婚活中の人間が見た、ザ・ノンフィクション 結婚したい彼と彼女の場合 ~令和の婚活漂流記2024~

2024年2月4日(日)放送のザ・ノンフィクション 結婚したい彼と彼女の場合 ~令和の婚活漂流記2024~を観た。
婚活中の身としては目をそむけたくなるようなしんどい部分も多かったが、非常に興味深く他人の婚活を拝見した。

SNSを見ると取り上げられていた3人より、29歳の恋愛経験なしの男性を終始半ギレで対応し、詰めまくって、揚げ足をとりの挙げ句被害者ヅラして退席した女性・北川さん(34歳)が叩かれている。

私としては彼女が一番境遇が近いから辛い。
どうかヤラセであってほしい。ただでさえ自己肯定感が下がりまくる婚活中なのだから。

出演した全員に言えること。
それはみんな「がんばっている」。
結婚なんて誰もが自然に当たり前にできると思っていた。
それがうまくできない自分に苦しみつつ、慣れないことを日常と並行しながら「がんばっている」。

でも相性とタイミングと生理的な感覚。なにより縁は努力だけではどうにもならないこともあるのだ。

私も婚活を「がんばっている」つもりだが結婚できていないので偉そうなことを言える立場ではまったくない。憶測に過ぎない部分もあるが、自戒を込めて少しだけ思うところを・・・。

実家で母と暮らす交際経験なしの男性・進藤さん(29歳)、会社役員でバツイチの筋トレ大好きスナック通い男性・内田さん(55歳)の異なるであろう点。

それは、お見合い写真と実物との乖離ではないであろうか。

ふたりともお見合いから仮交際になかなか進めずにいるが、進藤さんはお見合いで手応えなくそのままお断りされ、内田さんは手応えを感じているのにお断りされる。

内田さんは、ダイエットに成功し、筋トレに夢中になっている。自分の中の自分像が出来上がっているため、写真撮影時にも自分らしさを出すための意見を出していたのではないだろうか。
また、短髪でヘアセットの再現がしやすく、年齢を重ねた皺や肌質はメイクで隠しきれないものであるからも、「写真と実物が違う」ということになりにくいのではないだろうか。
良い意味(とは言い切れないかもしれないが)で写真で見た印象のままの人が来たことで、お見合い相手の女性たちも構えることなくお見合いに入ることができているのだと私は思う。そこから先に繋がらないのは内田さんにデリカシーや共感力がないせいだが、少なくとも女性たちは内田さんと「会話」をしたうえで、価値観の相違や不快感を感じたりしている。

一方、進藤さんは結婚相談所のアドバイザーのされるがままに自分では再現できないヘアメイクを施され、ポージングまで指定されて撮影した奇跡の一枚をプロフィール写真に設定している。若い進藤さんはメイクのノリも特に良かったに違いない。素敵な婚活男性としての演出は成功したが、進藤さんらしさはファンデーションと一緒にカバーされてしまったのではないだろうか。

写真詐欺は女性のイメージが強いが、実際は男性もかなり多い。私もお見合いで待ち合わせている相手が写真と違いすぎてわからなかったことが何度もある。写真ではメガネをしてない人が、ずり落ち鼻メガネで登場したら同一人物だってわからないよ。

進藤さんとお見合いをする女性は、イメージしていた進藤さんと実物の進藤さんのすり合わせから入るため、思い込みが強ければ強いほど、進藤さんと向き合い始めるのに時間がかかってしまうのではなかろうか。

そのうえで、先述の北川さんについて話を戻すと、婚活戦線の中で34歳の女性が29歳の男性とお見合いが成立することは、奇跡にも近い特別な出来事なのである。

どうやら彼女はお見合い会場で黒いラフなTシャツから、アイボリーの清楚なワンピースに着替えたようだった。黒いTシャツでアイボリーのワンピースに合うヘアメイクをしてきたら浮いてしまうことがピンときてないか、または黒いTシャツに合うヘアメイクでワンピースだけ着替えたのであれば、失礼ながら特別にお見合い成立率が高い方ではないと思う。前後にやむを得ない用事があったとしても、この先の人生をともに歩むかもしれない人と始めて会うことへの気合が見られないのである。

とはいえ、彼女は婚活をしている。お断りやお申し込みに一喜一憂し悩みもがきながら、やっとの思いで成立した1件のお見合いに藁にも縋る思いになるはずだ。それが5つも歳下の男性で写真の印象が好印象だとしたら、母親との同居やちょっとしたスペックの課題など気にもならなくなるほど期待してしまうのではないだろうか。自分の年齢を知ったうえで会ってくれるのだから、プロフィールではわからない「何か」があるような気がしてしまうのだ。いや、そう思わないとやってられないのだ。

でも、目の前に現れた男性は自信がなさそうだけどプライドの高さが見え隠れし、首だけ前に出た姿勢で鼻マスク(しかも黒)。マスクをはずしたら剃り残しの髭。あいさつの間合いが悪く、クセの強いコーヒーカップの持ち方、話が断片的で会話が広がらない・・・・。

だからといって、写真と違いすぎる進藤さんを前に、最初から攻撃的な態度で詰めまくっていいとは思わないが、自分が相手にとって明らかに好印象ではない態度であることがわからないほど、わかっていても止められないほど、心がぼろぼろなのではないだろうか。

でも、そのうえで北川さんが忘れてはいけないのは、進藤さん側からもお断りされていること。
どんな人からも好かれる努力をしなければ、自分が好かれたい人が現れたときにピンポイントでその人に好いてもらうのはどうにも難しい。

まずはお見合い写真で相手に興味を持ってもらわなくてはいけないのに、写真と現物の違いでお断りされる・・・。その微調整がうまくできたらいいのに、どうにもなかなか難しいようだ。
お見合い写真でドーピングして試合に出ても、勝ち抜くための基盤や競争心がないと副作用のダメージのほうが大きい。

皮肉にも来週の後編では、二重整形をした婚活女性が仮交際相手に「以前と顔が違う」と指摘されてピンチを迎えてしまう・・・。

デートを重ねてお互いの中身を知り始めても、仮交際相手が気になったのは、写真と違う「顔」だったのだ。

結婚は最終的に「顔」で決めるべきことでないからこそ、「顔」が一番最初に重要になるのかもしれない。


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