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帰り道アマチュア狂言師

帰りの特急で食べようと、駅のコンビニでファミチキと缶チューハイを買った。レジ袋も買った。あったかいものと冷たいものが一緒になるのが嫌で、チューハイだけ袋に入れてもらってファミチキは紙袋の状態で手持ちすることにした。自分はあったかいファミチキがぬるくなるのと冷たいチューハイがぬるくなるののどっちがより嫌なのだろう、と考えて、多分チューハイがぬるくなる方だろうと結論付けた。ファミチキは冷めても美味いが、ぬるいチューハイはまずい。

改札を抜けてホームに出た。次第にファミチキの紙袋を指先でつまんでいるのが辛くなってきて、チューハイをカバンの中に入れ、レジ袋の中にファミチキを移動させた。これで断然持つのが楽になったが、カバンが揺れてチューハイが振られるのが心配で今度は歩き方が慎重になった。やや摺り足気味で、見ようによっては「アマチュア狂言師かな?」と思われたかもしれない。アマの狂言師がいるのかは知らないが。持つのが楽になった分と歩くのが難しくなった分でちょうどプラマイゼロくらいの感覚だった。世の中よくできている。


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