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2度と行きたくない場所

2度と会いたくない人だとか、2度と食べたくない物だとか、人には「never!」な物がそれぞれあるだろう。

2度と経験したくない事だったり、2度と観たくない映画だったり。

ちなみに私が2度と観たくない映画は「ミスト」である。

「後味が悪すぎる映画」の常連映画だが、本当に後味が悪い。面白いしハラハラするし、ラスト数分まではとても良い。しかし絶望的な救いのないラストで全てが塗り潰される。

興味がある人は是非。

さて本題。私には2度と行きたくない場所がある。

山口県下関市にある赤間神宮だ。

寺社仏閣(というか神社専門)巡りが好きなので、赤間神宮にも若い頃に参拝した事があった。

有名な壇ノ浦で入水自殺をした安徳天皇(平清盛の孫)を祀ってある神宮だ。

耳なし芳一の話は有名だが、その耳なし芳一が夜な夜な呼ばれて琵琶を弾いていた場所がこの赤間神宮周辺だと思われる。

そう、赤間神宮は壇ノ浦で滅亡した平家を祀る神宮であり平家の沢山の墓石が建ち並ぶ場所だ。

もちろん耳なし芳一の墓もこの赤間神宮にある。

当時はそんな事も知らずに、ここに訪れたのだが境内に入るや否や冷気を感じて鳥肌がたったのを覚えている。

空気が重く冷たく、深い海の中にいるような錯覚を覚えた。奥に進んでいくと肌にまとわりつくような湿度を感じた。

その辺りで(平家の墓所だ…)と気付いて合点がいった次第。

(真偽の是非は敢えて問わないで欲しいが)時折、この世ならざる存在を感じる事が当時からあったが、ここほど明確に感じた場所はなかった。

特に耳なし芳一の墓所周りは怖くて寄れない空気だった。

それはそうだ、源氏憎しの思いで一族郎党断崖に身を投げたのである。その念のようなものが今以て充満しているように感じた。

あまりに気持ちが悪く、外に出て外観だけ記念に数枚撮影して退散した。

当時はデジカメなど存在していないのでインスタントカメラでの撮影だったが、フィルムを現像して青ざめた。

36枚撮りのフィルムの、赤間神宮を写した数枚だけ一面灰色しか写ってなかったのだ。それ以前もそれ以降もちゃんと写真は撮れているのに赤間神宮だけ写っていなかった。

全て勘違いや故障などが偶々重なっただけどなのかも知れないし、真実はわからないが、少なくとも興味本位で行っては行けない場所だなと身に染みた経験だった。

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