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得した気分

年末に大掃除らしい大掃除をやらなかった罪悪感から年明け早々申し訳程度に部屋の片付けをして、着なくなった服をまとめて中古衣料店に持ち込んだ。

こういうのはメルカリとかで売った方がお金にはなるのだろうが、写真を撮ってやり取りをして配送して……という手間を考えると嫌になってしまって手を出せていない。こうして順調に時代から取り残され、携帯ショップで理不尽にキレているタイプの老人へと近付いていくのだ。先に言っときます。ご迷惑をおかけします。

一時間ほど待って査定結果を出してもらった。買い取り額は決して高くなかったが、片付けついでに小遣いが手に入ると思えば悪くない。正月を過ぎて安くなった餅とか干し柿とか買えるし。店員さんにこれでお願いしますと伝えると、「これ上着のポケットに入ってましたよ」と何か渡された。

それは、数年前に失くしたと思っていた家の鍵のついたキーホルダーだった。

今でもはっきり覚えている。夜仕事から帰って家の前で鍵がないと気づき、どこを探しても見つからずに結局鍵の110番を呼んだのだ。どこかに置き忘れるか落とすかしたのだろうと諦めていたのだが、まさか上着のポケットに入れていたとは。上着のポケットなんて、鍵が入っている場所候補の上位も上位である。絶対そのときも探しているはずなのに、どういうわけだ。

絶対そんなわけはないのだが、現金に加えて鍵とキーホルダーも手に入ったことで、なんだか得した気分になった。買い取り額は鍵の110番にかかった費用に到底及んでいないのだが、こういうのは気分なのだ。ラッキーラッキー。気分気分。

ただ、僕と同じタイミングで本田翼がInstagramのストーリーズで鍵を失くしたと言っているのを見て勝手ながら親近感を感じていたのだが、それが失われてしまったのだけはちょっと残念だ。

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