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おうちで録音【宅録】で思うこと

素敵な時代

宅録の敷居ってめちゃくちゃ低くなったよね

これに関しては同意以外の単語はない。パソコンも低価格高性能化したし、オーディオインターフェイスも同様。ソフトウェアにしてもここ20年で考えると考えられないぐらい導入が容易。

挙句に携帯電話には録音機能が付いていて、新しいものだと普通にコンデンサマイクが複数ついているという状況。

つまり、手軽に試せる環境になったというのは今の時代が羨ましいと老害に片足を突っ込んだ身分では強く思う。そりゃ在宅ナレーターを副業にしたい人が増え続けているし、歌ってみたでカラオケ公開したい子供達も無限に出てくるわけだ。

本当に簡単なのだろうか?

先日、ツイッターのスペース機能で「録音を本格的にやる若者たち」とたまたま話をする機会があった。知識レベルがはっきりいうとこのテキストからは乖離したような専門的な機材の話が多くて、通りすがりの人たちは何のこっちゃではあったと思う。

ただ、彼らは機材マニアに結果としてなっただけの話で、録音って難しいな、奥が深いな、の結果のめり込んでいったわけだ。気楽にできるようになったというのは、シンプルに入り口が大きく開いただけで、録音そのものの難易度が下がったというわけではなかったりするのが現実なのではないだろうか。

すごい人たちがサラッとやってるだけ

宅録ナレーターでお仕事忙しすぎて捌き切れないという人もネット上ではそこそこ見かける。これ、よくよく話を聞くと「その人のスペックがそもそも高い」であったり、「環境的にそれが可能だったり、必要なスキルをあらかじめ持っていた」パターンが多い。つまり、普通に表面だけ真似しても大怪我をする

歌ってみたでものすごくいい録音できてる子供達にしても、部屋の環境がすごく良かったり、そもそも音楽経験が幼少の頃からちゃんとある子供たちだったりすることも多い。これも、全くの素人が同じことをしても中の人のスキルや環境という部分までは真似できない

宅録声優です、って人たちも上手い人たちってのは元々どこかしらに所属してた経験がある人が多いし、そうじゃない場合は学生の頃に演技の勉強をしていたりするケースが多い。アニメ大好きだからだけで気楽に始めた人でクオリティの高いサンプルは正直ほとんど見かけない。つまり、中の人の能力が占める割合がかなり大きい

編集にしても元々仕事として関わっていた人たちがサラッとやっていたとしても、同じ道具を持っている学生が未経験でたどり着ける場所ではないのは想像の通り。たとえスタジオ使ったところでプロのエンジニアと素人の試行錯誤では録音や編集のクオリティには結局のところかなり差が出る

今の時代は、入り口には簡単にたどり着けるとはいえ、憧れた対象と同じところに辿り着くのはやっぱり大変なのだ。昔は入り口にたどり着くことすら難しかったのでそれを思えば素晴らしい時代なのだが、出口までの距離が変わったわけではないのだ。

結局のところ地道に勉強するしかない

録音って面白いもので、知識と経験がある人であれば携帯電話でもそれなりに素晴らしい音質で録音できるし、素人がスタジオの機械を使ったところで大したものにはならない。この辺りカメラなんかも似ているが、思った以上に腕が如実に出る

知識はネットに落ちている!と言いたいところながら、免許も資格もない技術ってネット上の知識が間違っていることも多い。間違った方法を正しいと思って練習したところで悲しい時間を過ごすことになる。

これはある意味自分の直感を信じることにしかならないのだが、人から教わるのが一番なのだ。ただ、その人が正しいと思えるかどうかが大事。正しいと信じられる人から教えてもらったことを愚直にやるしか技術ってのは身に付かない

これからでも大丈夫よ

冷静に考えればわかるのだが、録音という技術の歴史はそこそこある。つまり、過去の経験なり体験の蓄積を持っている人たちが必ずいる。理論上とかも含めて、ちゃんとそういう部分を持っている人がいるのだ。だから誰でも到達できる入り口で路頭に迷う前に、教えてください、って人を見つけられるかどうかってだけのお話。

発声やダンスとかは本気でやろうと思ったらお金払って教室に通うでしょ?

それと同じことをやるか、って感じの心構えをしっかり持っておけば、あとは信じられる人を探してアプローチさえできれば、入り口のもう少し奥まではちゃんと道は存在してますよ

例えば声優とかにしてもデビューしてからものすごい回数のワークショップでお金と時間をかけて訓練し続けてるわけです。素人がその背中追いかけるとして、やっぱり全く同じではないけどそのルート無視もできないでしょ?

発声も演技もやっぱり過去からの歴史的財産や流れがあるわけで、声出せれば誰でも名乗れるものではないってのは、その業界の外にいてすらわかるはず。

なので、録音できればオッケーではなく、スタート地点でしかないのでそこからも頑張りましょうね、というお話。

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教える立場なのでできる限りはワークショップなどで教えた内容を説明していこうかなと。地方の人やワークショップに事情があって参加できない人たちへのサポートが今後もやっていければと思っています。