見出し画像

RSC環境のラティカエルフはナーフされるべきなのか?

はじめまして.
おいしい水という名前でシャドバをやっている人間です.

この記事は『ラティカエルフ』はナーフされるべきなのかを自分の視点で考えるコラムです.
おそらく競技としてやってる中級者以上のプレイヤーにとってはピタリと同じでは無くても似たような事は聞いたことがあるとか,考えたことがある内容だと思います.ゲームにおいて自分が考えていた内容を公開記録として残したいという気分になったので書き残します.
画像が少ない上に固めの文になっちまったので,おそらく読みづらいですが我慢して読んでください.

競技的に見たらラティカエルフは
ナーフしなくて良い

シャドウバースというゲームにおいて,競技的に問題があるかどうかを判断する論点は,受けに回ったデッキが勝てるかどうか、そして,そこに相手との駆け引きが存在するかどうかの2つがあると思います.
自分のプレイの上手さは関係はすれど,本当に相手の行動に依存せずに勝敗を決めてしまうデッキは,勝率以前に競技として不健全です.

早いOTKが可能かどうか自体は競技的には問題が無いと考えます.それは何故でしょうか.端的に述べるとするならば,ゲームが競技として成り立つ条件が,相手との駆け引きが勝敗に関与する環境である事であり,このOTKの存在が環境において相手に駆け引きを辞さないものではない.という事です.自分はそもそも,このデッキをそこまで理不尽なデッキではないと考えています.

どう見ても理不尽な盤面

理不尽ではない?????

では,『ラティカエルフ』はこれらの論点に該当するのでしょうか?それを考える為に,次では「攻め」と「受け」について着目しつつ考えてみたいと思います.

「攻め」と「受け」とは何か

用語としては確立していないように思いますが,このゲームをやる上で大事な考え方です.いつ攻めに転じるのか,どう攻めるのか.或いは守るのかといった事は基本的ながら,どの環境においても重要だと言われてきました.

今回の論においては,この「攻め」「受け」という概念を,ゲームにおけるターン毎の総合的にみた時の状態と定義します.双方共に「攻め」てないとか,「受け」を行っていないという事もあり得るでしょう.
ゲームにおいて,相手の体力を削る為の行為は全て「攻め」だし、相手の「攻め」の行為に対して対応して止めようとする行為は全て「受け」だと考えます.それはそう.
特にこのゲームにおいて,先に「攻め」を行うアドバンテージを得られているかどうかが勝率に寄与しやすい事も特徴として挙げられるでしょう.デッキタイプにも依存する話なので一概には言えませんが,同じデッキ同士が戦った時,基本的に先に顔を削り始めた方が勝ちやすい事が多いです.
全てが同じ能力のデッキ同士が戦った時に,先に削り始めた側が,これまた先に相手の体力を削り切れる事は想像に難くないでしょう.そういう意味で先に「攻め」に移行できる先行は大きなアドバンテージを持っていると言えるでしょう.先行という札が強いという意味の一面だとも思います.
しかし,先行が絶対攻め側になるかというとそんなことはなくて、デッキのレンジや爆発力の問題で、毎ターンのお互いの盤面の状況で変化します。今期のデッキで例えると,『アグロロイヤル』といったデッキが後手であっても1ターン目からフォロワーをプレイし早期から「攻め」を行う反面,ミッドレンジ帯のデッキである『ヤテラントゥビショップ』は盤面のフォロワーを捌いたり,回復をしたり,盤面にフォロワーを立てて押し付けたり、面ロックをする事で相手からのクロックをコントロールしたり...といったプレイを行うことでターンを過ごし,デッキの爆発力が発揮される7ターン目以降まで耐える「受け」の行動を強制されます.このように,「受け」側は,如何にその「攻め」を捌いて自分の勝ち筋を通すかが大事というゲームになります.

この後セラ進化盤面がパニスナで処理不能起こして勝った

マーロンを出すのだけはやめてくれ.

余談ですが,2pickというフォーマットはカードプールのカードを制限された状態から組み上げ,即興で勝ち筋を組み上げなければならないという点で,「攻め」と「受け」の能力が試合に顕著に表れるルールだと思います.
RAGEシャドウバースプロリーグの試合を自分が見る限り,GxG所属の2pick専門プレイヤーであるフォレストさんは特にこの感覚がピックを行う所から試合において勝ち筋を考えて,通す所まで全て上手で,その上手さに運がついて来てくれてる印象まであります.ラティカより森さんをナーフすべきなのでは?万緑は森さんだった...…てか家?
閑話休題.

ラティカエルフに如何にして
「つきあう」のか

さて,なぜ「攻め」や「受け」を考えていたかというと,駆け引きがあるかどうかが競技的に問題があるかどうかを決める.という点について考える為です.ここからは,『ラティカエルフ』のデッキが如何に「攻め」を通すのか,それに対しどのような「攻め」或いは「受け」を通せば勝てるのかという事を考えていきたいと思います.

「ラティカOTK」はデッキの性質上、6TにOTKを決めるには以下のような要素が考えられ,且つ重要な要素となっています.

1)0コストを供給してくれるフォロワーを置く事で,必要牌を集める必要性 
2)相手の守護等の妨害を掻い潜りつつ,疾走打点を相手体力に充てる必要性 

《英雄の覚悟》による盤面形成や《生命の宴》による処理強要の押し付け等もあり,一概には対策できているとは言えませんが,どのプランに於いても同様に準備のターンが必要かつ,爆発力を発揮するターン自体は変化していない為,(これ以上話を広げるの正直面倒くさいのもあるので)このまま話を進めたいと思います.
ゲームの序盤ではフォロワーをプレイする事で相手の「攻め」等に対応しつつ準備を行い,6T目以降にプレイ回数を稼ぐことで爆発的な「攻め」を通すというのが,このデッキの主軸と言えるでしょう.

これに対してどのように対策できるでしょうか?

1つ目は、1)の要素に着目し,最大の攻めターン且つOTKを決めてしまえる6Tまでに圧をかける、『相手より先に「攻め」るプラン』です.
ラティカEに対し盤面を形成し処理強要を押し付けることで,相手の0コストである《フェアリーウィスプ》を《瘴気の妖精姫・アリア》の効果に起因する突進効果による処理に使わせる事で、6ラティカを実質起動不可能にするというものです.
でも《幻獣の遣い》に《ウィンドフェアリー》がくっついて2プレイするカード追加2枚引かれたらOTKされるからやっぱりカsゲフンゲフン

2つ目は、2)の要素に着目し,そもそも相手の攻めを止めて自分のゲームプランを通す『相手の攻めを「受け」るプラン』があります.
相手の疾走打点を《極光の天使》で減衰させリーサルを回避する、《招来の大天使》でライフ上限を上げ打点を届かなくさせる、加えてコストアップにより《英雄の覚悟》のコストを上げる事で対面の要求値を上げる、《ラミエル》等の処理の難しい守護を一体以上並べる事で処理不能を起こし,自分の体力に通る打点を減らす等のプランが考えられます.一番有効なのは守護を並べることで相手のリーサルを回避するプランでしょうか.他のメタカードを利用するよりも自然にデッキにギミックを組み込んで且つ,1つ目の『相手より先に「攻め」るプラン』を同時に行えることが多いと考えられます.

冷静に盤面処理されていたら負けてたかも

こんな感じに上手くいけば良いなあ.

こういったプランを実際にゲームで行えているデッキは現環境に存在するでしょうか.『アグロロイヤル』や『機械ネクロマンサー』といったデッキタイプがこれに当たるでしょう.序盤からフォロワーを盤面に並べつつ,中盤には《光耀の標・ミストリナ&ベイリオン》や《マンマル2号》といったフォロワーを盤面にプレイして対応しており,環境に刺さっているように見受けられます.人によっては《シュヴァリエ・マグナ》といったダメージカットを併せ持つ大型守護フォロワーや《トリニティモンスターズ》といった処理をすることによるデメリットにより確実に処理不能を起こすといった選択肢を考えるプレイヤーも居るかもしれません.

デカくて強そう(小並感)

書いてある事は環境的にもそこそこ強い…
いやコスト重くね?

またまた余談ですが,解説実況などでこういった体系的な視点で試合を解説できるとよりe-Sportsって言い張る論点になるのかなあとか思います.自分は余りシャドウバースの競技シーンでこういった記事を読んだことが無いです.自分が調べてないだけなのかもしれないのでなんとも言えません.攻略記事に比べて話題に上がりづらいといった所も大きいのかなと思います.
とはいえ今の友田さん&まるさん等に代表されるであろう,競技環境におけるシャドウバース実況解説は,プレイしてる人にはわかる解説実況はされてるなあって毎回聞いてて思うから自分は好きです.最近では大会前のメタ解説や番組内でのデッキ解説なども増えてきており,より充実した内容になってきてると思います.
自分は実況解説においても,「攻め」や「受け」という考え方に似た要素として「デッキの強い時間帯」と言った表現等をされていて,裏でわかりやすく説明する努力をなされているなとも感じています.
ただ、「シャドバをやってない人にシャドバの試合を見てもらう」事を考えた時に、こう言った視点で試合を解説する事も盛り上げる為に考えられる1つの方法なのかなと思います。いや想像すると固くて無茶苦茶おもん無い気がしてきました。「カラクリ/KBS感謝のギガントキマイラアァァァ!!!」って叫んでる実況が他の何より良すぎるのでやっぱやめましょう.
また閑話休題.

飽きてきたから総評

最近の環境はインフレの関係上,所謂「コンボデッキ」が環境のトップになる事が多いです.特定のレンジでとんでもない爆発力で相手の顔を削る事によって勝つデッキが「コンボデッキ」に該当します.最近のデッキだと前期の『ロキサスエルフ』や『アーティファクトネメシス』などが該当するでしょう。勿論今期の『ラティカエルフ』,もしかしたら『ヤテラントゥビショップ』もコレに該当するのかもしれません.
以上の事から,早期のOTKが強すぎてナーフすべきだという主張は論点としては良くなくて、受けに回ったデッキが駆け引きが行えるのか?が問題であると思います.そして,結論としては駆け引き自体は生じており,そこまで理不尽なゲームではないと今回は結論付け,ナーフの必要は無いと考えます.
勿論,以上の事を踏まえても決定力の差やデッキの持つ安定感の問題から勝率に偏りが生じるといった結論から運営がナーフを行うといった予想も成り立ちます.皆さんも是非自分で仮説を立て,それを元に論を立ててナーフされるかどうかの予想をしてみては如何でしょうか.

Q:実際問題ナーフされんの?
A:環境初期に暴れた理不尽デッキはナーフされてるんだよなあ
有識者が既に色々言ってる通りだと思います

(勝手に引用してます.LVSも魅力的なプロチームの一つです.この選手は勝てない星の元高校に居たらしいのですが,最近のRAGEでしっかり勝ち上がりプロまで上り詰めた,競技プレイヤーの中でも有名な界隈のインフルエンサーの一人です)
これだとフォレストフェアリー等の0コスト生成と,アイアロンの残骸或いはモスコの実のような軽い且つカウントダウンの早いアミュレットがコストアップになったり,カウントダウンの数が増えたりするのでしょうか.

昔の猛虎のナーフが訳わからんだったなあ,という思い出を考えると良い調整を願うばかりです.

この長文が誰かの思考の助けになれば嬉しいです.
おわり.

追記:《英雄の覚悟》のナーフが来ました

OTKは許されましたが,流石に覚悟の守護盤面は理不尽判定を受けてしまったようですね.本記事に書いた『ラティカエルフ』への対応の内容は全て《英雄の覚悟》による高スタッツ守護の押し付けを行う盤面に対し,処理不能を起こして負けざるを得ないです.その上,盤面処理をできるデッキで勝とうとしても,自身のリソースは大幅に吐かされる事になる反面、エルフ側は《英雄の覚悟》のドローによるリソース回復でラティカによるOTKが後ろのターンに寄るだけで,結局ゲームに勝てない事が多かった印象でした.なので,アーキタイプを崩す事なくパワーを落とすという点で良いナーフだったと思います.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?