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情けない夜

セブンイレブンのカップのチョコミントアイスが好きなのだが、昨日食べていたら手元が狂ってチョコクッキーのクランチを部屋にぶちまけてしまった。クランチをアイスに練り込まずにチョコでコーティングされたアイスの表面に置くことによりサクサク感を保つ仕様が裏目に出た形だ。

しばらく呆然としてから片付け始めたが、コロコロクリーナーで回収しようと思ってもなかなかうまくいかなかった。粒が大きい上に凸凹がある為クリーナーに接する表面積が小さく、思うようにくっつかないのだ。一瞬くっついてはポロポロ落ち、を繰り返し、関係ない埃や陰毛ばかりが付着する。それはそれで綺麗にすべきなのだが、クランチの掃除が一向に進まずイライラしてしまった。

こんなときは掃除機を使えばいいのだけど、我が家の掃除機はここ何年も壊れたまま放置してある。一人暮らしの部屋の掃除はクイックルワイパーとコロコロクリーナーで基本的に事足りるのだ。その状況にあぐらをかき掃除機の存在を軽んじていたツケが急に回ってきた。こんなことなら修理するなり買い直すなりしておけばよかった。ああ、今ここに掃除機がいてくれたら。失ったものの大きさを今更知る。

仕方なく最終的には指で摘んでまとめていくという地道な方法をとることにした。一粒一粒チョコクッキーのかけらを拾い集めていると、なんとも情けない気分になってくる。夜中に僕は一体何をやっているんだ。そんなわけはないし失礼な話なのだが、試合に敗れて甲子園の砂を集めている高校球児はこんな感じなのかな、とか思ったりした。

あらかた片付いたころにはアイスはすっかり柔らかくなってしまっていた。ハーゲンダッツのCMで柴咲コウが推奨していた柔らかさを遥かに超えてしまっている。僕はほとんどクランチがなくなった溶けかけのチョコミントアイスを食べた。一苦労したあとに食べたからいつも以上に美味しく感じる、ということはなく、単純にコンディションが悪化した分魅力も減少していた。

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