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銃火器が入っていれば

先日福岡空港の保安検査所を利用したところ、スタッフ同士が

「吉野ヶ里遺跡行ったことあります?」
「多分、小学生のときに……なんか勾玉みたいなやつ作りますよね?」
「勾玉?」
「なんか、こういう……(ジェスチャー)」
「ああ〜あったかも」

みたいな会話をしていた。

意外だった。僕の中で保安検査所のスタッフというのは数ある職種の中でも一位二位を争うほどピリついているイメージがあるのだ。悪い言い方をすると、全員がうっすらキレながら業務をこなしている感じである。それがこんな他愛ない会話をしているなんて、珍しいこともあるものだ。

おそらく、検査所の利用客が少なくて退屈していたのだろう。吉野ヶ里遺跡に行った経験の有無というのは、知ったところでどうにもならない情報だ。返答がどっちだろうと特に何の感想もないし、その人の印象は全く変わらない。それをわざわざ確認し合うほど、彼らは暇を持て余していたのである。

殺気立った雰囲気のピーク時はもちろんのこと、暇な時間は暇な時間で相応の苦労があるに違いない。そんな中、利用客の安全のために奮闘する彼らには本当に頭が下がる思いだ。

僕のカバンの中に銃火器の一つでも入っていれば、彼らの退屈を多少は紛らわすことができたのだが。

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