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【Shadowverse】2020年、ナーフされたカード集

2020年、この1年間でナーフされたカードを、環境の振り返りをしながら解説していきたいと思います。最近シャドバやってないって人も是非。


【UCL期(1月〜3月)】

なんとナーフがゼロ。ナーフ及び制限の類が一度もないというのはダークネス・エボルヴ以来2度目で、シャドバ史上に残る奇跡的な環境となった。クオンとギンセツが一生強かった印象があります。懐かしいですね。

反対に、何枚かのカードが上方修正された。しかし、ローテ向けにユヅキ・アギトが上方修正されたヴァンパイアは、結局パワー不足の根本的解決に至らず流行らなかった。

逆にアンリミ向けの上方修正はかなり壊れていて、顔含む3点AOEが飛ぶようになったヨルムンガンド・能力変更で取り回しが格段に良くなった魂の番人・ミントの2枚は、その後それぞれの道でアンリミTier1デッキの核となった。特に、新グレモリー(後述)が加わり安定した6キルが可能になったミントネクロは、シャドバ史上最強の蓋デッキの1つとしてアンリミに君臨していた。

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⇧現代に残るぶっ壊れ。歴史に名を刻むネタカードから、沈黙の詩を打つことで墓場20の支払いを踏み倒すことができるインチキカードに急変身した。多分カタギではない


また、ナーフではないが、重力の柔術士というネメシスのカードが2pick史上初の出禁に。ターン終了時に1pp余っていればアナライズアーティファクトを、3pp余っていれば加えてミスティックアーティファクトを無償で出すカードで、生き残ればリソース無しで展開ができるどころか、アナライズのドロー含めてハンドが1枚増える。先3に置いて取られなければ投了レベルのアドを稼げる、しかもブロンズということで、Pick界隈は大いに震撼した。


【WUP期(4〜6月)】

〈4/1発表〉

螺旋の鉄腕・ダミアン

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ナーフ内容:6→7コス

【解説】
シャドバ史上歴代最高勝率66.35%を叩き出し、シャドバ史上ぶっちぎりで最速の3日ナーフという不滅の記録を作り出した、機械エルフの主犯。

単体性能だけ見ると、若レヴィが疾走して、しかもAOE打点が伸びる上に顔にも打点が入る、みたいな意味不明のカード。6コスのくせに進化込みで最大11点も出る。6コスで全処理しながらガンガン顔詰めるんですよ?おかしくないですか?

更にこのデッキ、コストダウン手段が豊富。つまりこの6コストは「6」ではない。手札を総入れ替えしてコストを全部-3する頭ワンドリもビックリなカード・鋼鉄と大地の神、さらに後述の鉄扇のエルフが絡むことで、最速5tからダミアンが盤面を更地にし、6tには他デッキより早く神が降臨し、終盤にはダミアン連打で世界が終わる。また、神が着地した後ならタダ同然で機械フォロワーを並べることができるので、ほぼ確実に5点AOEを飛ばすことができる。

その他にも後2に出すと2/2が無償で取れる意味不明な2コス実質1/2/2突進がいて序盤も盤石、またテンポを失わないサーチやリソース回復手段も多く、安定感も高いと死角なし。その後レガシーデッキにも登場したが、あのNヴや絢爛狂乱ヴァンパイアにも勝る圧倒的デッキパワーをもって堂々Tier1に居座っている。名実ともにシャドバ史上最強のカードと言っても過言ではないだろう。ナーフ後は環境で姿をみることはほとんど無くなるが、それでも初登場時のインパクトは強く、シャドバの新しい黒歴史として当時のプレイヤーの脳裏に刻まれている。

鉄扇のエルフ

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ナーフ内容:コスト軽減効果の削除(進化前・進化後両方)

【解説】
機械エルフを支えたぶっ壊れその2。4/5/3のスタッツを持ちながら1枚サーチする。それだけならまだいいのだが、何故か1コス軽減までついている。進化でおかわりもできる。コイツのせいで5tにダミアンが着地したり、6tに神が降臨したりした。なぜコスト軽減させてしまったのか、このカードを作った人に小一時間問い詰めたい。Cygamesはバフォメットから何を学んだんだ……

ちなみにこのナーフの後、環境は「いかに鋼鉄と大地の神を早出しできるか?」を争点に回っていく。その観点から言うと、コストダウンで強カードを早期に押し付ける機械エルフもまさにこれに該当していた。

鋼鉄と大地の神は結局ナーフを逃れたが、WUP期だけ環境を荒らしに荒らし回って、その後は機械カードも自然カードもろくに刷られなかったため日の目を浴びることはない。ホンマにクソカード。


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⇧馬鹿が鉛筆転がして考えたカード。手札の機械・自然を持つカードを好きな枚数入れ替え、引いたカードのほとんどが0コス同然になる。先に出せたほうが勝つ。


波濤のプレシオサウルス

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ナーフ内容:顔面バーン効果が2点→1点に変更(盤面はそのまま)

【解説】
シャドバ史上最凶デッキの裏で勝率55%を記録したもう一つのぶっ壊れデッキ、ディスカードドラゴンの中心カード。

手札を捨てて効果を得るディスカード軸は古くから存在していたものの、安定感が無くフィニッシュ力も足りなかったため環境に爪痕を残すことはなく、三年近くストレージの底で忘れられたままのコンセプトだった。

しかし、プレシオはその評価を一枚で過去のものにした一枚カードを捨てるだけで顔に二点飛ぶのはヤバい。当たり前のことを言っているようだが、実際に体感すると想像の10倍はヤバい。

よく考えてほしい、あの原初の竜使いですら顔には1点しか飛ばなかった。二点になるとどうなるか。二倍の速さで相手が死ぬ。しかも原初と違って除去で対応できないので、着地した瞬間に死へのカウントダウンが確定する。

また、この時のローテにあったハンデスカードは、多くが捨てると同時に1ドローするものだったため、従来のハンド枯渇問題は軽減され、逆にデッキを掘りやすくなったことでフィニッシャー引けない問題もある程度改善された

更に、アンリミでは竜の伝令を使えば確定サーチできることもあって連勝報告がボコボコ上がる事態に。アンリミでTier1ですよ?ローテの使用率がそれほど高くなかったことから、一説にはアンリミで暴れ散らかしていたことがナーフの大きな要因とも。

そして、ナーフで大きく立場を落とした機械エルフと違い、プレシオはナーフされてもなお使われ続けた(ただし、WUP期ではディスカ軸ではなく自然ドラゴンのグッドスタッフ枠だった)。その後もディスカード軸は半年以上に渡って第一線で戦い続け、存在感を放っている。ナーフされてこれなのだから、元の能力がいかに狂っていたかは言うまでもない。


~その後~
実は、WUP環境はこのナーフが最後のナーフとなった。じゃあ環境は良かったのかと言われると、どのデッキからも神が飛んでくるし、神の先出しゲー感が最後まで否めなかったので個人的な心象は最後まで悪かった。しかも、どのデッキでも神のバリューを最大限に活かすために機械・自然以外のカードをほとんど入れないのが主流で、そのせいで構築の幅も狭かった。
なお、ローテ向けに上方修正も行われた。テコ入れされた2クラスのうちの一つ、ロイヤルは結局環境上位に食い込むことができなかったが、逆にネクロは大きく立場を上げ、しかも複数のデッキタイプがそれぞれ環境入りした。また、環境最終盤には、次弾を見据え、初めての試みとしてベーシックカードの上方修正が行われた。
ちなみに、今弾も2Pickで出禁カードが登場した。3/3/3で余ったPPと同じ打点のAOEを飛ばすブーストキッカー。またネメシス。単体性能はもちろんだが、何でもできすぎるネメシス一強の責任を取らされた形で消えていった。

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⇧ネクロ復権の立役者、6/3/3から4/2/2になったエンネア。2回殴らないと倒れない守護を4コスで毎ターン立てるのは流石に強く、先4エンネアは最強ムーブの一つとして恐れられた。筆者はエンネアのスキンが引けなかったことを未だに恨んでいる


【FOH期(7月~9月)】

〈7/6発表〉

君臨する猛虎

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ナーフ内容:アクセラレートの削除

【解説】
新ギミック、連携ロイヤルのフィニッシャーとして抜擢されたカード。連携はこのバトル中に自分の場に出たフォロワーの枚数を参照するキーワード能力で、例えば「連携 10」なら10体のフォロワーが出ていればそのあとの能力が発動する。クラス専用カードでこれを持っているのは(当時)ロイヤルだけで、ロイヤルの準専用キーワードのような扱いを受けていた。

この時の連携ロイヤルは、アグロ気味に攻めながら天覇風神・フェイランを早期に着地させ盤面を強化したり、武器商人・エルネスタやオネストシーフ(後述)で有利盤面を維持し、もつれたら無敗の剣聖・カゲミツを猛虎で疾走させてフィニッシュ。まさに、序盤中盤終盤隙がないデッキだった。また、とにかく全力で連携を稼ぐデッキだったので、オースレスナイトが時を超えまさかのローテTier1デッキ入りする珍事も起きていた。

特に猛虎はこのデッキと相性が良く、アクセラを使えば1枚で連携が3進み、最後のひと押しにもピッタリと、このデッキのために作られたかのようなカードだった。おそらくこのカードを作ったときには連携なんて微塵も考えていなかっただろうが、時代が虎に追いついてしまったのだ。

アクセラを消しただけのナーフは雑やら何やらと賛否を呼んだが、なんだかんだナーフされた後も、3積みとはいかないものの、それでもフィニッシャーとしてローテ落ちまでロイヤルを支え続けた。

ちなみに、今回も環境スタートから1週間での緊急ナーフ。メタが回り切る前のナーフということや、他にも強力なデッキが存在した中でロイヤルのみナーフすることに疑問の声も上がっていたが、蓋を開けてみるとシャドバ史上歴代三番目の勝率(61.52%)を叩き出していたことがわかり、プレイヤーを驚かせた。

オネストシーフ

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ナーフ内容:2/2/2→2/2/1

【解説】
新能力”連携”を引っさげ現れた新カードの中でもヤバかったやつ。フォロワーを事前に7体出すという条件は想像以上に軽く、平均5tくらい、最速だと4tには自動進化していた。2コスで3点まで上から踏むことができるのは強烈で、カゲミツの打点向上にも貢献してくれるため、影から連携ロイヤルを支えるいぶし銀の活躍をしていた。

ナーフによって2tに置きにくくなり、進化しても盤面に残りにくくなったが、それでもなお、その後のロイヤルデッキにはほぼ間違いなく入っている。良調整のナーフ(というか、コイツもそれだけナーフ前がぶっ壊れていたのかもしれないが)。


〈8/20発表〉


地を裂く異形

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ナーフ内容:ファンファーレで守護持ちフォロワーを破壊不能に変更

【解説】
専用構築・異形エルフのフィニッシャー。
まず、このカードの説明をする前に話さなければいけないデッキがある。それは魔道具専門店ウィッチ

こちら、もともとはそこそこ強いネタデッキ止まりだったのだが、WUPで0コスアミュレット、FOHで手札交換してあわよくばフォロワー出せるスーパースペルが加わるなど徐々に強化され、さらに研究が進みフォロワーサーチをガン積みすることで強力なAOE持ちフォロワーを強引に入れる構築が成立すると、もはや地雷の域を飛び越えて強力な7キルデッキとして君臨し始める。安かったこともあり魔道具専門店ウィッチは大流行ソリティア同然のプレイング、かつ7t来ればだいたい勝ちな魔道具専門店ウィッチはシャドバ史上最も嫌われたカードの一枚へと大躍進を遂げる。

こうなると他クラスは必死で魔道具に強い構築を考え始めるのだが、そこであるエルフ使いが閃いた。じゃあ6tにOTKすればええやん、と。そこで白羽の矢が立ったのがこのカードだった。
しかし、仮に1tに異形が引けていたとしても6t時点ではまだ16/4、進化しても18/6止まり、そう思うでしょう。頂きの闘技場を使えば、6tに20点出せちゃうんです。僕は初めてこの構築見た時目からウロコ出ました。

さらに異形のファンファーレで一面までなら守護を剥がせるところや、他の自由枠が広く遅延札や打点札を詰め込めるため、案外異形が引けてなくても戦えることもこのデッキの強みだった。そうして生まれた魔道具メタデッキは魔道具以上に凶悪なデッキとなってしまった。バケモン狩るためにデッキ組んでたのにいつしか自分がバケモンになってしまったんですね。そうしてメタでどうこうなる次元を超えてしまった異形くんはCygamesによって狩られ、守護貫通を取り上げられてしまう。これによりフィニッシュ力を大きく落とした異形エルフは大打撃を受け、鳴りを潜めることとなった。


幽暗の墓守

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(画像はナーフ後能力)
ナーフ内容:進化時効果「進化時 葬送したなら、攻撃力最大の相手のフォロワー1体を破壊して、自分のリーダーを3回復。(複数いるなら、その中からランダム)」のうちフォロワー破壊効果を削除

【解説】
少しづつ形を変えながら常にメタの中心でTier1を維持していたクラス、ネクロマンサー。構築の幅が広すぎるので全てを解説する事は控えるが、その中でも核となっていたのは葬送ギミックだった。葬送自体はリアニメイトと共にCGS期から存在していたが、ディスカード軸と同様に日の目を浴びることはなく、歴史の中で完全に忘れ去られていた。のだが、今弾で覚醒。その立役者の一人が、幽暗の墓守だった。

何と言っても2コスの結晶がべらぼうに強い。結晶はアミュレット版のアクセラレートのような能力で、コイツも自分自身を出すアミュレットを先置きできるのだが、葬送によってカウントが加速するため、早ければ4t(理論上は最速3t)に5/5守護を立てる事ができる。さらに進化時効果も強烈で、ハンドこそ減るものの二面除去しながらリーダーの体力を高く保つことができた。

他にも三面展開で5t最強の《恋人》・ミルティオなど優秀な葬送カードが多く、葬送さえしていれば征伐の死帝が飛んできて連携を2進めながら盤面が勝手に強くなることや、葬送時に犠牲になったフォロワーも連携カウントに含まれることから天覇風神・フェイランとの相性も最高で、除去しきれなくなるまで盤面作って殴り続ければいいじゃんと言わんばかりの脳筋盤面デッキっぷり。

ナーフ後もちらほら積まれたりしていたが、二面除去の強みが奪われたのはなかなか厳しく、環境が進んでいくうちに採用例も減っていった。
ちなみに、骸の王で結晶を叩き割るとカウントをちょろまかせることから、アンリミ骸ネクロのガチ化にも一役買った。3tに骸や墓守などの大型フォロワーが複数並んでしまうとアンリミの猛者達でも除去は難しく、こちらはいまでも現役。


~そのほか~
今弾も例によって上方修正が行われた(7/28と8/20)が、カードパワーこそ上がったものの噛み合うデッキに恵まれず、いずれも環境で見ることはあまり無かった。
しかしこのFOH環境はシャドバ史上まれに見る好環境(筆者の意見)で、本当に活発にメタが周り、数日経つとローテの顔ぶれが変わっているレベルで目まぐるしく推移していった三ヶ月だった。また、各クラス一度は日の目を見る機会があり、クラス間のバランスもかなり優れていた。Cygamesって神なんだなって...…
ちなみに、アンリミでは恐らくシャドバ史上最強のデッキであるアンリミAFネメシスが完成。デッキ自体の完成度の高さもさることながら、デッキを回すのが本当に難しく、また1ターンの制限時間90秒では時間が足りないため、アンリミAFを回すならまず軽量設定にしろとまで言われている。冗談じゃなくて本当にガチ。


【SOR期(10〜12月)】

〈10/28発表〉

《世界》・ゼルガネイア

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ナーフ内容:5/5/5→6/5/5、進化後スタッツ7/7

【解説】
恐らくシャドバの歴史でも最高クラスに汎用性が高く、どんなデッキにも間違いなく入っていたぶっ壊れカード。
FOHで登場した直後こそ採用例はそれほど多くなかったが、次第にその強さが知れ渡り、FOH終盤からSOR序盤にかけては積んでいないデッキを探すほうが難しいレベルでどこにでもひっぱりだこだった。ゼルガネイアが最初から選択肢になかったデッキなんて、真面目に魔道具専門店くらいじゃなかろうか。

とにかく汎用性が異常で、5/5/5のスタッツを持ちながら除去・回復・ドローを全て一枚でこなし、単体で完結しているので本当にただただ積ん得カードだった。そのため、環境における存在感は大きく、相手ライフを15点から削らないプレイングはゼルガネイアケアと呼ばれ、この頃のプレイヤーには必要不可欠な技術だった。また、全デッキにゼルガネイアが積まれていたのでアグロが死滅した

直接召喚の効果も強力で、コントロールデッキは特別にフィニッシャーを用意しなくてもゼルガネイアで解決できるようになった。特に、君臨する猛虎でゼルガネイアを疾走させる20点OTKコンボ、ラグナアウェイクから出てくるヴィズヤの効果と合わせた確殺コンボ、聖なる守り手・ユカリの効果で自分の損害だけをゼロにして有利状況を作るコンボはよく使われた。まさにゼルガネイアバースといった様相を呈しており、誰もがナーフを望んでいたと言っても過言ではないだろう。

そしてナーフされてもコイツは使われ続けた。というか現在進行系で使われ続けている。採用枚数こそ減っているものの、依然として存在感は尋常でなく強い。ただ、ナーフの影響でアグロにも人権が戻ったり、ゼル虎OTKが無くなった影響でロイヤルが苦戦していたり、それなりの効果があったのは間違いない。コイツがローテ落ちするまでのあと8ヶ月、ずっと付き合っていかないといけないんだろうな...…


トリニティモンスターズ

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ナーフ内容:7/6/6→7/5/5、ターン終了時のダメージが3点→2点に変更

【解説】
SOR環境初期の2強デッキの1つ、グレモリーネクロマンサーのフィニッシャー。
このカードはすごい。強いことしか書いてない。強いことたくさん乗せたら強くなっちゃったっていうアホみたいなカードだ。突進必殺で一面、ラスワも合わせてニ面は確実にもっていく除去性能、守護によるガード性能、無視できない謎三点、そしてなぜかネクロマンス15で増殖する。全部強いが、この中でいちばん大切なのは、実は最後の部分。ネクロマンスが発動することだ。

このデッキの真の主役は死期を視るもの・グレモリーというカード。墓地の枚数が残りデッキの枚数より多いことを条件に直接召喚され、リーダー付与効果を発動する。その中身は各ターンに一回、ネクロマンスカードの墓地消費を踏み倒し、それだけならまだしも消費墓地数と同じ数のPPが回復するという意味不明なもの。そう、トリニティモンスターズを出すと墓地消費0でコイツが二体並びながらPPが全快するのだ。本当に意味がわからない。当然の権利のようにPPを二倍使う姿に、全国のルナちゃんが「毎ターン超越打ってる」と糾弾されていた。

グレモリーネクロは、グレモリーの最速起動に命を懸け、7tに起動することでトリモンなどを連打して盤面を制圧するデッキで、特に7tにトリモンが4面立つムーブは12点バーン&盤面更地&一面でも残せばほぼ死という、実質特殊勝利と言っても良いコンボだった。とにかく山札を掘りまくるデッキの性質上事故率も低く、また新カードのネクロインパルス4コス8点という意味不明なバーン性能をしていた上に、グレモリーが出ていれば重ねがけで容易に14点・19点と打点が伸びる事もあり、このデッキの理不尽度を押し上げていた。

そんなこんなでトリニティモンスターズはスタッツと打点が下げられたのだが、当時はコンボの本質が変わらないため、この程度のナーフだと生ぬるいという声が多かった。しかし、ナーフを境にこのデッキは大きく数を減らした。もちろんこのナーフの影響も大きかったが、それ以上にゼルガネイアのナーフのせいで前のめりなデッキが世に解き放たれたことが大きく、コンボのために序盤の盤面を投げ捨てているこのデッキは一旦身を潜める。しかしこのカード自体のパワーは未だに健在で、依然として様々なデッキに投入されている。少なくともグレモリーがスタン落ちするまでは見かけることになるだろう。


ホーリーエンチャンター

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ナーフ内容:2/1/2→3/1/3

【解説】
もう一つの覇権デッキ・守護ビショップの重要パーツ。
守護ビショップは名前の通り守護でアドを稼げるパワカを大量にぶっこんだデッキで、そのうちの一枚にして立役者が双砲の神罰・アンヴェルト。割れると自身を出す1コストの結晶はカウントダウン10とかなり重めだが、ターン終了時に盤面に残っている守護の枚数だけ追加でカウントが進んでいくので、最速1tに置ければ4t~5tくらいには割れて、タダ同然で5/6守護が立ちながら盤面を更地にする。さらに闇穿つ煌き・サリッサとの相性は抜群。アンヴェルトの効果はファンファーレではないので、サリッサのエンハンスから出てもきっちり4点AOEが発動する。

そこに、守護を並べるだけで相手が死ぬことでおなじみグランドナイト・ウィルバート遅延するだけで相手が死ぬことでおなじみ光輝の顕現・ラー、みんな大好きゼルガネイアとユカリのコンボもついてくる。単純なデッキパワーだけで言うなら最強クラスのデッキだった。

しかし、ドローが弱く安定感に欠ける点があった。これを一手に補っていたのがホーリーエンチャンター。2/1/2守護でありながら最低でも1ドロー保証、もう一面守護があるだけで2/1/2・2ドローのオーバースペックになる。そしてMAX5ドロー。5ドローは無くても4ドローくらいなら平気でこなしていた。シャドバ版のアクアンみたいなカードである。

似た能力のカードに大地の魔女があり、多分これをもとに調整したんだと思うが、凶悪度はこちらが遥かに勝る。アミュレットが並ぶことは盤面を埋めるデメリットがあるし、秘術ウィッチは当然ながらデッキを回すために土を消費しなければいけないため、どんなに多くても3ドローくらいに限られるが、コイツは自分自身が1ドローにカウントされるし、守護で盤面が埋まること自体がデメリットになりにくい。そもそも大地の魔女が強かったんだから、こいつが壊れていないわけがなかった。

ナーフ時は主犯・アンヴェルトに調整が入らなかったことに不満の声も上がったが、ドロー力がもともと課題のデッキだっただけにナーフ後は数を減らした。しかし、結局上振れてしまえば全てを轢き殺せるパワーのあるデッキだったので、守護ビショップは環境終盤まで生き延び続けた。アンヴェルトはヤバい。

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⇧ヤバいカード。受け能力が異常に高く、ウィルバードのような隙のあるカードを安全に着地させるためにも一役買っていた。木村ちゃん、ビショップに格安AOE与えたらヘイト買うって前にも言ったじゃない...…


アーティファクトスキャン

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ナーフ内容:0コス→1コス

【解説】
AFネメシスの潤滑油的カード。画像はコラボカード。
0コスながら、破壊されたAFが6種類以上なら加えたアーティファクトが0コスになる、ぶっ飛んだ性能をしている。今のAFネメシスはパラダイムシフトというトークンから出てくる強力なアーティファクトを使うので、もしこれを0コストにできれば、かなりのアドバンテージを稼ぐことができる。

だが、こいつの真の強さはそこではない

AFを無償で二枚即座に加えられる効果が強力。今のAF軸が、AFをデッキに埋めず、直接手札に加えたり盤面に出したりする方向へとシフトしていることもあり、AFを早期に破壊するのは昔より簡単になった。アナライズを引っ張ってくるのはもちろん、エンシェントや攻撃型ゴーレムを回収して攻撃に転じたり、ミスティックや防御型ゴーレムを回収して防御に転じたり。また、遺物の番人・ルチルの無償進化を起動するためにも便利だった。

そして、コイツが本領を発揮していたのはアンリミAFネメシス。解放や加速が出ている状態でアナエンシェの二枚を加えるのは本当に強力だった。0コスでアーティファクトコールと同じようなことやってんだからそら強い。このカードの登場でアンリミAFネメシスは完全体となっていたこともあり、このナーフによりAFネメシスは数を減らした。


〈12/7発表〉

ストレイホロウ・イルガンノ(ヴォイドリアライズ)

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ナーフ内容:イルガンノは1/1/1→2/2/1に、ヴォイドリアライズは4コスト→5コストに変更

【解説】
あらゆるネメシスに3積みされた、SORでも随一のパワーカード。
最初は1/1/1と貧弱だが、破壊されるたびに1/1/2、1/1/3とスタッツが伸び、1/1/4になるとトークン・ヴォイドリアライズを残して消滅する。ヴォイドリアライズは4/4/3突進の異形を三体出し、盤面処理はもちろんのこと、終盤になると疾走するためフィニッシャーにもなる。ただし、チマチマとイルガンノの体力を削られてしまうといつまで経ってもヴォイドリアライズを加えられない点には注意。

このカード、本当に何もかもが強かった。そもそも1tからリソースを枯らさずに動けるのはかなり強力。連携も進むし、もちろんヴォイドリアライズの覚醒に必要な20体破壊カウントも進む。ヴォイドリアライズ自体は20体破壊を達成していなくとも大きくテンポアドバンテージを稼げる可能性のある強力なカードで、また直接召喚されたフェイランの横に添えるのも強かった。

また、進化時効果も地味ながら強力。デバフ量は-1/1と最小限だが、刺さる場面には大きく刺さる。事前にイルガンノをチラつかせておくことで、横並べを牽制することもできる。とにかく一枚でできることが多すぎる。相手はイルガンノの存在を常に考えなければいけない。ゼルガネイアがいつでも出し得のシンプルなパワカだったのに対し、こちらは牽制・除去・展開・フィニッシュをこれ1枚に担うことができる、言うなればシャドバ界のドンキホーテ。コストも激安やしな。

特に、SOR中期~後期に開発された連携ネメシスでは主軸として大活躍。中盤は天覇風神・フェイランの効果を生かしながら盤面主体で戦い、終盤はカオスルーラー・アイシィレンドリングの直接召喚から相手の強力な動きを封じるこのデッキは、粘り強く戦える総合力の高さ、そして誰もまだ見た事がないアーキタイプという目新しさから流行した。

そしてナーフされたのだが、メンテ当日の午前に発表されるという前代未聞の唐突さに誰もが腰を抜かした。当時の環境でネメシスが最強だったかというとそんなこともなかったため、本当に誰一人として予想していなかったナーフだった。確かにイルガンノはどっかでナーフしないといけないとは思ってたけど、でも今じゃないだろ、そう言いながらPCを睨みつけたのを覚えている。ちなみにこのナーフでイルガンノは終わりました。1コスと2コスの差はデカすぎる。


~そのほか~

今期も恒例の上方修正(初回ナーフと同時)があった。そのうち、ギガントパスチャーの上方修正をもらったエルフは大躍進。環境初期は最弱クラスと言われており、「エルフを救いたい」などという動画が投稿されるほどだったが、環境終盤にはTier1まで登り詰め、またパスチャー入りアグロエルフがアンリミでも上位のデッキとなったウールヴヘジン・アラガヴィが上方修正されたヴァンパイア、特に狂乱ヴァンパイアは、環境上位のデッキとまではいかなかったものの、アラガヴィそのものは別物レベルで強化されたため、ランクマッチでも一定数見かけるようになった。

また、これまでナーフ時には必ず運営が勝率や使用率を提示していた(勝率55%、使用率20%がおおよそのナーフ目安とされていた)のだが、今環境のナーフからそれをやめ、かわりに「ゲーム環境の流動性を高めるため」という一言で〆るようになった。この「流動性」というワードは新たな怪文書としてネタにされ、また説明放棄ともとれる姿勢に疑問の声も上がった。しかし、SOR環境の流動性は実際高く、クラス間の格差もおおむね適正だった。運営くんシャドバ上手くなってきた?

~終わりに~

2020年を総括してきたが、去年一年遊んだ感覚では、昔と比べて環境のバランスが間違いなく良くなっていると感じた。機械エルフのような衝撃的なデッキもあったが、最速ナーフということは裏を返せば環境への影響が最小限で済んだということであり、プレリリース期間を設けたこともあって柔軟な判断ができるようになっていることも評価したい。シャドバ、楽しくなってます。

さらに、今テンポラリーデッキというものを配布していて、4つの中から無償でデッキを一つ選んで貰えるため、初心者や復帰勢にも優しくなっている。これ、昔の構築済みデッキとは比べ物にならないくらいにはそのままでも完成度が高く、特にアグロネクロマンサーは環境バリバリ上位のデッキがかなり完璧に近い状態で手に入るので、個人的に一番おすすめ。
シャドバやろうぜ!シャドバすっげえ楽しい!!!以上です。

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