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キッチンの明かりひとつ

あんまり親しくない人しかいない空間に居るのがめんどくさくて、今日は交流会みたいなやつをサボりました。色々お菓子食べたり、パーティゲームをするだけの会らしいのでまあいっかって感じでした。実際なにも言われなかったので、帰宅して、パスタを茹でました。トマトパスタが好きなので、トマトを刻んでコンソメとか隠し味にしょうゆとかと一緒に煮込んでソースをつくります。フライパンにパスタをざっと入れてソースを絡ませます。美味しそう。

食べたら美味しかったんですけど、具が結構シンプルで冷蔵庫にあった肉入れれば良かったなーって思って、ちょっと足りなさが寂しかったのでお玉に砂糖と水すこしを入れてコンロの火にかけました。端の方から直ぐに沸騰して全体がグツグツしてきます。熱せられた砂糖のいい匂いがします。布巾の上に移動させて重曹をひとつまみ入れてがしゃがしゃ混ぜて待っていると、砂糖の粒でできた液が膨らんで割れ目ができました。しかし、全体的に白っぽい。もうちょいカルメ焼きってきつね色だった気がする。再チャレンジ。漸く、3回目にそれらしい物が出来たので、曇りの日の薄暗い部屋でキッチンの明かりをひとつ点けて箸で少しずつ崩しながら食べました。

この時、大分前の酷く体調を崩したときを思い出しました。胃がなにも受け付けないのにお腹はどんどん空いてきて本当に辛くて、夜中に布団の中でお茶漬けの画像を検索して見てました。それが美味しそうで、今までに見たどんな食べ物よりも美味しそうで、気付いたら枕が濡れてました。
真っ暗な部屋で明かりがひとつ灯るキッチンの電子レンジにタッパーのご飯を入れて、それを取り出してお茶碗に盛った後、コップに水を入れて温めてお茶粉を混ぜ、ご飯にかけて梅干しを1個だけ乗せて食べました。やわらかくて優しい味のご飯に程よい梅干しの塩味で、また泣いてしまいました。自分でもよく分かりませんでした。

嫌なことがあって悲しくなってる訳じゃないんだけど、何か大事なものを失って悲しい気持ちのときにひとりで何かを作って食べると、すごく満たされるんです。人とご飯に行くのも楽しいけれど、時には、暗い部屋で、キッチンの明かりひとつで、温かい何かをひとりで食べる時間があったらいいなと思うのです。

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