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岡田准一手から靄ディナーショー

岡田准一さんが広げた手のひらから、白い靄(もや)のようなものが立ち昇っているポスターを見かけた。恐らく何かしらの広告なのだろうが、何の広告なのかはわからなかった。もしかしたら「岡田准一手から靄ディナーショー」の宣伝の可能性もあるが、そんな愉快なイベントが話題にならないわけはないので、恐らく違うと思われる。

このポスターの撮影時に岡田准一さんは、スタッフから「手から靄が立ち昇りますんで」と、絵コンテを見せられながら説明を受けたのだろう。そして、それを元に自分の中でイメージを膨らませ、ポーズを決めながらその状況に見合う表情を作ったに違いない。

その瞬間、これまで幾多のステージで培ってきた表現力や、映画やドラマで演じた様々な役柄、バラエティ番組で磨いたセンスなど、全ての経験が渾然一体となり形成されている今の“岡田准一”の中から、新たに“手のひらから靄が立ち昇っている岡田准一”が生み出されたのである。

ポスターの中の岡田准一さんの表情は自信に満ち溢れ、これ以外は考えられない、と思うほど完璧なものだった。表現者“岡田准一”ここにあり、といった感じだ。なるほどこれがプロの仕事なのか。見ていると、もしかしたら現場では実際に手のひらから靄が立ち昇ったのではないか?という気さえしてくる。そのくらいの凄みがあった。

手のひらから靄が立ち昇るなど、言ってみれば出鱈目だ。普通に考えて現実には起こりようがない。だが、岡田准一さんの眼差しは、そんな出鱈目を自分だけは信じきるんだ、という強い意志を感じさせた。本気で信じれば手のひらから靄を立ち昇らせることだって可能だと、心からそう思っている者の目だ。

それは、長年エンターテインメントの最前線で活躍し続けている人間だけが到達できる領域なのかもしれない。手のひらから立ち昇る靄は、岡田准一さんだからこそ見せることができる“夢”なのである。

そんな靄を見ていると、この世にあり得ないことなどないように思えてくる。「岡田准一手から靄ディナーショー」だって、いつの日か実現するような気がしてくるのだ。


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