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詩のようなポストを掘り起こして遊んでみよう#4

地獄のような試み。また再び。
過去のXへのポストから詩的な内容を掘り起こして、記憶の中から解説します。
ただ、遡るのが大変難しかったので、ごく一部となります。

さて、地元のお祭で初恋の人と会うという感傷イベントに触れたため、今回は出来が良かったと思い込んでいるやつを出してお茶を濁す!
真面目ぶって、とっても長い解説書いちゃった。ので深夜に投下。
夜闇に紛れさすことであまり目立たないようにしてみた。


https://x.com/yugosasshii/status/1829144257552363609?s=46&t=iB_43scpSgD-x9lrdxrpmw

organism -2024/08/28
人生が電灯であるなら、
思考はその電流に乗った微細なノイズが、
断裂した実態を意図めかしく思わせるもの。
浮遊する点と点は自由な律動であるはずなのに、
勝手に引いた線に納得してみたりする。
横殴りの雨にざらざらと撫でられ、
心の風邪に気付いたりする。

まだサンプル表示がある時の私と『organism』

解説

宮沢賢治の『春と修羅』のイメージを拝借しながら、VRChatのワールドである『organism』を遊んだ感想を詩としてまとめたものになっている。

人生が電灯であるなら、

電灯というのは『organism』内に頻繁に現れるオブジェクトの一つである。
これと『春と修羅』の「仮定された有機交流電燈」のイメージをかけ合わせて考えてみる。

思考はその電流に乗った微細なノイズが、
断裂した実態を意図めかしく思わせるもの。

『organism』では無機質な電灯が、オブジェクトとして散乱していたり整列していたりする。
その並び方や関係の在り方に、意図や意味を結びつけて人生っぽい何かだと思わせてくるのがこのワールドの特徴で、この部分はそのことについての感想を述べている。

ワールドに配置されているオブジェクトにはその配置を含めかなりの恣意性(論理的な必然性がない様)を感じる為、ほとんどのオブジェが解釈不能だったりする。
そういった解釈不能なものを無視して、気になったものだけを集めて一つの物語性や一本の通った筋を考えてしまう。

つまり、
なんとなく心の琴線に触れたもの=「微細なノイズ」が走ったものだけを集めてそれっぽい筋=「意図めかしく思わせるもの」を思考する。
現実世界においてもそうやって世界を認識しているよなぁみたいなことを『有機交流電燈』の例と被せて表現しているのがこの部分。

浮遊する点と点は自由な律動であるはずなのに、
勝手に引いた線に納得してみたりする。

前述の意図を繰り返して補強する用途で挿入した文。
要するにバラバラの実態も勝手にこっちで線を引いてなんとか解釈しちゃうよね、みたいなことが言いたいところ。

ここは一応、量子力学で有名な「二重スリット実験」に対する誤解をベースにした描写でもある。
二重スリット実験については難しい上によく解らないので解説しないとして、
蔓延している誤解としてはこれを「人間の意識が世界に変化をもたらす」と解釈する人が一定数いる。
これは大きな間違いなんだけど、これも「勝手に引いた線に納得してみたり」することで人がそう解釈していることの一つ。

つまり誤解しながら世界を見つめることを肯定している文になっている。

横殴りの雨にざらざらと撫でられ、
心の風邪に気付いたりする。

実際『organism』の中では雨がかなり印象的に用いられていて、ある場所では結構強い勢いで降り続けている。
心の風邪というのはこれでも愛情表現で、ワールドを共感しながら周ってくれたことで惹起された愛着みたいなものを表現している。

VRChatには基本的に感触は存在しないんだけれど、その完成された世界線に触れて「ざらざら」という感触を得た、という意味で、あえてオノマトペを用いている。

気持ちの中では雨ニモマケズの宮沢賢治由来ではあるんだけど、内容としてはあんまり繋がってない。
これは無理に解釈せずにそのまま置いておくことにする。


総評としては、感想とするにはあまりにも分かり辛い。
ワールドを見ている前提で進んでいる上に、ほとんど知らせる気のない引用(『春と修羅』もだし、『二重スリット実験』もそう)を用いた自慰っぽい詩ではある。
が、まぁ、だからか自分にとっては結構気持ちいい詩になっている。

ずっとそうだけど、もっと「伝えるということ」をこの作者には意識してもらいたい。

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