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初めての免許更新〜失効には気をつけよう編〜

ぼんやりとした目を擦り、コップ1杯の水を飲み洗面台に向かう。
珍しく早起きをした。今日は免許更新をしに行くのだ。
あぁとてもめんどくさいや。

最初に言っておくが、更新期限はとっくに切れている。
自信満々に宣言しておくことで、この25歳とは思えないすっぽかしを誤魔化しているのではない。…事実を言っているだけである。
(なんで免許更新のハガキ見落としたんだろうか、、、。くそ、、。)

更新をすっぽかしたことに気づいたのは2ヶ月ほど前。
スマホの乗り換えのために楽天モバイルで契約をしていた時のこと。
係のお兄さんに身分証として免許を渡した時に期限が切れていることを
教えてもらったのである。
あの時のお兄さんありがとう。「そんなこともありますよね〜!」って爽やかに
言ってくれたの救われました。
「そうですね。ははっ。」とクソつまらない返事しかできなくてすいません。
人見知りなもんで。

あれからいくつの夜を越えたのだろうか。
ずっと頭の片隅に「免許更新」の4文字があった。
ご飯を食べている時も、仕事をしている時も。ふとした時に思い出してきた。
好きな子を想う学生じゃねぇんだからと自分にツッコミを入れていたら
もう10月になっていた。月日が流れるのは早いですね。

更新は通常の更新期限を過ぎてから半年以内くらいに済ませなければならないので、
あーだこーだやっているうちに免許失効の足音が確実に迫ってきていた。
「まだ期限あるやん」という考えはなかった。大人だな。
僕はこの免許を失うわけにはいかないのだ。仙台のボロい自動車学校で小言がきつい教官の指導を乗り越えて手に入れたこの免許は重みが違うのだ。
まぁ1番は失効したら単純に免許を取るために払った約30万をドブに捨てることになる。親にもゴミを見るような目で見られるに違いない。

通勤時間の電車に揺られ東陽町の免許センターに向かう。
普段は東西線には乗らないので、なんだか新鮮な気分だ。
あっ、やっぱ免許更新めんどいが主成分の憂鬱な気分が押し寄せてきた。
朝の気分の切り替えはカウンター攻撃のように早い。

駅からGoogleマップ大先生の指示のもと免許センターに向かう。
道中ですれ違う人たちはみんな会社に向かう人だろうか。
免許更新に行く僕より目が死んでいる人がいっぱいいた。
皆さんいつもご苦労様です。働くって大変ですよね。
スーツ姿の社会人達に同情にも近い感情を抱きながら歩いていると
免許センターに到着した。

いざ着いてみると完全に僕が悪いのに「わざわざ来てやったぞ」という
気持ちが沸々と湧いてきた。まだまだ器が小さいとも思ったが、
朝なのでしょうがないなと自分を甘やかし中に入る。

今回の免許更新で自分が舐めていたことが1つだけあった。
それは「免許更新忘れた人俺以外にも結構いる」と思っていたと言うことである。
そんな説が立証されることもなく、全然いなかったのがオチになるのだが、該当するのが僕しかいなかったのが1番の問題点である。
クソ恥ずかしかった。てかみんな優秀じゃね?現実ってちょっと厳しいね。

となると受付など結構手順が違うので他の人と比べて手続きのスピードが早く
あれよあれよと進んでいく。1つ終わるたびに規定の更新手続きを待つ行列の脇をするすると抜けていく更新忘れの男。

「いいのか!?俺は更新を忘れた罪深き男だぞ?あぁ、おばさん、、睨まないで、、。」更新を忘れた者の肩身は狭い。

いつもより周りにヘコヘコしながら僕は更新料金5300円を支払い、講習に向かった。

2時間の講習を終えようやく免許更新が終わった。なんだか気持ちが軽い。
もう「免許更新」がちらつくこともないんだ。
意気揚々と新しい免許を受け取り確認する。そこには3年前の免許の写真より確実に歳をとった自分がいた。
「…老けたな」ぼそっと呟きそっと財布にしまった。気づけば20代も半ば、自分が思っているよりも人生は早く過ぎていくらしい。
生き急ぐわけではないが、今よりかっこよくなろうという気持ちは失効しないようにとふと思った。そして僕は次の免許更新の予定を3年後のカレンダーに入力した。

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