貴方に沸いた殺意①

颯のお腹から脚にかけて滴り落ちる血。血の色はドス黒く、だんだんと辺り一面が血の海になっていた。この血を見て颯は力が抜けたように倒れる。
「お前が悪いんだ…お前のせいでっっっ…」
目の前の男はそう言って泣きながら崩れ落ちる。もう力は残っていないようだった。反撃のチャンスだと思い体を起こそうとするが、これ以上動けない。目の前の男に対する怒りと自分への情けなさの中、颯の視界は霞んでいった…。

 
 
 
 
 
 
 
冬の街阿倍野。人が忙しく行き交う中で見つけたのが君だった。
「あれー?颯じゃない?」
「おー!野田、中川久しぶり!」
「元気してた?大学ぶりだよね?」
「元気元気!大学ぶりだな!」
と会話が弾む。しばらくしてから僕は彼女達の後ろにもう一人女の子がいることに気づいた。
「そこにいる女の子は?」
「あー、美由紀よ。大学時代の友達なの。」
「そうなんだ。よろしくね。美由紀さん。」
「はい。よろしくお願いします!」
そこから僕たちは立ち話もなんだからと言ってとあるカフェに入った。 
「ここのカフェ有名なんだよ!ずっと行きたかったんだー!」
野田が嬉しそうに言う。
「そうそう、えりかずっと行きたいって言ってたもんねー。そういえば美由紀は旦那さんとここのパンケーキ食べたことあるんだよね?」
「そうなの。凄く美味しかったわ!」
「あーもう待ちきれない!早く来ないかなぁ。」
野田が目を輝かせながら言う。
「もうえりかったら焦りすぎ。もう少しで来るわよ。」

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