な雰囲気が漂っていたので、内と外のギャップに少しくらくらしてしまった。さっきまで観ていたコントは、九月さんは、幻だったのだろうか?そんなことを考えてしまうほどに、あの会場は異空間じみていた。
まとめ
とても楽しく、そしてなかなかない経験をさせてもらった。コントは言うまでもなく面白かった。加えて九月さんの陽気さ、会場の異空間っぽさ、会場周辺の普通さ、そういった諸々がうまいこと組み合わさって、まるで古き良き和風ファンタジー系児童小説の世界に行って帰ってきたような気分だった。
伝わりづらい表現だなと自分でも思う。でも、実際に彼のライブに行ってみたらこの感覚を分かってもらえるのではないかとも思っている。少しでも興味を持ってくれた人がいたら、ぜひ行ってみて欲しい。個人的にはCoCの雰囲気が好きな人とかはハマるんじゃないかなと思っています。SAN値回復シナリオに行った探索者の気分が味わえる気がする。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?