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[ゲーム感想文]アサシンクリードⅢ

アサシンクリードⅢ (PS3)
入手価格 297円
プレイ時間約 21時間

"立ち上がれ"

前作までの主人公エツィオシリーズから、時代、登場人物(過去編)を入れ替えて登場。
ヨーロッパ各国が主導権を争うアメリカの独立戦争時代が舞台。列強各国が入り乱れる中、先住民の母と、テンプル騎士団に属する父との間に生まれたコナー。
母を殺され、部族は攻め入る諸外国から弾圧され、アサシンの一員として対立する。
父、師、仲間とのかかわりの中、新たな人生にむけ奔走する主人公コナーの活躍を描く、一大群像劇の結末は?

・前作からの違い

過去作同様に、街の中でのアクションのほか、今作では、草木生い茂る野外も主要な舞台となっている。
そこでは小動物から大型の獰猛な獣まで、多数の動物がいて、それらを狩りして毛皮の入手などが可能。

技術的なことはよくわからないが、どうやら基本のエンジン部分が変わったらしい。キャラクターの描きこみ、野山に生い茂る草木等、緻密に描きこまれて自然。キャラクター達がより自然な動きを見せるようになった。

前作まで取り入れられた、街・施設への出資(そこからの利益)要素が消え、防具・武器のお店もなし、薬による体力回復がなくなり、アイテムの購入も必要性が薄まった。お金自体はなくなっていないが存在は空気。

・さーて今作の新要素は?

毎作品必ず新しい要素ノルマがあるアサクリシリーズ。今作では船の操縦が目に付く。父が海賊とか、海辺生まれとか、一切の下地もないまま唐突に船長として操船を任され海戦までこなす主人公。「なんでやねん」の思いはさておき、この海戦が異常によくできている。

ゲームの冒頭はテンプル騎士団である父(ヘイザム)の操作パートから始まり、騎士団の内部事情を描くことで、様々な考え方の違いからくる人の関わり、そこから生まれる軋轢。それぞれの立場から目指す正義など、深いシナリオが展開される。
その後、父と母との出会い、今作主人公であるコナーの子供時代が描かれ、親子2代にわたる壮大なストーリーがこの一作で描かれている。
魅力ある登場人物たちの想いのぶつかり、交差する感情。そこにドラマがある。

・そこに愛があるんか

コナーのバックボーンとして、アサシン教団との深いつながりを感じず、敵の敵は味方でアサシン教団に属した印象。過去作の主人公たちのようにアサシン教団としての使命感を持って活動しているとは感じられず、ストーリーに感情移入しにくい。

キャラクターの動きについては、エツィオシリーズの熟成された完成度が失われあらゆる面で粗さが目に付く。
特に、多くの敵キャラクターに取り囲まれたとき等、動きががくつき、コマ落ち、視点不安定、動作不良等が発生。
他にも、会話と行動とのずれ、条件クリアしているのにクリアしたことになっておらず進行不可等、バグ含めて不都合点が多々見られる。
ソフトが要求するスペックにPS3のスペックが足りていない。

メニュー部分のユーザーインターフェース(操作性)は狂っている。左スティックと右スティックを両方操作するような感じで、意識高い系が見た目重視にかっこよく仕上げました的な創り。思うように操作出来ずにいらいらしっぱなし。

一番の不満は、敵からの逃げ方。悪い噂がたまると、近くに来た時点でターゲットにされる。前作では敵からの視点を切れば警戒が解けたのだが、今作はそれがなく、距離をとるため逃げているうちに、別の敵に見つかりまたそこから逃げるの繰り返し。逃げても、噂ゲージを減らす方法が限られており、再びターゲットにされて追いかけっこの始まり。敵からの逃げ方については、エツィオシリーズでかなり改善されていたはずが、今作で圧倒的退化。
敵との対峙も、一人の敵と対峙している途中で、後ろから別の敵に攻撃されるようになった。囲まれタコ殴り。さらに薬回復出来ず、落ちた体力を戻す事ができないため死亡の回数が激増。
ストレスのたまり具合はシリーズ通して最も高い。

・我々が武力の行使に積極的であれば、この世はもっとましな世界になっていた

テンプル騎士団の父(ヘイザム)を操作するパートと併せて、過去作からのベーステーマである、絶対悪はない、のメッセージがしっかり伝わる。
好調だったエツィオシリーズから、エンジンを替え、時代を替え、設定を替え、新たなゲームを生み出してくるUBIの心意気は素晴らしい。
熟成された前作と比べず、先を見据えた未来への投資として考えれば、そこに意味はある。

自分に刃を突き立てる息子に向かい「誇らしい」といえるヘイザムの想いの深さ。己の意志を持ち行動できる息子への称賛ではなかっただろうか。
そして、多くのものを失った結果、時代の流れは変えることが出来ず、勝利したのが騎士団でも愛国派でも結果は同じだったという結論を前に、何のための闘いであったかと反芻しながら生きてゆくコナー。
この点の描き方が素晴らしく、ハッピーエンドではないが記憶に残る締めとなった。

半面、現代編の描き方は不可解。
神的ポジションのジュノーとミネルヴァの提案する選択肢をデズモンドが選ぶことになるが、その点を選ぶ材料もゲーム内で見いだせず、結果ある程度ダメージがあって、それでも人類はある程度生き延びました、結果的に良かったのか悪かったのか分からず、なんともすっきりしない終わり方。
これでは命を賭したデズモンドが浮かばれない。

完成度の低いアクション、操作でのストレス、現代シナリオの不可解さがあわさり、アサクリシリーズの中で最も楽しめなかった。
デズモンドシナリオを最後まで見届けたいのでなければプレイの必要を感じないし、みたとしてもな印象。
以上はPS3Verでの印象のため、PS4リマスターはそうでもないのかも。機会があればプレイしてみたい。

その他
・冒頭オペラハウスが怒涛の完成度
・未だ中途半端に残る弟子の派遣システム。ただし使わなくても問題なし
・途中3~5度ほどフリーズ、はまり、進行不可状況に陥った。

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