フリーランスの声優が基本的に不利な訳
これはあくまでも一般論で、実績を積んでフリーランスになるor独立して自分の城を持った人には全く当てはまらないことを先に伝えておきたい。
最近はフリーランスの声優が増えている。
「事務所の数が増えているにもかかわらずフリーランスが増えている。これは時代が個の力を求めているからだ!」なんてネットの書き込みをみたけど、本当にそうだろうか?
「やっていけるからフリーになった」って人、全体の何割もいないのよね、現実問題。結論だけ言うと「所属する先の事務所が増えたにもかかわらず、人口が増えすぎてあぶれてしまった人間が増えた。結果フリーランスが増えた」って考えるのが自然。
もちろん、ネット声優みたいに最初からフリーランスって人たちもいるけど、そっちは既存の業界の人間のおじさんにとっては違う世界の人なので、そっちに関しては語ることもなく、仕事をご一緒することもないので割愛させていただく。
ココナラとかクラウドワークスとかランサーズとかでお金稼いでいるからプロだ!って人たちじゃなくて、悪い言い方すると旧態依然としたアニメやゲーム、テレビのナレーションなどに声を当てる役者が多い芸能事務所の話と思ってもらえると。
もうお話の大前提として、声優はあまり倒してる。
そんなレベルではなく、志望者が多すぎて足の踏み場もない。
そりゃ食えない人も増えるし、途中で脱落する人も多い。
これを事務所の偉い人はどうみているかと言うと、何とも思ってない。
自分のところの身内を食わせること、仕事を与えること以外に興味がない。次に、仲の良い事務所の人間。このあたまでは顔も声も把握していることが多い。事実、ほとんどの事務所はグループ会社以外にもつながりは持っている。グループが多くて大きい某社はそうでもないみたいだけど、それにしたって身内のことはそれなりに把握している。
この前提を踏まえてお仕事の流れを考えてみる。
アニメ製作委員会的なのが制作会社に依頼
→声のお仕事は芸能仕事なので慣習的に面倒
→どこかの事務所に音響制作をまるっと委託
運良く製作を持ってきた会社は当たり前だけど自分のところの身内を優先して使う。キャラに合った人を使うべきだ!っていくら外野が言ったところで、人が余っている声優業界。どこの事務所もそこそこ幅広い人材を抱えている。つまり、身内だけである程度美味しいところは賄える。
次に声がかかるのは上述の仲のいい事務所になる。
この業界、持ちつもたれるなので、人の貸し借りは普通にやる。つまり、自社で足りないキャスティングに関しては仲のいいところ使っておいて、逆の立場になった時には使ってもらう立場になろうという当たり前のやりとりが発生する。
ね、フリーランスって入りこむ隙間あんまりないでしょ?
それでもソシャゲの時代はなんとかなる。
必要とされるキャラ数が膨大なので回しきれなくなるからだ。つまり、いろんな人をかき集めて収録しなければならない。
問題は一昨年ぐらいからソシャゲが落ちてきていること。
もちろん仕事そのものはある。ただ、減ってきている。
なかなかに冬の時代。
挙句に元々低価格で存在していた案件は、ネット声優が食い尽くし低価格化が猛烈に進んでいる。
所属していないときつい!って時代に戻りつつある。
だったらクラウドワークスやココナラとかで稼ぐ!と言いたいだろう。単価みた方がいい。学生のバイトよりも安い。これ、低価格プラットフォームの運命なんだけど、一人でも品質無視して安く受けると、その価格が比較基準になる。
今後どっちに世間が流れていくのかまではわからないし、おじさんは自分の事務所の身内の仕事以外に優先することはない。次に教え子たち。遠くまで見渡す望遠鏡は持っておらず、近視眼的に生活している。
それでもフリーランスが最高だぜ!って人たち、頑張っていただきたい。応援だけはしたい。
教える立場なのでできる限りはワークショップなどで教えた内容を説明していこうかなと。地方の人やワークショップに事情があって参加できない人たちへのサポートが今後もやっていければと思っています。