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ハッピーターン・ギャンブル

イベント等の控室にお菓子が用意されていることがある。いわゆるケータリングというやつで、大きな皿にカントリーマアムとホームパイ、ハッピーターンあたりがまとめて置かれているのが定番だ。どれも定番だけあって安定の美味しさなのだが、その中でハッピーターンだけは若干のギャンブル要素がある。というのも、ハッピーターンはフィルムを巻いて捻っただけの簡易な包装であるため、たまに湿気てしまっていることがあるのだ。

長時間置かれていることも多いので仕方ないのだが、齧ったハッピーターンがしなっとしていたときの精神的ダメージはけっこう大きい。僕くらいの底辺タレントなら問題ないが、大御所タレントや、なんかよくわからないけど大御所のスタンスのタレントが食べたらヘソを曲げてしまうのではないかと心配になる。逆にカリッとしていると「おっ!こいつは縁起がいいぞ!」とテンションが上がる。そういう意味で、ケータリングのハッピーターンはちょっとした運試し要素のあるお菓子なのである。

そんなハッピーターンが今日の現場の控え室にも置いてあった。果たしてこのハッピーターンは湿気ているのかカリカリなのか。控え室が屋外のテントなので湿度の影響を受けている可能性もある。決していい環境とは言い難いが、果たして……?

恐る恐る手に取り、祈るような気持ちで齧った。「カリッ」という軽快な音が口の中に響く。美味しい。全く湿気ていない。よかった、これは間違いなくベストな状態のハッピーターンだ。

これならばきっとイベントはうまくいくに違いない。なんかよくわからないけど大御所のスタンスのタレントが来たとしても安心である。僕はほっと胸を撫で下ろし、続け様にカントリーマアムとハイチュウとラムネを食べた。

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