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質問「訪問リハするにあたって1番大切にしているものは何ですか?」

僕の本業は「訪問看護ステーションからのリハビリテーション(≒訪問リハ)」なのですが、たまに学校で講義をさせてもらっています。その時に出た質問に、こちらでも回答します。今回の質問は、「訪問リハするにあたって1番大切にしているものは何ですか?」いや~、すごくいい質問。感謝です。

一言で回答するなら…「また来てね」と思ってもらえるか

です。とてもいい質問だったので、僕が「1番大切にしていること」ってなんだろうとまとめました。すると、ここにいきつきました。まぁ、正確には「もう来てほしくないと思われない」だったのですが、言い換えました(笑)

そのために必要なことが3つと、1番でないかもしれないけど同じく大切にしている1つを補足します。

1.他人様の家に、色々もちこまない

結局最初は「○○しない」系になっちゃいまいした^^;色々というのは、例えば「医療の正しさ」「感染源」「僕の常識」などです。これも補足をします。

医療の正しさ:退院時あるあるで、自主トレメニューを組んで用紙としてもらっているケース。これ、おそらく家でどのタイミングで生活に取り入れられるか相談・検討少ないまま、一方的に提供してないか?という印象の場合が多いんです。

リハビリ室で、リハビリのために時間をとっている入院期間と同じ生活をする訳でないことが、どうしても抜け落ちてしまう。退院してからも運動をしたらいいのは間違いない。医学的に正しい。しかし、医学的に正しい生活をしている人間なんて、一体この世に何人いるのでしょうか?

感染源:これはイメージしやすいし、コロナ禍でより徹底されることになりましたね。とある利用者さんのご家族がお話されてた、「医療従事者のマスクは、工事現場のヘルメットのように義務化されたままになるでしょうね」は妙に納得しました。そうか、工事現場でメットなしの時代あったんだと驚きましたが、医療・介護・福祉現場においてもそうなるのかも。

僕の常識:僕の感覚でありえないと思っても、それがいいという本人らの意向がダメではないと、常々思っていないと、どうしても正しさという刀を振り回しがちになっちゃいます。
「リハビリで指導してください」なんて依頼されても、手段を変える意図はあるのかを確認しつつ、今までの生活を否定はしない、生きた時代が一世代違うだけで価値観は違う。そんな意識で訪問しています。
※相手次第ですが、高齢でも受け入れられるならスマホに運動メニュー録画したりと、今のツールの活用は試みてます。

2.家族らで埋めれないものを埋める  

 介護が必要になる場合、本人だけでなくその家族の対応って色々あるなと感じています。機能維持してほしいからスパルタ気味になる人。逆に過保護気味になってしまう人。言葉かけにしてもトゲトゲしい人、甘い人。

 僕らは定期的に家にあがるけど家族でないという、親戚よりも近いような、遠いような存在になります。

人は人間関係の力で強くも弱くもなる。

科学的ではないですが実体験としてもあるこの感覚で、今の家族関係で作れていない役割を兼ねたいと思っています。承認する人がいない?積極的に運動促す人がいない?今の生活に変化を促す言葉を言える人がいない?作れていない役割というか、バランスをとるという感じかもしれません。

 たいていの利用者さん、家族でほぼ全てに共通してるなぁと思うのは、「話を聴く人がいない」かもしれません。わかりやすく話ができる以上に、話をちゃんと聴けることの価値が高まってるなぁと感じています。

3.自分(≒理学療法・保険内etc)の限界を理解する  

 僕の訪問はほぼ100%誰かに依頼されて開始しています。ただ、注意しないといけないなぁというのが、「依頼=理学療法・リハビリテーションを欲してる訳ではない」こともあること。
これは最初の正しさのもちこみにもつながりやすいのですが、頼まれたから何か提供しようとしすぎると、関係性ないままにただ不快な思いだけさせて、終了。となってしまうこともあります。

 また、訪問には基本一人で行きますが、「解決のためのベターはリハビリテーションじゃない」という場合もあります。「リハビリは不要です。」でなく、「こういうサービスもある。」と情報提供することが結果的にその人の生活を支えることになる、全て自分で解決できる訳ない。これも大切に、頭から抜けないようにしていることの1つです。

番外編 来なくていい形も意識する

 ちょっと矛盾しますが、また来てねと感じてもらう関わりをする反面、「もう来ないでいいね」と終了をあえて意識する場合もあります。これにはいくつかの視点があります。

 まず、大きな視点では国の方針や財源もあります。基本料金も年々減少、社会保障費を抑制したい。お金出す側はリハビリも期間限定での方向になっていっています。

介護予防訪問看護(要支援1、2の方への訪問看護)での理学療法士等による訪問看護(リハビリテーション)の評価については、12ヶ月以上継続で訪問している方については5単位の減算定になります。(参考記事より引用)


 組織的な、ステーション規模でいえば、マンパワー的な課題(僕の所属しているステーションが、看護メインでリハ少数なため、依頼をお断りする場合もある)です。リハビリテーション関連職は飽和してる?みたいが議論が度々ありますが、足りてないところは足りていない。必要な方に適切な量のリハビリテーション職が関われるよう、地方で奮闘しております。

 概念的には、介護保険制度の基本理念は自立支援であり、誰かがいないと自分にあった運動を継続できない。その誰かにコストが発生し続けるというのは、確かに持続可能しにくいなとは感じます。そんな意識が強いからか、習慣形成とか、行動変容みたいな書籍にはとびついております。↓みたいなね。

最後に

もちろんこれは正解でも何でもありません。誰かの参考になればうれしいです。参考になった方、よければハートつけてくれたら、届いた人がいたって喜びます。似たお立場の方の、大切にしていることもコメントもらえたら嬉しいです!

 余談ですが、実習時に僕もPTの方々に同じ質問をぶつけてました。見学させてもらうPTさんほぼ全員に、「PTとして一番大事にしていることは何ですか?」と。うざかったでしょうね~。反省。
 一人ひとり全然違う回答で、興味深く感じていたのを覚えています。具体的な内容は忘れましたが(笑)


参考記事

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