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管理費高めの管理会社、実は良心的!?

今日は年一回開催される収益マンションの定期総会がありました。
総会の主催者は管理組合の理事長で、区分所有者全員が参加してマンション共有部分の管理に関する事項を決定する場となっています。
マンション管理会社からは管理業務報告や決算報告、次年度の管理委託契約に係る重要事項説明も行われます。

でも実態はと言うと・・・参加者は理事長、私、管理会社の3名のみで、ほかの区分所有者は委任状を提出するだけで参加はしません。
毎回同じ顔触れですが、収益マンションの総会ってどこもこんな感じですよね。

これが所有者自身が住むファミリー向けマンションだと違った様相になります。
そこそこの人数の意識高い系区分所有者は必ず総会に参加し、積極的に意見を述べ、時には何時間も延長して議論を戦わせます。
マンションを良くしていこう、資産価値を維持しようという志の高い区分所有者が多いマンションほど総会での発言は活発になります。

それにくらべて収益物件の総会はなんと寂しいことか。

とは言え悪いことばかりではなく、3人だけの総会は私にとって好都合な面もあります。
意識高い系を自認する私はマンションの資産価値を維持するための提案をいくつか準備して総会に臨みますが、提案するのは私だけなので、その提案が妥当なものである限り反対する人はおらず、100%承認されるからです。

私の提案は主に清掃状態の改善、管理上の不備、共用部の破損個所の修繕、住民のマナー違反などですが、総会までに物件に出向いて改善すべき箇所が無いか細かくチェックし、その結果を管理会社に報告しておきます。
その報告の際には問題個所の指摘のみならず、なぜそうなったのかの原因を推測/究明し、どうすればそれが解決するのかの「現状+分析+提案」もセットで提示します。
こうすることによって、忙しい管理担当者の手を煩わすことなくすぐに解決に向かうことができます。

また総会前に管理会社に報告する目的は、管理会社の方でも事前に確認して対策を練っておいてもらうことで、総会の場で問題解決への議決が速やかに行われるようにするためです。

実はこういった共用部のチェックは総会のあるなしに関係なく普段から行っていますが、管理会社とやり取りを重ねるにつれ担当者との間に生まれた信頼関係はより強固になっていくのを実感しています。
管理会社からすれば、私の活動は忙しい管理担当者の業務の一端を担っているので便利で有難い存在でしょうし、資産価値を維持したい私からすれば、直ぐに改善に向けてのアクションを取ってくれる担当者はこの上なくありがたい存在なので、まさにWIN-WINの関係ですね。


さて、本題です。

今日の総会の対象となる私の所有物件の詳細は以下の通りです。
家賃:       ¥108,590(1LDK、45㎡、24戸)
管理費:     ¥10,590
修繕積立金:¥6,100

この金額バランスを見てどう思いますか?
「修繕積立金が少ないなぁ。それに比べて管理費高くない?」
これが物件購入時の私の率直な感想でした。


では、築年数も平米数もほぼ同じ大阪市内の他物件Aはどうでしょう。
家賃:        ¥109,700(1LDK、44㎡、102戸)
管理費:     ¥5,300
修繕積立金: ¥9,120

こちらの方はバランス良く配分されているなと感じます。

私の物件が全24戸に対して物件Aは102戸なので、戸数が少ない分だけ一戸当たりの管理費負担は大きくならざるを得ないと理解できますが、それにしてもねぇ。


今日の総会での議題の一つに、修繕積立金を増額すべきとの提案が管理会社からありました。次回の大規模修繕に向けて25%アップしましょうと。
修繕積立金はいわば管理組合の貯金なので異論はありません。
大規模修繕時に積立金不足のために必要な修繕ができないくらいなら増額に賛成です。

しかし、区分所有者である家主にとっては、管理費であろうと修繕積立金であろうと、毎月の経費が増額になるのは避けたいものです。

そこでつい私が漏らした言葉が、「管理費がもう少し安かったらいいんだけど。」

これに対して担当者はこんなことを話し始めました。

「うちはよその管理会社のように大規模修繕や小工事なんかで儲けてないんです。だから担当者にはノルマがないし、工事をしても給与は増えません。
管理組合と施工業者とは直接契約にしているのでマージンの抜きようがなく、だから純粋に毎月戴く管理費でやっていかなければならないんです。」

ふんふん、なるほど。
そういえば過去何回かあった小工事、私がネットで見積もった工事費とあまりかわらなかったな。

私は過去に別の物件の管理組合の役員として3社の管理会社と関わったことがありますが、しょっちゅう修繕工事の提案をしてきましたし、その見積もり額は、私が個人的に取ってみた見積もり金額の2倍3倍だったのもザラでした。

建前上は管理会社が管理組合に代わって相見積もりを取ることになっていますが、どの会社も管理会社の息がかかった施工業者で談合しあってるだとか、管理会社が他社の見積書を捏造しているという噂が絶えなかったのを思い出しました。
聞くところによると、管理会社は工事費総額の半分程度をマージンとして取るために、下請けの施工会社には値段を叩いて受けさせるというのが常態化しているとのこと。

だからこんなことをしている多くの管理会社は、管理費を低く抑えていても工事と言う副業で後々利益を得ることが出来るので、先ずは管理組合との契約を取るために管理費を安く提示するらしいのです。
それが証拠に、大規模修繕直後のマンションは旨味がないので、あえてそんなマンションの管理会社にはなりたがらないのだとか。


「そうか、そういう事情があるのか。なんで今まで気づかなかったんだろう」と、話を聞いて目から鱗が落ちる思いでした。

物には妥当な正価というものがあり、それは他との比較で決まるのではなくコスト積み上げで自ずと決まるもの。
そう考えると、目先の管理費の安さに目を奪われて ”いい管理会社だ” と考えるのは愚かなことで、長い目で見ればまっとうな仕事をしている管理会社をみつけて大切なパートナーとして誠実に付き合う方がずっと有益ですよね。

大切なことを学んだ一日でした。

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