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秘伝! クロスの選び方

今回は試行錯誤を繰り返しながら編み出した、自主サラ大家流のクロス選びのコツを伝授します。

今までお抱えの管理会社やリフォーム会社に任せきりで、ご自身でクロスを選定したことが無い大家さんでも大丈夫。
ポイントをわかりやすく解説していきますので、ぜひチャレンジしてみてください。

また、ご自宅のクロス貼り換えを検討中の一般の方でも、シンプルな「量産クロス」をお考えなら必見です!
(この記事では賃貸物件用クロスとして最も利用されている量産クロスにスポットを当ててお話しします。)


先ずはクロスメーカーの市場シェアですが、半分はサンゲツが占め、そのあとにリリカラ、シンコールの順で続き、この3社で市場シェアの80%をカバー、残り20%が東リ、トキワ、ルノンなどになっているようです。


1)クロス選び

各社とも量産クロスのカタログ提供しており、現行のシリーズ名は以下の通りです。

サンゲツ     SP 2021-2023
リリカラ     LB 2020-2022、XR 2021-2023、XB 2021-2024
シンコール  SLP 2021-2023
東リ             VS 2020-2022
トキワ         TS 2021-2024、PINEBULL S 2020-2022
ルノン         RM マークⅡ 2021-2023

各社1冊以上の量産クロスカタログ帳を発行しており、どのカタログ帳も100点ほどが掲載されています。上記だけでも9冊ありますから合計900点以上になりますね。

なお一社で複数のカタログ帳を発行しているリリカラやトキワは、同じ商品で品番が異なるものを含んでいます。


さてどこから手を付けるかですが、私はトキワのTS、リリカラのXBからチェックを始めます。
理由は、どちらのシリーズも全商品が高機能性を謳っているからです。

トキワ TS     … 全点 対クラック、表面丈夫、撥水、抗菌 防カビ
リリカラ XB … 全点 撥水トップコート、表面強度アップ、抗菌、防カビ


上記以外のカタログにもこれらの機能性を持つクロスは掲載されていますが、機能性を謳っていないものと混在しています。機能性を優先する場合はその都度確認しましょう。

なおそれぞれの機能性は各社の自社基準によるものなので、メーカーによってばらつきがあるなぁというのが実感です。
気になる表面強度などは実際にサンプルを取り寄せ、ご自身の爪やコインで引っ掻いてみて破れやすさを確認してみるとよくわかります。
やってみると、A社の機能性なしとB社の丈夫な商品とが同程度の破れやすさだったり、どちらもC社の基準をクリアした丈夫な商品のはずなのに、商品によって破れやすさに違いがあったりします。

ザックリとですが、表面のエンボス(凸凹柄)が大きくて厚みのあるものは爪が引っ掛かりやすいので、エンボスが小さくて柄が細かいものの方が破れにくい傾向ではあります。

私の経験上、トキワのTSが最も粘り強く、このシリーズのどの商品も破れにくかったのでお薦めです。
ただし他社よりも薄めなので、下地を拾ってしまう可能性がありそうです。

また東リのVSはきれいな発色のものが多く、エンボス柄も上品で他社とのデザイン性の違いを感じます。
クロス屋さんによると、建築士が好んで使いたがるそうです。

シンコールのSLPも、去年リリースされた商品には結構いいなと思うものがあり、量産クロスに力を入れてきたなと感じています。


クロス選びを始めるにあたっては各社のカタログ帳から目ぼしい品番をピックアップする方法が一般的だと思いますが、カタログ帳の小さなカットサンプルでは施工後のイメージがつかめず判断を見誤る可能性大ですので、必ずショールームへ出向いて大きなパネルで見てみましょう。
きっとカタログ帳から受けたイメージとは違ってくるはずです。

トキワやルノンのように近くにショールームが無い場合は、カタログ帳からピックアップしてA4サイズのカットサンプルを取り寄せましょう。


クロスの種類には、石目/塗り壁調と織物調があります。

何度もクロスの貼り換えをしていて下地が荒れて仕上がりに不安がある場合、「エンボスの厚みのあるものを選ぶ方が安心」だとか、「織物調よりも塗り壁調の方が目立たない」などとよく言われていますが、それに縛られると選択肢が狭まってしまいます。

これがいい!と思ったら、きれいに貼れそうかどうか施工業者や職人さんに確認してみましょう。
腕のいい職人さんが丁寧な下地処理を施せばきれいに仕上がる場合も多いです。


クロスの貼り分けについては、ホワイト系や淡い色であれば、壁と天井を同じクロスにするのがお薦めです。
そうすることで壁と天井の境目が目立たずきれいに仕上がるからですが、梁や柱の多いマンションなどは特にお薦めです。

天井は天井用クロスから選ばないとと思っていませんか? そんなことはありませんよ!


壁クロスに柄が入っていて、天井も同じクロスを貼るとおかしい場合や、壁クロスの色が濃いめで天井まで貼ってしまうと部屋が暗くなりそうな場合は、天井を明るい色のクロスにします。
注意点は壁と天井の素材感を合わせること。
壁が塗り壁調なら天井も塗り壁調か石目調にし、壁が織物調なら天井も織物調にします。


新築分譲マンションの内装を観察していると、一種類のクロスですべて貼り上げていて居室の壁も天井もトイレも洗面所もどこもかしこも同じクロス、というパターンをよく目にします。
施工の効率性を重視しているのためだと思いますが、それはそれでスッキリします。

次に多いのはトイレ、洗面脱衣所のみ別のクロスにして変化を付けるパターンです。
私はこのパターンを採用していて、居室などは織物調、トイレと洗面は石目調にすることが多いです。


2)比較検討

候補となるクロスのカットサンプルは、一ヶ所につき3枚から5枚程度を選んでおきます。貼り分ける場合はそれぞれの場所ごとに3枚から5枚ずつです。
A4サイズのカットサンプルが手元にそろったら比較検討に入りますが、その前に以下の下準備を行います。


・まず初めにA4サイズの両面白の厚紙を100円ショップで購入します。

・次に厚紙の裏面にこれから貼り付けるクロスの品番と機能性をメモしておきます。

・それを裏返し、全面に満遍なくスティック糊を塗ります。

・厚紙の枠からはみ出さないよう、カットサンプルを重ねます。

・上から新聞紙などの紙を載せ、版画の要領でこすって接着させます。


この作業を候補となるすべてのカットサンプルに施しておきます。

厚紙に貼り終えたら玄関や廊下などダウンライトがある場所にカットサンプルを持っていき、光が当たっている壁に押し当ててみましょう。

先ずはご自分の目線の位置に押し当て、次に正面、右斜め、左斜めといろんな角度からチェックします。
そうすると見る角度によって表面のエンボス(凸凹)が作りだす陰影の表情が変わることに気づくでしょう。

次は目線の上の方や下の方でも同じように押し当ててみてチェックします。押し当てる場所を色々変えながらチェックすることで施工後のイメージがだんだんつかめてきます。

この時の印象が安っぽいな、凸凹が強調されすぎてうるさいな、など印象が良くなかったものは候補から外すか、優先順位をつけておきます。


次に、床や建具に見立てたサンプル材の準備です。

この時点で空室状態なのであれば、実際の部屋で色合わせできますのでサンプル材は不要です。
クロス単体だけを見て選んでしまうと、他の部材との色バランスが悪くなってしっくりこない場合がありますので、最終決定する前に必ず床や建具と調和しているかシミュレーションをしておきましょう。

床や建具に見立てたサンプル材をどうやって調達するかですが、ネットでフローリング材のカットサンプルを安く購入できますし、フローリングメーカーのショールームに出向いてそれぞれ近い色の床材のカットサンプルをもらって帰り、それで代用することもできます。


クロスと一緒にビニル巾木も交換するのであれば、そのサンプルも入手しておきます。
お薦めはホワイトでW-9またはW-97です。木巾木の場合もホワイト一択です。

少し前まで巾木の色は床色に合わせたり建具の色に合わせたりしていましたが、今はそれらに関係なくホワイトを使うのがトレンドです。部屋をスッキリ見せる効果があり、ほとんどの新築分譲マンションでホワイト巾木が採用されています。


これらが全てそろったら、この下の写真左のように組み立ててみます。クロスを貼り付けた厚紙を一枚ずつ交換しながら一番しっくりくるものを選んで最終決定します。

ちなみに写真右は施工後の写真です。ほぼシミュレーション通りのイメージで仕上がりました。

ここまでチェックしておけば、施工した後の「こんなはずじゃなかった」は最小限に抑えられるはずです。

さあ、始めましょう!

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