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【Shadowverse】2021年、ナーフされたカード集

2021年、この1年間でナーフされたカードを、環境の振り返りをしながら解説していきたいと思います。最近シャドバやってないよって人も、是非ご覧ください。


昨年度版はこちら↓
https://note.com/oildrinker_sv/n/n589563428ea4


【ETA期(1月〜3月)】

〈1/26施行〉


スカルフェイン

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主な採用デッキ:アミュレットビショップ(アンリミテッド)
罪状:上振れアミュレット破壊罪

 ダメでした
 元々は記念すべき最初のパックCLCのレジェンド。アミュレット全てを破壊する効果は一見すると強力だが、当時のアミュレットはそこまで優秀ではなく、アミュレット主体でデッキを組むにはあまりにもパワー不足だった。また、コイツ自身も7コストとかなり重く、その割に本体が4/4とスタッツ不足、となると実用性は皆無と言っても過言ではない。さらに天空の守護者・ガルラバハムート(当時はアミュレットも破壊できた)のようなライバルが登場すると、アミュレット軸の中ですら立ち位置は一層厳しくなった。
 しかし、そのイラストに漂う物々しさや妙に掠れたボイスには一定のファンが付き、実戦で見ることこそ無かったものの、愛すべきネタカードとしての立場を不動のものにした。

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 それから4年後、SOR期に転機は突然訪れる。Switch版のシャドウバース(通称シャドバト)が発売され、オリジナルカードに加え第三弾まで(CLC~ROB)のカードがゲーム内に実装されたのだが、その際一部カードが上方修正されることが判明。スカルフェインもその中に含まれていた。
 その内容は「アミュレットを出した数だけコスト軽減」という派手かつ強力な能力で、もはや別物レベルの強化と言って差し支えない。実際シャドバトでもスカルフェインビショップはTier1の活躍を見せ、シャドバト発売から2週間ほど経った頃、満を持して本家シャドバにも同様の上方修正が入ることが発表された。

 そしたら、まあ強いこと。4年以上のカードプールがある本家シャドバには軽量で高水準のアミュレットも多く、特に双砲の神罰・アンヴェルトとの相性は抜群。ブン回った時の圧倒的な盤面制圧力は、骸ネクロさながらの驚異的な爆発力があり、名だたる壊れデッキを押しのけ一夜にしてアンリミTier1の座に君臨した。その圧倒的な強さに、競技シーンがスカルフェイン1色に染まってしまったほど。

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 しかし、やはりと言うべきか少々暴れすぎていたようで、わずかに2ヶ月でお縄。コスト軽減能力は奪われずに済んだものの、元のコストが上がってしまった。
 1ターンを争うアンリミ環境において3コストの差は非常に大きく、その後は鳴りを潜めることとなった。ネタレジェンド・終身名誉1000エーテルと呼ばれ続けたスカルフェイン、その突然の栄光は刹那の夢と消えた。
 ちなみに、上方修正されたカードがナーフされるのは史上初。アンリミでは基本的にナーフではなく一枚制限で対応される事が多いため、その点でも異質と言える。



【RSC期(7〜9月)】

〈7/7施行〉

英雄の覚悟

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主な採用デッキ:ラティカエルフ
罪状:プレイ枚数改竄罪・ガチガチ守護付与罪

 RSC期、エルフの目玉としてプッシュされたプレイ回数軸。もちろんプレイ回数を参照するカードはこれまでにも、何ならベーシックカードにさえ多数存在したが、明確なフィニッシャーと言えるカードは意外にも少なく、環境で暴れたのはリノセウスくらいだった(というか、リノセウスのせいで今まで少なかったのかもしれないが)。

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 プレイ枚数軸の新たなフィニッシャーとして、RSCでリメイクされた万緑の回帰・ラティカは、フルパワーだと一枚で8/8の2回攻撃疾走、顔面16点パンチという圧倒的なフィニッシュ性能を持つ一方で、そのためにはなんと12プレイを要求。いくらフェアリーウィスプも加えやすくなったとはいえ、流石に12プレイは……


と思いきや、いけました何なら7tには現実的に、ブン回れば6tには

 更にこのデッキの凶悪性に拍車をかけていたのがこの英雄の覚悟。1コスで2プレイ稼げる上に+2/2バフして守護まで付与するのは犯罪。特に生命の宴との相性が異常に良く、ラティカが引けない時や間に合わない時のサブプランとして猛威を奮った。
 2枚の効果が合わさって5/6守護と10/10守護2面が立ってしまうと、ひっくり返す事は容易ではない。しかもこれが6tとかに決まるもんだから、本来OTKが苦手なはずのアグロ寄りのデッキにも有利が取れるというむちゃくちゃなデッキだった。そのため、RSC初期の環境はラティカエルフ、そして後述のヤテラントゥビショップで埋め尽くされ、実装からわずか9日、歴代2位の記録となる異例の緊急ナーフが行われた。

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 ちなみに、ナーフ後にエルフで最も流行っていたデッキはアクセラレートした回数でデッキが強化されるアクセラエルフだったのだが、なんとフィニッシャーはラティカである。というのも、2回攻撃は進化時に自動で付与されるので、アクセラエルフのフィニッシュ札である妖精の開花を用いて強引に疾走させれば12プレイ達成していなくても14点出るのである。つくづく罪作りなカードだなぁ……と思います。



栄華の加護神・ヤテラントゥ

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主な採用デッキ:アミュレットビショップ(ヤテラントゥビショップ)
罪状:アドバンテージ大量窃盗罪

 初出は暗黒のウェルサ。とにかくテキストが長く、ナーフ前のテキスト量はなんと驚異の273文字。ひと目ではまず理解できないが、要するに、アミュレットを破壊するたびに「(1)相手フォロワーをランダムに1体消滅(2)3点バーン+3点回復(3)破壊されたビショップ・フォロワーをランダムに1体蘇生」これが1から順に付与されていくと考えればいい。例えば、アミュレットが8枚破壊されていれば、相手の盤面をランダムに3面消滅させ、9点バーン&9点回復し、ビショップ・フォロワーを2体復活させる

 そしてこのアミュレット8枚破壊、RSC環境だと7tには普通にできていた(なぜ8で区切っているかというと、バーンダメージが伸びるのが8枚目なので)。いや、7tに3面消滅しながら9点飛ばして9点回復して横に2体並べればそりゃ勝つんよ。それまでアミュレット軸のフィニッシャーを担っていたのはフリッグだったのだが、最早それも不要だった。並べなくてもバーンしてれば勝つんだもん。
 バーンダメージは当然だが回復も中々イカれていて、一枚出すだけでライフ差が18点つくのは明らかにおかしい。おかしいよ。チマチマ相手のライフ削ってても、全部これ一枚でチャラ。あとミラーで出し合いになった時がガチで不毛だった。

 RSC環境でここまで出力が上がった原因はいくつかある。まず、ナテラの大樹のローテ復帰。わずか1コスで、手札を減らさずにノータイムでアミュレットの破壊カウントが増えるため、ヤテラントゥとの相性が良いのは言うまでもないだろう。

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 次に、新カード・アイアロンの残骸モスコの実、実りの参謀・ムニャールの存在。要するにアイアロンの残骸を使うとモスコの実が確定サーチできて、モスコの実を使うとムニャールを確定サーチしながらナテラが1枚手に入る。このナテラを出せば、なんとこれだけで破壊カウントが3溜まっているという寸法だ。
 ムニャールもわずか1コスでドローと盤面除去をこなす縁の下の力持ちで、低コストアミュレットを詰め込む以上どうしてもハンドが減りやすい(はずだった)このデッキの潤滑油として大活躍。というかドロー過多になって、ハンドを減らす目的でルナールプリーストが積まれたりした。

 最後に、ヤテラントゥと同時にナーフされたバグカード、パニッシュメントスナイパーがいたこと。この能力に関してはこの次に紹介する。

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 そして先述したとおり、歴代2位の緊急ナーフを受けた。まあ、アンリミでも暴れ散らかしていたくらいにはこのカードのパワーはぶっ壊れていたので、満場一致で納得のナーフと言えるだろう。
 ナーフ後は出力が大きく落ち、アミュレットの破壊枚数が0でも「1体消滅・3点バーン&3点回復・1体蘇生」と最低限の能力が発動する代わりに、7枚以上破壊のときに単純に倍となって、そこで打ち止めとなった。出力が大幅に低下してしまったが、とはいえローテならこれくらいが適正なんじゃないかと思います。



パニッシュメントスナイパー

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主な採用デッキ:アミュレットビショップ(ヤテラントゥビショップ)
罪状:単純パワカ罪

 一つ言っておきますがこのカードはマジでブチ壊れてます。あらゆる方面に。

 能力は至ってシンプル!2/2/2守護でありながら、進化時に漆黒の法典が打てる。悪行ハゲと呼ばれた鉄槌の僧侶を彷彿とさせるが、あちらと違ってスタッツはちゃんと+2/2上がる。インフレを感じるが、序盤中盤にかけて活躍してくれそうないいカードだ……

 ん?ファンファーレ破壊されたアミュレットの枚数の半分だけ相手のフォロワーにダメージ……かなり強いのでは?進化切ったら最大3面除去だし、このダメージと合わせて進化で消滅させられる範囲も伸びるし、でも2コスにしてはだいぶオーバースペックになったような……


 え、相手の顔面にも!?余計余計余計余計!!!!!!!!
 ということで、コイツは序盤に2/2/2守護としてポン置きしてもいいし、中盤に出せば3面除去できるし、終盤に出せばフィニッシャーにもなります。もうね、全てが余計。マジで。

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 そんな事もあってか、守護軸とかコントロール寄りのデッキとか、まあいろんなところで見たカードだったのだが、逮捕理由はヤテラントゥビショップ最後のひと押しとしてのコイツがとにかく強かった。しかもアミュレット主体のデッキゆえに小回りが効きにくいという弱点もコイツが解決してくれるし、守護の少ないデッキなので、アグロに対するごまかしとしても機能する。サブフィニッシャーでありながら、このデッキに足りない部分を全て補ってくれていたというわけだ。まあ、基本いつ出しても強い。そういうカードです。
 ナーフ後は素出しがかなり弱くなったことも含めて採用率も大きく落ちたが、未だにアミュレット主体のデッキでは間違いなく採用されている。ちゃんと強いよ。




【DOC期(9~12月)】大粛清

〈10/28施行〉

光耀の標・ミストリナ&ベイリオ

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主な採用デッキ:撤退ロイヤル
罪状:傷害罪

 コイツは今年一番嫌われたカードなんじゃないでしょうか。お待たせしました。本日の主役、ミスベイの登場です。

 ご覧の通り書いてある事は相当おかしい。3コスでランダム一面除去しながら6/7疾走守護ですから、かなり気が狂っている。しかもフルパワーを出す条件が「ナテラの大樹を一枚捨てる」だけだから、本当に気が狂っている。ナテラ供給手段としては、威風の団結陽だまりの邂逅といった、1コス相当の動きに加えておまけでナテラが加えられるカードが同時に収録されたため、ミスベイを出したいけどナテラが足りない、という状況は過剰連打でもしない限りはあまり無かったように感じる。

 このカードは普通の連携デッキなどにそのまま入れても強いのだが、真価を発揮したのは専用構築・撤退ロイヤルだった。このデッキは、採用フォロワーを絞ってミスベイをサーチで引き込みやすくしながら、一度出したミスベイを劇的な撤退でデッキに戻しサーチカードで引き直し0コストで使い回すことで圧倒的な爆発力を誇った。撤退で0コスになったミスベイを出すと、なぜか6/7疾走守護が立ちながら3pp回復する。なんで?

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 あまりに理不尽かつブン回り最強のクソデッキという印象であらゆるプレイヤーから目の敵にされた撤退ロイヤルは、新パックのリリースを挟み主要パーツがローテ落ちしてもなお環境に居座り続け、最終的には主犯のミスベイがナーフされた。この手のコンボデッキにとって1コストの差は大きく、撤退ロイヤルというデッキタイプは環境から姿を消した。でも、普通に考えたらファンファーレで5点飛ばす4/6/7疾走守護も十分おかしいと思うんですけど……



究明の魔術師・イザベル(ユニオン・マジック、アルティメット・マジック)

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主な使用デッキ:スペルウィッチを始めとするありとあらゆるデッキ
罪状:バカ

 先述したパニスナがブチ壊れだとしたら、コイツはバカの考えたバカのカード。多分今年出た全カードの中でも単体のカードパワーなら一番なんじゃねえかな?イザベルの登場です。

 RSCのアディショナルでは、初期リーダーの8人が満を持してレジェンドカードとして登場。このサイクルは優秀なカードが多く、今なお環境最前線で引っ張りだこなカードが何枚も存在するのだが、その中でもイザベルは真っ先に突っ走って爆速でお縄にかかった

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 このカードの真髄であるキーワード能力「融合」とは、手札にこのカードがある時に、他の手札で条件に合うカードを融合させることで発動する能力(融合したカードは消滅する)。このカードの場合、フォロワーを別のスペルに変換する能力だと思ってもらえればわかりやすいか。
 このうち、一回目に融合した時に手に入るスペルが専用トークンのユニオン・マジック。さらに、これを唱えた時に条件を満たすと10点バーン&10点回復のフィニッシュ札、アルティメット・マジックを手に入れることができる。ヤテラントゥのところでも話したが、一枚でライフ差が20点付いたら相当勝ってます。
 ……と、カード効果はやや複雑だが、まあ要するにスペルを7種類唱えられればだいたい勝ちだと思ってください。あ、ライブラリアウト防止能力はオマケです。

 問題は、スペル7種類プレイの難易度。だが、よく見てほしいのは、コイツ一枚でスペルが4種類加わるというところである。つまり、デッキに入ってるスペルを最低3種類唱えられれば、それでもういいわけだ。ウィッチじゃなくてもデッキにスペル3種類くらいであれば普通入るし、ウィッチなら条件を満たすのは尚更容易。

 さらに、このカード自体がデッキの事故防止とドローソースを兼ねる点も強力。イザベルの効果で手に入るスペルはどれも使いやすく、一枚なら強いが複数枚引くと弱いフォロワーや、スペブを受ける高コストフォロワーなんかが序盤に手札でダブってしまった時、さらに言えばイザベルがダブった時にも融合が役立つ。そのため、明確にイザベルをフィニッシャーに据えたデッキで活躍するというよりも、あらゆるデッキでサブフィニッシャー兼潤滑油として採用できる、異常な汎用性を備えたカードだったわけだ。

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 このギミックを搭載したスペルウィッチ、マナリアウィッチなどが大きく環境で躍進し、果てはアンリミでもTier1に食い込むようになった。ウィッチが苦手としていたアグロデッキに対して、ユニオンマジックの除去が大きく刺さる点が大きく評価されたため。アルマジもおかしいけど、普通に考えてユニオンマジックも1コスで最大5面に2点が飛ぶ除去は流石にオーバースペックなんよ。
 その後、DOC環境でも相変わらず暴れていたことからナーフ。本体ではなく、トークンスペルのコストが上がり、またアルティメット・マジックを加えるための条件も厳しくなった。三重に枷がかかるかなり重めのナーフとなったが、これでも依然としてカードパワーは健在だと言えるだろう。
 まあ、これ一枚入れとけばデッキが如実に強化されるようなぶっ壊れでは無くなってしまった、というのは事実だが。



常闇の花嫁・セレス(インモラルディザイア)

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主な使用デッキ:ラストワードネクロ
罪状:お手軽致命バーン罪

 ネクロを代表する人気カード(ですよね?)、セレスの闇落ちリメイクカード。セレスの十八番である交戦時ダメージとターン終了時の回復が剥奪され、代わりに必殺とラストワードのダメージでより攻撃的に盤面に干渉する能力となっている。

 が、そんなことよりも、このカード最大の特徴は進化時に加えるスペル・インモラルディザイアにある。攻撃力ぶんのバーン体力ぶんの回復と非常に強力な効果をわずか1コストで付与でき、さらにこの効果は重複するため、一体のフォロワーにバーンを重ねがけすることも可能。一枚から即死級のダメージを出すことも夢じゃないという訳だ。てか、実際そうやって使われてたんですけど。

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 セレスを一躍環境のトップまで導いたのは、セレスと同じ弾に実装されていた人外魔境・クリストフ一刀の幽鬼・カゲロウ、そこにアディショナルの忌まわしき再誕オミナスタイラントを加えて本格化したラストワードネクロ。ラスワ持ちカードを大量に展開し、破壊された数を参照して効果が発動するこのデッキには、ラスワを持ってないカードにもラスワを付与できるインモラルディザイアはまさにベストマッチ。破壊枚数10枚を達成したらクリストフで蓋をすると7tくらいにはガチガチの守護が毎ターン大量に並ぶようになり、これが毎ターン続くと突破する事は困難となる。

 このカードが大きく注目されたのはRSC期。条件達成でビックリ3/5/5疾走となる謎のカード・鎖杖のネクロマンサーの実装で能動的な打点が増え、ラスワネクロのデッキパワーは更に一段階上がるのだが、この鎖杖のネクロマンサーとインモラルディザイアの相性が良すぎたのだ。ディザイアのバーンを乗せた鎖杖を進化させ、相手の顔面を殴った後で再誕などを使って自壊すれば、これだけで14点ディザイアを2枚乗せれば、21点のOTK。あまりにもお手軽すぎた。

 ラストワードで気軽にバフを付与できるスカルドリーマーの存在もあり、ここまで来ると、もはやクリストフがサブプランで、鎖杖やディザイア、ネクロインパルスを使って隙あらば特大打点で顔面を詰めるデッキとしての趣が強くなっていった。

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 ヤテラントゥ・ラティカ亡きRSC環境においてトップをひた走り続けたラスワネクロは、続くDOC環境においても、なんと一枚もリストが変わらないままTier1をキープ。その結果、特に理不尽ギミックだったこのコンボが問題視されたのか、進化やバフによって与える打点が変わらないようにナーフされた。しかし、ティアマト・マグナのようなマイナス系の除去に左右されなくなり、回復に関してはチマチマ削られてもリーダー回復量が一定になるなど、一概に弱体化されたとは言えない部分もあった。

 だがやはりリーサルプランに直結するこの修正は手痛く、3ヶ月近くものあいだローテ環境最上位に居座り続けたラストワードネクロは、ここでその座を譲り、セレスも採用率を大きく下げることとなる。


夜天の吸血鬼

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主な採用デッキ:狂乱ヴァンパイア
罪状:アグロ規制法違反

 RSCから継続して環境上位を保ったデッキが多かったDOC初期。その中において、前期から大きく躍進したアーキタイプといえば狂乱ヴァンパイアだろう。DOCでヤケクソみたいな量の強化パーツを手に入れた狂乱軸だが、その中でも特に八面六臂の活躍をしていたのがこの夜天の吸血鬼だ。

 まず、非狂乱状態での2自傷。一枚で複数回の自傷ができるカードは言うまでもなく強力であり、早期の狂乱達成に大きく貢献してくれる。
 次に、フォレストバットについている疾走。要するに3コスで1/1が3面、コスト通りに立ちながら2点分の打点が出るということで、アグロ気味に立ち回ることもできるし、後述のドレインも腐らなくなるためシンプルに強力。
 さらに、狂乱状態での必殺とドレイン3コスで2面除去をこなせる圧倒的なコスパの良さと、決して多くはないものの、回復も地味に嬉しいところ。最悪、進化で回復量を伸ばすことも可能だ。
 おまけの闇喰らいの蝙蝠を加える効果は、試合が泥沼化した時の蓋として有効。特にミラーでは重宝する能力となっている。

 ……といった感じで、何が強いというより、どれもが決して腐らず、ちゃんと強い。小粒でもぴりりと辛い、って感じですね。狂乱軸にはダークエンペラー百獣の大悪鬼といった強力なフィニッシャーが存在しているため、それ以外の部分で常に役割を持てるこのカードは、狂乱のデッキパワーを押し上げている名脇役といった感じだった。

 そしてこのカード、アンリミの狂乱でも引っ張りだこの大活躍眷属への贈り物バットノイズが元々入っているこのデッキでは、ローテでは活かしにくかった蝙蝠生成カードとのシナジーを最大限活かせるため、何ならローテ以上に重宝されていた。

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 そんな夜天の吸血鬼は、フォレストバットの疾走を突進へとランクダウンさせられ、特に序盤の顔への圧力が大きく減ってしまう結果に。しかしやってる事自体はそれでも十分強力なので、ナーフ後でも変わらず使われている。アンリミでも、枚数こそ減っているものの、未だに採用され続けています。お世話になってます。


〈12/27施行〉

アブソリュート・トレランス

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主な採用デッキ:当時の全てのネメシスのデッキ
罪状:不快

 すいません、ミスベイの部分書いた時点ではアイツが一番嫌われたカードだったんですが、今となって振り返るとコイツかもしれません。てか現在進行系だとコイツやわ。コイツは大罪人です。

 まず目を引くのはシャドバ史上最高のコスト30。さ、さ、さ、30!?もちろんそのままでは場に出せないが、豪快なコスト軽減効果が着いており、敵フォロワーもしくはリーダーにダメージを与えれば与えるほど、コイツのコストが下がっていく。うまく行けばタダで9/9疾走が立つ、しかも守護を1面どかしながら……もう嫌な予感がしますね。去年ナーフされた地を裂く異形の面影がチラつきます。でも30コストがどれくらい下がりやすいのか未知数だし、後から引くと使いにくいし……


 とか言ってた頃が私にもありました。

 強いわ。コイツ。


 もちろん序盤から抱えている方が強いのだが、相手フォロワーの体力を超えたダメージであってもきっちり全てコストダウンにカウントされる仕様もあって、後から引いても結構コストは下がりやすかった。 
 特に相性のいいフォロワーの例を挙げると、エンハ7で最大20コスト下げられるオーバーヒートデーモン、進化・操り人形全て含めると5ppで12コスト下げられるマウンテンドール、2ppで破壊された自分のフォロワーの数と同じだけコストが下げられる粛清の器・メイシア0ppで9コスト下げられるアブソリュート・トレランス……ん?

 とにかくコイツが現役だった頃は、ネメシスとの対戦では、どこからともなく0コストで守護貫通しながら飛んでくる9点に常に怯えなければならなかった。トレランスを警戒して盤面にフォロワーを残さないプレイングも必要とされたが、正直そんなん言うてたらキリがない。

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 さらにこのカードのクソな所は、2枚出して進化切ればジャスト20点でOTKというところ。これはもう交通事故です。当たったら車に轢かれたと思って諦めるしかありません。ですが、ランクマやってたらちょくちょく車に轢かれるんだから、もうクソとしか言いようがありません。



……ん?

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……終わりだ。


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 ということで、OOSの実装と同時にナーフが施行された。当時ネメシスは、他クラスと比べてそこまで目立って強かったわけではなく、今回はナーフなしだろうと思われていたタイミングでまさかのナーフ。12月24日に突然発表され、サプライズでCygamesからのクリスマスプレゼントとなった
 理由はいつもどおり「流動性」の一言だったが、やはり2枚揃うと20点というしょうもなさほとんどのデッキに入る汎用性、また現状のネメシスがほとんどトレランス前提でデッキを組むことになっており、構築の幅を狭めていることが原因ではないかと推察される。あと多分、コイツがカードプールにいると運営的にもカードデザインに支障が出るんじゃないかな……

 ナーフ後は進化しないと疾走を持たないようになり大幅に弱体化。一部のネメシス使いからは「そんなに暴れていたわけじゃない」「トレランスがいないと打点が大幅に落ちる」と怨嗟の声が届いているが、大半のシャドバプレイヤーは喜んでるんじゃねえかなぁ、と思います。


~終わりに~

 今年一年の環境を振り返ると、比較的クラス間の調整は上手くいっていたのではないかと思う一方、個人的には若干思うところもありました。ナーフカードからもわかるのですが、バーンしながら回復するカードや、それ以外にもチマチマと回復するようなカードが増えているように感じます。また、除去も相当安くなっていて、安寧の降臨マーヴェラのようなカードがニュートラルに登場しながらもほとんど使われていないあたり、インフレの波を感じますね。


 何を言いたいかというと、もう盤面作って殴るデッキが成立し得ないところまで来ているように感じて、そこは少し悲しいな、と思います。分割打点があんまり意味をなさなくなっていて、1ターンに15点近い打点を出さなければ殴りきれないという傾向は如実になっているし、むしろ盤面を残さないプレイングが求められる局面が増えているんですよね。
 もちろんそこにゲーム性が生まれる事は望ましいことですし、我々プレイヤーはそれに対応しなければならないわけです。ですが、かつてのShadowverseにあった、盤面の取り合いの応酬、それによる興奮とは少し違う方向に進んでいるのは、少し寂しいというか、正直窮屈に感じる部分もあります。あと個人的には、初心者が入るハードルが相当高いんじゃないかと感じます。せっかくテンポラリーデッキとか配ってるのに……

 以上、戯言でした。なんやかんや言うてもこのゲームが好きですからね。新年一発目のナーフはどのデッキになるんでしょうか。個人的には進化ネクロだと思います。てかみんなそう思ってるんじゃないですかね。
 2022年度verも書こうと思いますので、そのときにはよろしくお願いいたします!


 追記:爆速ナーフ来ましたね。今年も楽しみだなぁ(白目)


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