ナイトガード製作法(エルコプレス+レジン盛り) 第2回 マウント~設計

第2回マウント~設計

1 印象時の気泡修正 ーマウント前準備ー

アルジネート印象時に咬合面窩に気泡がある場合、これを放置してしまうと後にマウントする際に模型上の咬頭嵌合位に妨げになることがあります。そのため、気泡を削るか、デザインナイフなどで取り除く必要があります。

しかし、削った箇所は本来の歯牙と全く同じになるはずはありません。仮に気泡を削った箇所が本来より多い場合、口腔内でのフィットに悪影響を与えることがあります。極端に言えば、模型(印象時の気泡)を削らなければ、浮き上がりの原因とならないと言えますが、マウントに影響が出るため、そうするわけにはいきません。


では、どのようにすればよいのでしょうか? 2つのポイントがあります。1つ目は、削る個所は確実に埋める(少し多めに)こと。2つ目は、模型上の咬頭嵌合位に影響しない部分は削らないことです。ただし、最終形態に影響しそうな極端に大きな気泡は削る必要があります。また、プレスシートに巻き込みそうなアンダーカットのある気泡は削るか、そのままブロックアウトすることができます。

取らなくてもよい気泡
模型上の咬頭嵌合位には影響しないがエルコデュールプレス時
プレート内面に巻き込む可能性がある気泡

注)削合個所のブロックアウトや上記2以降の作業を行うと模型上の咬頭嵌合位の妨げになるため、埋める個所はマーキングのみしておきます。1の作業後にマウントし、次に2以降の作業に入ります。

咬合器マウント

上下の模型が変形の疑いもなく、また気泡の影響もなく良好な嵌合位であることを確認してから、上下を固定します。かみ合わせが不安定な場合には、ワックスバイトやシリコンバイトなどで安定させることができますが、模型上で咬頭嵌合位が安定して得られている場合には、かえってバイトマテリアルをかませることで模型が浮くなどのデメリットがあるため、注意が必要です。

上下模型を固定する場合は、つまようじや割りばしをカットしたものをグルーガンで4か所固定することで安定させます。ただし、模型を完全に乾燥させてから行うようにしてください。(模型が湿っているじょうたいではグルーガンでうまくつかない為)

咬合挙上量の決定について、2つのやり方があります。1つ目は口腔内で咬合挙上した状態のバイトでマウントする方法、2つ目は模型の咬頭嵌合位でマウントし、咬合器上で挙上する方法です。

いずれの方法を選択するかは、歯科医師の判断にゆだねられますが、筆者のラボでは2つ目の方法が圧倒的に多いです。口腔内で開口位の正確なバイト採得は困難に思われますが、咬合器上で任意に挙上しても口腔内と同じにはならないため(開口時の前方滑走などの再現ができないため)、どちらが調整量が少ないかを試してみることをお勧めします。

咬合器の選択やマウント法には、歯科医師や歯科技工士によって様々な考え方や技術がありますね。筆者のラボでは平均値咬合器に装着するケースがほとんどですが、平均値咬合器に装着する場合、咬合器上で挙上することで、装着する際の咬合平面の角度がクリアランスの作り方に影響すると考えます。

マウント後 外形ラインの設計を印記

基本の外形ライン

頬側は切端則から約2~3mm
(歯冠長が短く維持が緩くなりそうなケースでは長めに設定する)




口蓋側は歯頚部
(前歯部は対合関係により設定する)


遊離端は(対合歯のある場合挺出を防ぐ)床延長する
ただし設計に関しては歯科医師の指示による




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