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意識について 2023年版

はじめに

前に書いた時から随分と空きましたので、ひとまとまりを書きたいと思います。
前より深みが増した気もしますが、多分、気がするだけです。
少し長くなります。ご容赦ください。

留意点

内容は検証されておりませんので戯言の域です。
なるべく論理的に、形式的に書こうと努めているものの、直感の域であるとも思います。
何度か推敲しておりますが、間違いが残っているやもしれません。
述べた仮説をどう確かめるのか、どう検証するのか、組み立てられていない事も多いです。
そのうち検証できたらとは思いますが、自分だけでは難しい事ばかりです。
多くの方々の書物や記事を参考に、切り貼りしながら思考して組み立てた話ですので独創性については不明です。
「電磁作用」は「電磁相互作用」のことであり、「電磁相互作用により伝搬する信号」の意味合いを含んで記載している部分があります。

要点となる部分

意識が磁気側であるとする部分。
その磁気側から電気側を推測した結果が意識であるとする部分。
その推測では、イージーな推測とハードな推測が連動しているとする部分。
その連動では、イージーな位置の問題とハードな位置の問題の解決が連動しているとする部分。
(イージーとか、ハードとか、多用するべきではないかもと思いつつも)

電磁の関係の特に磁気側

まず電気と磁気について触れます。
電磁気は意識を考える上で、外せないと考えています。
なぜなら、電気と磁気の関係が、意識される側と意識する側の関係に対応づいていると考えられるためです。
より厳密には、電場と磁場、あるいは、量子場の視点で説明すべきかもしれません。
しかしながら本質的な部分は、電気と磁気という言葉で十分語れそうですので、以降も電気と磁気だけで説明します。

結論

先に結論を述べます。
「磁気側」に意識を宿す主体があり、「磁気側」から「電気」を捉えるために「磁気側」で「推測」された「電気側」が「意識」であると考えます。
「電気」と「電気側」は異なります。「電気」は実物であり、「電気側」は「磁気側」から「電気を推測した結果」であり実物ではありません。
「磁気側」と記したのは、電気ではない何かであって、磁気あるいは、それに近い存在と考えているためです。
「側」をつけているのは、電気と磁気を区別した上で、その両者は分かれ続けるものと強調するためです。
しかしながら、電気と磁気は分かれているのですが、互いに影響し合う関係でもあります。
以降、このような結論に至った経緯を、順を追って説明していきます。
一枚にまとめた図は以下です。

この記事のまとめの図

まとめの図


なお、意識について思索を続けていくにあたり、この結論は今後変更される可能性があります。

電磁の概要

電気を帯びた粒子が動くと、粒子の周囲に磁気が生じます。
(電気が流れると、その周囲に磁気が生じます)
電気の大きさに応じ、生じる磁気の大きさも呼応して大きくなります。
ここでのポイントは、電気を帯びた粒子らしいそれが占める空間より、磁気が生じる空間の方がより広い事です。
関わる空間が広いと、それだけより多くの状態を表現できる可能性が増えると考えられます。
そしてその広がり方には速度があり、時間をかけて広がる特徴もありそうです。

電気より磁気の方が状態が多いとは

電気を帯びた粒子の事を以降、荷電粒子と呼びます。
この荷電粒子の状態(の変化)よりも、その動きによってもたらされた磁気側の状態(の変化)の方が、より多くの状態(の変化)を取り得るのでしょうか。

「状態」とは、電気視点の場合、対象の荷電粒子群の位置や速度や加速度を、物理量を使って列挙したものです。
磁気の状態は、電気の状態に基づいて、電気の状態を反映したように説明されます。
この関係を定式化したものとして、マクスウェルの方程式が一般的に使われます。
この方程式は、電気の動きが磁気の変化に反映される事を説明します。
反対に、磁気の変化が電気の動きに影響することもまた説明します。

単独の荷電粒子の動き(位置の変化)は、磁気の広がりの動き(波紋のような変化)に反映されます。
そしてこの磁気の影響が、別の荷電粒子に影響することも示めされています。
ここには、その2つの粒子の距離の二乗に反比例する力の関係も見出されています。
距離の二乗に反比例する形で、単位空間あたりの磁気の影響が薄まりながらも広がっていくと、捉える事もできます。

電気より磁気の方が状態が多い事を示すには

磁気は、電気が生じ(荷電粒子が動か)ないと観測されないため、荷電粒子が動き続けているような空間が前提となるのでしょう。
常に電気の状態が変わり続けている中で、磁気側も変わり続けられる事になります。
磁気側の状態が多いというのも、こうした電磁作用が生じている延長で考える必要がありそうです。
これは、ある程度複雑な電磁作用が定常的に生じているような高分子の物質や化合物が、その対象となりやすいことを意味するかもしれません。
電気を通しやすい金属の場合、磁気の様子を複雑にしないため、電気を通す有機化合物よりも、磁気の状態を少なくするのかもしれません。
いずれにしても、電気の状態の変化の度合いに比べ、磁気側の変化の度合いが大きい、あるいは複雑であると計測される事が求められるのでしょう。

例えば、ある瞬間に同じ荷電粒子の配置があったとしても、その状態に至るまでの経緯が異なる場合に、磁気側の状態が異なると見出せたならば、磁気側の状態の方が、電気よりも多く取り得ると示せるかもしれません。
確かに、電気の動きに伴う磁気への影響は速度を持っており、そのため遠方になる程、磁気への影響が伝わるまでにも時間がかかりそうです。
電気の影響が磁気側へ遅れて反映されるため、磁気側には後の時間のものが残存するようになり、結果として電気よりも磁気の方が多くの状態を抱えてしまうかもしれません。

電磁作用が生じている中で、電気に比べ磁気の方が状態を多く取り得る可能性は、他にもあります。

真空中を進む光よりも、物質内を進む光の方が遅くなる事が知られています。
この遅延は「光が辿る距離の延長」=「光の経路に残る状態の量が増加した」と、捉えられるかもしれません。
そうすると「電磁作用が顕著に起こっている空間」=「荷電粒子が小刻みに震えているような空間」は、真空よりもより「広い空間」=「多くの状態を持ちやすい空間」と、考えられるかもしれません。

他にも、電子の大きさ程度のスケールでは量子と呼ばれる状態が顕著になり、粒子的な振る舞いと波動的振る舞いが同居したような状況になる事が知られています。
この時「状態」は確率でしか表せない事が判っています。
この電磁気の状態を厳密に表現しようと試みると確率的になるということは、この小さな空間の中に多くの状態が残っているとではないかと考えられます。

確率と決定

確率で捉えるとは、何らかの理由により、初期状態を決定できない場合や、観測が観測対象に規則化できない影響を与えてしまう場合です。
「初期状態を決定できない場合」とは、「経歴を辿れない場合」や「すべての状態の記述が現実的でない程多数の要素に分解できてしまう場合」です。
こうした場合、ある時の状態から、次の状態に遷移する組み合わせを、繰り返し観測する試行を経て、変遷前後の組み合わせがどのくらいの割合で起こるのか割合として獲得します。これが確率として観測するという事です。

宇宙の最初から今までの全ての経歴を知り得ないため、全ては確率で議論されるべきかもしれません。

しかしながら、事象の中には時々、初期状態と同じ状態をその経過の中に再現する場合も(同じ事が繰り返されている場合も)あります。
そのような場合、確率ではなく決定論的に記述できる機会を得られます。

変分原理

観測対象の特定状態の再現が単純で、つまり初期状態が簡単に決められ、その後の変化に初期状態に応じた規則性が見出せている場合、変分原理と呼ばれる自然界の原則を当てはめ、決定的に予測するための方程式を導出すると言ったことも可能になります。
ちなみに、決定論的な場合に限らず、この原理を確率事象に応用することもできるようです。
確率的な物理事象の状態遷移に対し、自由エネルギーを定義し、算出して、この自由エネルギーの推移に変分原理を適用する事で、確率的推移の予測精度を向上できるというものです。
変分原理はこの自然界において、相当に強力な原理なのでしょう。

電磁作用としての光

磁気は「より広がりたい」指向性を示し、一方電気は「より粒子として存在したい」指向性を示しているように思います。
光が空間を広がるように移動する部分は、磁気の性質によるもので、光が進む向きに偏りを持たせた部分は、電気の性質によるものかもしれないと、考えたりします。

磁気側の属性

ここからは、磁気側が電気の状態の組み合わせの数に比べ、多くの状態の組み合わせを持ち得る前提で話を進めます。

荷電粒子が動き続けると、それに伴って磁気側も変化し続けます。
この変化し続けている間は、磁気側が電気より多くの状態の組み合わせを残せる分だけ、電気で起こった出来事が磁気側に残りがちになります。
この残りがちになるの意味は、ある時刻の電気の動きから生じた磁気の事象と併せ、その前の時刻の電気の事象の動きから生じた磁気の影響も、磁気側に残存し蓄積されていくという事です。

その磁気への影響の広がり具合は、最大で光の速さの速度で伝播し得ると考えられます。
そのため、電気の動きが磁気側に残って影響が広がりはじめると、それ相当に速く広がり、そして、状態の種類もそれ相当に多く蓄積されると考えられます。

磁気側から「電気側」を「推測」

磁気の影響は通常広がっていくものですが、ここで時間を遡るよう無理に磁気を振る舞わせる事ができたら、どうなるでしょうか。
過去の電気の状態を推測する事にはならないでしょうか。

1つの荷電粒子の磁気側への影響であれば、その影響は同心円状に(厳密には同心球状?)に広がるため、それを逆に動かす事で、1荷電粒子の「影響を再現」できるのではないかと考えられます。
しかしながら、実物の荷電粒子を再現するわけではないため、これは「推測」と呼ぶべきでしょう。
同様に、複数の荷電粒子の影響はその影響同士も影響し合うと考えられるため、影響の広がりはそれぞれで同心円状にならないと思われますが、相互の影響の及ぼし方について理屈がわかっていれば、その影響を逆に辿る事で、複数の荷電粒子の状態を「推測」できると考えられます。
ここで「推測」と呼ぶのは、後のつながりもあって敢えてなのですが、実際に電気を実体化して再現はできないので「推測」とも言っています。
そしてその故に「電気」ではなく「電気側」と表現しています。

こうした思索がきっかけとなって、「磁気側から電気がどうなっていたか推測を働かせる事」=「意識」ではないかと考えるようになりました。
また、意識を生み出す仕掛けは「磁気側」にあり、意識の内容はそこで「推測された電気」=「電気側」としたのです。

空間を3次元と感じる理由

電気の動きと直角の方角に磁気の変化が応じます。
そのため、磁気側から電気側を全方向を推測可能するためには、直交した3軸分の方角を用意する必要があります。
意識の上で視覚的空間が3次元になる意味は、この磁気側から電気側を推測するにあたり、電磁作用の事象の特性が反映しているためではないかと考えられます。

電気の停止は磁気の停止

電磁の作用は荷電粒子が動いている時に生じたものであるため、つまり動いた結果として観測できるのであって、荷電粒子が停止している場合は磁気も観測できないはずです。
そもそも宇宙自体が動いている時は、宇宙内部の全ての荷電粒子が(相対的に見て)停止していたとしても、(絶対的には)動いている事になるのかそうでないのか、解らないところなのですが。

電磁作用による信号の伝播

物質内を通過する信号は、電気と磁気の組み合わせとして考える必要があります。
電気がざわめくとその分、磁気側もざわめき、この双方のざわめきから信号を理解する必要があります。
荷電粒子間にギャップがあっても、双方の荷電粒子が動く事で、双方からの磁気側の影響が広がり、それらが影響し合う事で、荷電粒子間のギャップを超えて連絡が果たされ得ます。
この事象は、量子のトンネル効果で起こっている事と同じ系列の物理事象ではないかと考えられます。

意識に関わる信号も電磁作用により伝播

こうした電磁作用における磁気側の様相は、電気の事象を厳密に反映した磁気側の「模様のようなもの」と感覚的には捉えられます。
それは磁気側で成立する周波数のような波の物理量を持つかもしれません。
なぜならばその信号は重ね合わせが求められていると考えられるためです。

意識について考えているので、脳の視点からも考えます。
例えば、受容器から脳内の神経細胞をいくつも経て、その受容した内容が意識に上る場合、少なくともそれら神経細胞の電磁作用の影響も受けたと考えねばなりません。
それでも受容器で捉えられた事象が意識に上るまで残っている事を説明できなければならず、そのためには、神経細胞を伝播した時の電磁作用で生じた磁気側のそれと区別できる形で、受容器の電磁作用で生じた磁気側のそれが残っているような物理事象を、磁気側に想定しなければなりません。
もし重ね合わせで残しておけるのであれば、これを実現できると考えるわけです。

電磁作用による「内容」の保管

ここからは「内容」という言葉を使います。
ここでの「内容」とは、電磁作用が働いている中の磁気側に累積されているであろう意識の元になる物理事象の事です。
(かつて私は、この内容として累積しているものをカプセルと呼称しました)

電気を帯びた原子や分子の同士の関連する数が多く、その関係が複雑であればあるほど電磁作用も多く、構成される磁気側の空間も広がっていると考えられます。
「内容」は、そうした空間の中で、重ね合わさった形で様々、保管されていると考えられます。

信号を伝搬させる電磁作用が、過去から累積されている「内容」と影響してしまう「内容の部分」と影響しない「内容の部分」があると考えられます。
少なくとも「影響しない内容の部分」があるとしなければ、伝搬中に全ての「内容」が失われ、時空間的に離れた場所の何かを意識するなど起こらないでしょう。

もし「内容」を表す波が減衰するとそれは、「内容」の消去という事になると考えられます。
電磁作用におけるこの微細な空間が、どのように表現されるかはわからないため、何がどうして減衰し、増幅するのかも現時点ではわかりません。
(くどいようですが、そもそも波である事を証明する事もできないのですが)

また、脳内の受容器からの信号を連絡する役割を担う神経細胞は、特定の場所に特定の「内容」が蓄えられる(受容したものを分析する分類機のように特化した役割が与えられ、結果その内容に特化して応答する)構造を持ちます。
この特定の「内容」を扱う専門的な神経細胞の定常定期な電磁作用に、その特定の「内容」(かつて受容器から受容された内容)も含まれている(累積されている)と考えられます。
そのように考えなければ、睡眠中に見る夢の経験がどこから来るのか、内言語で発話しているように感じられる音がどこから来るのか、うまく説明できないでしょう。

つまり「内容」は、神経細胞の定常的な活動においても、その中に一定時間、それもかなり長い時間蓄えられるような物理事象である事を認める必要があります。
神経細胞が定常的な代謝を行っている時も、代謝活動などで起こる電磁作用では消去されず、残っていると考えねばなりません。
そしてそれは、神経細胞が発火などの電磁作用を伴うとその位置を開始位置とするよう「内容」が伝播中の信号に共有されると考えねばなりません。

こうした事から「内容」は、化学反応や分子に起こる物理変化の内容を厳密に区別できるくらいの精度を持った波の現象であり、本当にほんの少しの電磁作用の細波の中でも十分に残存し続けるものです。

「内容」に係るイージーな位置とハードな位置

信号を伝播させている媒質(要は神経細胞の発火など)の電磁作用は、伝播中の信号の「内容」に影響を与えているのでしょう。
例えば、内言語という意識は「頭の中あたりで起こっている事」を意識できます。
この脳内の位置づく感覚は、少なくとも神経細胞の活動から「内容」に対して何らか影響したとしなければ、説明がつきません。

少し話を戻します。

磁気が広がる方向と反対方向に動かす事で、その影響を発した電気の状態を「推測」できると説明しました。
「推測」を働かさせ、元の電気の存在を再構成するため、ある程度の量の内容の断片を集める必要があると考えられます。
後で説明を試みますが、この集積はハードな問題を解決するためにも必要な手続きと考えています。

この「推測」に対応する「反対方向に動かす」先にあるものは、何らかの開始点つまり「位置」という事になります。

視覚や聴覚のレンズや耳の構造(蝸牛)は、光や音を集める構造になっています。
こうする事で、位置を特定するための「それ」が、内容に大量に集められる事を期待しています。

ところで、嗅覚や味覚や肌感覚は集め方が異なります。
そもそも集めるという事をしていません。

これらの場合、まず体全体の肌感覚が構成され、体表面の地図が作られる事が先にあります。
これを「体表面地図」と呼ぶことにします。
そしてその後、体表面地図上のどこでこれらが起こったか特定されます。

嗅覚に関しては、鼻腔に吸い込んだ空気が鼻腔に触れる部分もこの地図に組み込まれています。
味覚に関しても、舌の表面部分がこの地図に組み込まれています。
このように体表面地図で位置が分かれば、大量に収集する作業は不要になります。
(体表面のどこで起こっているかわかれば十分で、それ以前どこから来た信号なのかは大した問題ではないという事です)

視覚や聴覚から得られる体外の環境については、体表面の地図とは別扱いではあるものの、体表面の地図と同様、地図になっていると考えられます。
体外の地図の事を「外部地図」と呼ぶ事にします。
外部地図は、体表面地図とは異なり、姿勢や視覚や聴覚からの内容に応じ、また注意すべき内容に応じて、どんどん書き換えられていく地図と考えられます。

外部地図は、体の状態と視覚経路の初段で特徴抽出された内容について、経験的に紐づけた位置関係を参考に、相対的な位置がおおよその距離と方角という形で割り当てられます。
眼球の向きや体の向きを考慮した相対的な違いも組み込まれた位置として、その外部地図は把握されるようになっていると考えられます。

片や、意識される内容には、こうした地図から得られる位置とは別に、より緻密な形状や色などを配置した位置が存在します。
一度目を逸らすと、記憶からはとても引き出しづらいほど多くの位置関係が、そこには含まれています。

こうしてみてくると、内容に付随する位置には、自らの体に与えられた接触の感覚通じて構成される体表面地図の位置もあれば、自らの行動を通じて構成される外部地図の位置もあります。
そしてそれらとは全く異なる、視覚で顕著に感じられる形状や色の微細な位置があると気づけます。

体表面地図や外部地図のような経験から構成されるタイプの、後天的に作られた地図としての位置は、思考でも活用されます。
そしてこれらは、おおよその方角とおおよその距離を認識する神経細胞群により再現されていると考えられます。

これに対し、視覚から届いた景色という形で意識される各対象物の位置は、脳で作られている地図によるものではなさそうです。
そして恐らくこれは、電磁作用の特性として、決定づけられているのではないかと考えます。

前者の位置がイージーな位置の問題であり、後者の位置がハードな位置の問題と考えています。

網膜に届いたもの

ある光源の光は、広がりながら進むものですが、それを目に組み込まれたレンズが収束させます。
網膜上の視細胞に届いた時の光の集まり具合が「内容」として電磁作用の細波に閉じ込められます。
この時点では、磁気側で「推測」するための、波の動きを反対に動かす作用自体は「起こっていない」と考えられます。
レンズを介して集める事は、磁気側の「推測」ではないと考えています。
そこで「推測」は起こらないものの、ここでたくさん集めるほど「推測」の精度は高まると考えられます。

近眼の人は経験されていると思いますが、小さい点を遠くに見る時、点が複数に見えてしまいます。
これは、焦点があっていないため、集められたものを受容する視細胞の位置が複数あるために起きていると考えられます。
磁気側から電気側を推測するときの、逆に辿る時に、受容した神経細胞の位置が複数に散らばっているため、結果的に複数の点として意識されるのだと考えられます。

意識の中でその内容がどう位置づけるか

注意を払うか否かにかかわらず、意識として成り立つハードな位置の問題は解決されているように見えます。
受容器から神経細胞に引き継ぐための「活動電位の細波」=「電磁作用」においても、受容前の電磁波の事象が「進行」した状態が内容に残り続けていると考えています。
そして、ある条件を満たすと「逆進行」へと転じ「推測」され、結果、意識される内容として「電気側」が「推測」されると考えます。
ここでの「推測」に、何をどこに位置付けるべきかというハードな位置の問題に対する「推測」も含まれています。

推測とは何か

一般的な意味での推測とは、全ての出来事が瞬時に片付かない故に(時間軸に伸びた物理事象があるが故に)、ある時点の状態から、過去起きていた事や、未来で起こる事を推定する事と考えています。

推測と観測は、特定の事象における法則を見つける上で、互いに補い合う関係にあると思います。
それは、観測によりいくつかの部分的な事実を得て、そこから大局的な規則を推測し、その推測が正しいか確かめるため、未知の事象にも適用し、予測してみて、どれほどの差で予測できたか確認し、必要に応じて調整し、これらを繰り返し、最終的には「大局的な規則」=「法則の正しさ」を整えていくためです。

推測を正しく有益にするためには、時間的にも空間的にも、より長くより広く観測することが求められます。
ここには、確率として推測する場合も、決定事象として推測する場合もあります。

脳の機能的な学習でも、この観測と推測が繰り返され、洗練化されているようです。

幼い頃はもっぱら観測中心で、あらゆる推測が的確ではありません。
一方で、観測(記憶したもの)に基づいて、常に推測する「仕組み」が脳では働いており、都度、観測結果と照合されて、推測規則が更新されていきます。

こうした推測と推測規則の更新は、特に意識して行われているわけではなく、そのような脳の仕組みがただただ、働いていると思われます。
体の動きに関しては、現状と目的の間を埋める行動の最適化が進み、それは主に小脳が担っているようです。
大局的な思考に関しては、前頭葉中心に行われているとされています。

大局的な推測では「自ら」と「環境」を区別し対比させ、地図(外部地図+体表面地図)に配置し、物理的な移動について推測します。
ここでは単なる推測のみならず「計画」という、推測からの延長された、意思に相当する部分を反映させる事が含まれます。
また、内言語への置き換えを通じて、叙述的に論理的正しさを確認するような、意識に上る思考(こちらも意思を持って組み立てる部分)も含まれます。
余談ですが、単なる推測から創造的思考への移行は、敢えて観測事実に属さない別の事実と紐づけるよう推測の内容を歪ませ、それでも「あり得る範囲」で導いた場合に、生み出されるものではないかと考えます。

いずれにしても、以上に述べてきた推測は、神経細胞と対応づけて説明しようとした時点で、イージーな問題になると考えます。

意識されるものの中でも、ハードな問題を話題にする場合、脳が神経細胞を駆使して行う推測ではなく、電磁作用が細波を構成している中の空間で起こっている累積された内容の未整理の問題、その中でもまずは「位置の問題」を「最大限確定させる」=「推測させる」事から始めるのだろうと考えています。

ちなみにこの説明の流れは、意識を持っている事と、人の思考が高度である事は、切り離して考えれる事でもあると考えます。
思考が緻密になれば、意識できる内容も緻密になるのでしょう。
しかしながら、意識を持っているから高度な思考ができるかというと、そうではないという事です。

意識を考える際に陥る問題

いつの間にかイージーな問題を考えてしまっているという事です。

磁気側から電気側の位置や空間を推測する

推測も所詮は、物理事象ということかもしれません。
そしてここにも、イージーな推測とハードな推測があるのでしょう。
(イージーとか、ハードとか、多用するべきではないかもと思いつつも)

イージーな推測とは、神経細胞群の活動として推測が成立している場合を指しています。
少し前や今の状況を踏まえ、未来の状態を推測するにあたり、神経細胞の活動から成立するものを指します。
同様に、現在の状況を踏まえ、過去の状態を推測するにあたり、神経細胞の活動から成立するものを指します。

イージーな推測は、神経細胞間の接続の度合いに対応づけられます。
そして勾配の問題に置き換えられ、エネルギーの消費や、何らかのコストの変化の問題として捉えられます。
それらの変化が極小となるよう接続の度合いを変化させ、結果的に推測の精度を高められるよう、学習と呼ばれる手続きを通じて調整されます。
この変化が極小の部分が、変分原理に対応します。

ハードな推測とは、電磁作用の空間に累積している「内容」の群れ(様々な電磁作用の内容が重ね合わさった状態のもの)に対し、電気だった頃の状態を時間的に遡り、全ての内容の位置を特定させて、電気だった頃の位置を誤差最小にして配置する事です。
電磁作用上の空間を辿るのですが、おそらく変分原理に則って(最小作用によって)、その位置が特定されると考えます。

このハードな推測は、どのように発動するのでしょう。
ハードな推測のみが単独で発動することはないと考えており、結局のところ、イージーな推測の延長で、ハードな推測も発動されると考えます。
電気の動きに伴って磁気の変化が定まるようにです。

そこでは、経てきた神経細胞群の位置について、正確に逆に辿っていけるくらい高い精度として、内容に累積されている前提が求められています。
さらに、視覚や聴覚から「収集した内容」については、受容器以前に生成された内容ではありますが「磁気側に残っているもの」であり、これにつても、時間を遡る対象となり「位置が特定されていく」=「位置が推測されていく」と考えます。

磁気側に累積される「内容」=「位置を特定するための何かと質感の組み合わせ」については、実際の物理事象としてどう実現されているのか、その存在をどう確かめるのか、現時点では全くイメージできていないため、重大な問題です。

イージーとハードの位置の問題の解決に向けた連動

イージーな位置の問題を解決するため、イージーな推測が行われ、これを受けて、ハードな位置の問題が磁気側の事象として解決されて、ハードな推測が行われると考えています。
これを説明していきます。

神経細胞の活動電位も、電磁作用を伴います。
また、多数の神経細胞が関わり合って、推測を働かせる脳の一部を構成します。

脳の中の推測の仕組みは絶えず働いています。
すごく前の記憶に関わる神経細胞から、たった今の観測を反映した神経細胞までの、すべての神経細胞の状態や繋がり方に基づき、次の状態を準備するための神経細胞が働きます。

こうした推測は、変化し続ける今の外界に対し、適応的に振る舞うために必要であり、次の行動を決めるために必要でもあるのですが、必ずしも直後に活用するとは限らず、今後起こるであろう事に対して想定しつつ、対処の仕方を思案するような、思考に関わる場合も活用されます。

こうした推測では、おおよそ次のような順番で行われます。
これらは順番のように記しているものの、それぞれの部分は常に最新の状態に置き換わるよう並行して働いている事を補足します。

自分に関する位置が準備されます。
これは意識的ではないかもしれません。
ここには自分の体の内部からくる内容もあれば、体の姿勢に関する内容もあります。
体表面地図も関わっています。
意識的になる事があるとすれば、直前まで行っていた自らの行動に、自らの体に注意を払う必要があるような何かが起こっていた時です。

自分を取り巻く外界が準備されます。
外部地図も関わってきます。
ここでは注意が機能していることが多そうですが、すべての外界に注意を払うことは難しいです。
多くの場合、直前まで行っていた自らの行動で着目していた外界の対象に焦点が当てられていますが、自らに危険を及ぼしかねない別の事情を察知したらば、焦点を向ける対象がそれに切り替わります。

記憶に基づいて、望むべき結果を準備します。
すぐに対処か、ゆっくり対処かはありますが、いずれにしても、当面目標とすべき対象が定められます。

望むべき結果を自らの今の状態の延長として達成されるため、注意を払っているものとの対象との距離を確認します。

対象との距離に応じた接近方法、あるいは回避方法を選択します。
過去に経験のあるものは選択肢がありますが、経験がない場合は、時間の短長あるものの、試行錯誤が行われます。

このように大凡、自分の確認、外界の確認、望むべき結果の選択、行動の選択(あるいは思考=行動の計画)が手続きされ、様々な位置や距離や、ある位置から別の位置への移動の手段が推測という形で検討されます。
(これらの全ては意識的である必要がありません)

こうした位置の推測が、脳の神経細胞の電気的事象として見ている場合、これはいわゆる、イージーな位置の推定となります。

この中でも、自分を表す神経細胞群の活動の電磁作用では、少し過去や今までの自分の姿勢や視線の向きを踏まえ、少し先の自分の体の姿勢や視線の向きについて推測していると考えられます。
この自分を表すものの位置の集合は、イージーとハードのいずれの位置に関しても重なり、噛み合う部分が(神経細胞への累積から)準備できています。
この性質により、イージーであれハードであれ、何を中心として全ての相対的な位置を定めるべきかが決められるようになります。
これがハード側の推測を駆動させるきっかけになると考えます。

そして自分自身を含むイージーな位置の推測が(イージーな推測)が神経細胞により行われると、自分や環境の未来あるいは過去に至るまでの関連する事象の位置が仮決めされます。
そして同時に、磁気側に溜まっていた各内容位置や位置の推移(ハードな位置)が「時間を遡る」形で(ハードな推論として)仮決めされます。
この時に、恐らく何らかの物理的性質に基づいた変分原理が見出され、何らかのエネルギー的負担(あるいは内容を識別する種類?)が最小限に抑えられ、一方で位置の確定においては最大限になると考えられます。
この、磁気側に累積された内容に対し、変分原理に従いつつ、過去に巻き戻どされ、『累積していた「内容」の「位置」と「質感」が整理され』=『ハードな位置が推測され』た結果が、意識と考えます。

位置以外のハードな問題

その位置でなぜ、その質感の意識になるのかという問題について考えます。
受容した瞬間の電磁作用の内容の違いがその位置で意識される質感の違いを反映していると思われます。
何故その質感になるのかという意味では「それを受容するよう生物の進化上選択されたから」という言い方になってしまいます。

どんな物質の組み合わせによる電磁作用が痛みを表し、どんな電磁作用の組み合わせが赤い色を表すのか、恐らくそれは、その質感を決める物理事象、その内容を信号として伝播させる物理事象、推測を働かせるための物理事象など、関連する物理事象の組み合わせの特性として、決められていると思われます。
つまり何らかの反応を起こす物質の組み合わせによって、意識される質感の可能性が様々あり得るという事であり、それらは前もってどういった意識として捉えられるのかはわからない、実際に感じてみるまでわからない、という事ではないかと考えます。

関係する物質の組み合わせや、化学反応(とは限らない何らかの電磁作用が伴う物質同士反応)の組み合わせから、どのように感じられるかを、ある程度の範囲では推測できるかもしれませんが、実際に感じてみない事には、いずれにせよ納得されないでしょう。

それよりも問題は、なぜそれが生きていく上で選択されたかという事だと思います。
そしてそれはどのように選択されたのかという問題でもあります。

ここには潜在的に、電磁作用と遺伝子の関係として、大きな課題があると感じています。
つまり、遺伝子を以て、体の形のみならず、意識される質感をも「推測」する(意識できる)物理事象やモデルが存在し得るのか否かというものです。
そして仮にもそういった仕組みが存在しているのであれば、進化はこの推測を活用し、思いの外効率的に行われている可能性が出てきます。
この問題は、意識の問題が解決された後に、取り組まれる問題になるかもしれません。

究極の仮想機械

電磁作用の内容から、そのまま意識の質感へ変換できないのは、実際に感じなければその質感を確認できないという問題だからです。
もし、その質感の原因となる実際の物質や物理事象を使わず、何でも再現できる電磁作用をひとつの特別な機械で用意できたら、その機械を使って我々はあらゆる質感の意識経験について事前に確認できるようになるでしょう。
これは究極の仮想現実を生み出せる機械となりそうです。

影響を受けたと思われる情報源

(修正中:2023年8月20日現在)
これらを思考するにあたり、主として影響を受けたであろう情報源をここに記します。
おおよそ影響を受けた時系列になっています(正確ではありません)。
名前/著作物(訳者/出版社/初版年)の順に表記します。
敬称略につき、監修省略につき、ご容赦ください。

ダニエル・キイス/アルジャーノンに花束を(訳:小尾芙佐/早川書房/1989年)
塚原仲晃(編)、松本修文、板東武彦、田中啓治、三宅誠、有働正夫/脳の情報処理(朝倉書店/1984年)
松本修文(編)、澤口俊之、上田哲男、中垣俊之、酒井正樹、松村道一、津田一郎、郡司ペギオ幸夫、保江邦夫、西田豊明、大森隆司、喜多村直、廣瀬通考/脳と心のヴイオフィジクス(共立出版株式会社/1997年)
松本元、大津展之/神経細胞が行う情報処理とそのメカニズム(培風館/1991年)
村上富士夫/脳はこうしてつくられる(羊土社/1998年)
石浦章一/遺伝子でわかる脳と神経(羊土社/1992年)
アントニオ・R・ダマシオ/生存する脳(訳:田中三彦/講談社/2000年)
ジョン・C・エックルス/脳の進化(訳:伊藤正男/東京大学出版会/1990年)
V.S.ラマチャンドラン、サンドラ・ブレイクスリー:脳のなかの幽霊(角川書店/1999年)
ベンジャミン・リベット/マインド・タイム:脳と意識の時間(訳:下条信輔、安納令奈/岩波書店/2005年)
茂木健一郎/脳と仮想(新潮社/2004年)
池谷裕二/進化しすぎた脳(朝日出版社/2004年)
クリストフ・コッホ/意識の探究(訳:土谷尚嗣、金井良太/岩波書店/2006年)
金谷健一/これなら分かる応用数学教室(共立出版/2003年)
山本貴光、吉川浩満/心脳問題(朝日出版社/2004年)
デービット・J・チャーマーズ/意識する心(訳:林一/白楊社/2001年)
アントニオ・R・ダマシオ/無意識の脳 自己意識の脳 (訳:田中三彦/講談社/2003年)
山田規畝子/壊れた脳 生存する知(講談社/2004年)
ジョンジョー・マクファデン/量子進化(訳:十河和代、十河誠治/共立出版/2003年)
茂木健一郎/脳とクオリア(日経サイエンス社/1997年)
藤井直敬/つながる脳(NTT出版/2009年)
スーザン・ブラックモア/意識(訳:信原幸弘、井筒晴香、西堤優/岩波書店/2010年)
金井良太/個性のわかる脳科学(岩波書店/2010年)
リタ・カーター/新・脳と心の地形図(訳:藤井留美/2012年)
藤井直敬/拡張する脳(新潮社/2013年)
西田幾多郎/善の研究(岩波書店/1991年(初版は弘道館/1911年らしい))
クリストフ・コッホ/意識をめぐる冒険(訳:土谷尚嗣、小畑史哉/岩波書店/2014年)
マルチェッロ・マッスィミーニ、ジュリオ・トノーニ/意識はいつ生まれるのか:脳の謎に挑む統合情報理論(訳:花本知子/亜紀書房/2015年)
ジム・アル=カリーリ、ジョンジョー・マクファデン/量子力学で生命の謎を解く(訳:水谷淳/SB Creative/2015年)
渡辺正峰/脳の意識 機械の意識(中公新書/2017年)
乾敏郎、阪口豊/自由エネルギー原理入門(岩波書店/2021年)
土谷尚嗣/クオリアはどこからくるのか?(岩波書店/2021年)
ジェフ・ホーキンス/脳は世界をどう見ているのか(訳:大田直子/2022年)
高橋康/量子電磁力学を学ぶための電磁気学入門(講談社/2022年電子書籍(書籍は1994年))

まだ書けていない影響を受けた書物があると思っております。
情報が揃い次第、更新いたします。

会合で話を聞いたり、雑誌の掲載記事などから影響を受けたと思われる方々は以下の通りです。
名前/所属の順に表記します。
敬称略につき、ご容赦ください。

養老孟司/東京大学(名誉教授)
池上高志/東京大学
金井良太/株式会社アラヤ(CEO)(YouTube:@ConsciousnessClubTokyo)
土谷尚嗣/モナシュ大学(YouTube:@neuralbasisofconsciousness)
吉田正俊/北海道大学(Web:pooneilの脳科学論文コメント http://pooneil.sakura.ne.jp/readme.php)
森田真生/独立研究者(Web:公式サイト https://choreographlife.jp/)
谷村省吾/名古屋大学

まだ書けていない影響を受けた人物があると思っております。
思い出し次第、更新いたします。

Web検索では以下をよく参照しています。
敬称略につき、ご容赦ください。

Wikipedia/多数の協力者(Web:https://ja.wikipedia.org/)
脳科学辞典/多数の学者(Web:https://bsd.neuroinf.jp/)
EMANの物理学/広江克彦(Web:https://eman-physics.net/)

ここに紹介しきれていない、Webの情報源もあるでしょう。
思い出し次第、更新いたします。

また、脳や意識関係の会合に出向いて聴講などしていることもあるため、そこからヒントを得ている場合もあります。

初版:2023年8月14日
修正:2023年8月15日(図の修正)
修正:2023年8月17日(影響を受けたと思われる情報源に追記)
修正:2023年8月20日(影響を受けたと思われる情報源に追記および修正)
修正:2023年8月27日(図の修正ほか)
修正:2023年9月3日(英訳時の訂正の反映)
修正:2023年9月10日(英訳時の訂正の反映)
修正:2023年9月18日(英訳時の訂正の反映)


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