わたしたちの「篠宮くん」
篠宮くんが私の目の前に現れたとき───正確にいうと、私に対面するために7メートルほど向こうから近づいてきた彼が私の視界の端に入ってきたとき、私は咄嗟にそれまで「残りの人生もうどうでもいいや、見えてれば」と自暴自棄に掛けていたブルーライトカットの不穏な色付きメガネをばさりと放り捨てた。
そして、「はじめまして」と挨拶を交わした。にこやかに。感じ良く。
あのとき、私は裸眼で彼の顔はぼやけて全く見えていなかったのだけれど、私にはわかった。
パソコンやスマートフォンから発され眼