「ちょうどいい」って難しい

家業を継ぐということが、単に業務の引き継ぎだけではない、ということが分かりだした。

業務の引き継ぎだけなら大した量ではない。
全くの未経験ではないし、夫も私も同じ業界で生きてきた。
なんなら、最新のツールを使えるし、全国に仲間もいて多様性があることも知っている。

だから、私たちなりにやれると思っていた。

しかし、親世代が40年間やってきたことを否定するようなやり方だと受け取られる。
今の仕事と両立させたいと願ったら「本腰が入っていない」と言われたりする。
「お前たちが思っているほど暇じゃないんだ、住んでやってみないとわからん!」と言われる。

いや、、、だってお父さんお母さん、よく昼から出かけて遊んでますやん。
義理妹のところに揃って孫の子守に行きますやん。
私が律儀に毎日顔を出したら「今日はもういいし」ってちょっと迷惑そうなお顔されますやん。
何がそんなに忙しいとおっしゃるの?


・・・なんて、私の立場で言えるはずもなく、「はーい、そうですか!じゃあ帰りまーす」と笑って自宅に引き上げてきて、必死で自分の仕事を片付けている。


顔を出さないと嫌味を言われ、律儀にしたらそんなに来なくていいと言われる。
「ちょうどいいくらい」ってなんて難しいんだろう。

義両親との距離感やコミュニケーションこそが、とても厄介でとても難しいということに、改めて気付かされる。

家業を継ぐことの難しさの本丸は、これだったのか、と痛感している。

知人には、家族の協力もあって今の仕事と家業を両立させているケースがいくつもある。

だからそれを目指していたのだけれど。
残念ながら、我が家では無理のようだ。

でも、それは夫や私の仕事の能力のなさのせいではない。

うちでは、両立することを賛成されない。
協力してもらえない。
ただその事実によって、私たちは人生を軌道修正しなければならない。

不自由だ、と、正直思う。

のんびりやってきた時代のツケを、全部負わされる気すらする。

せめて、自分たちの子どもには、そういう思いはさせたくないなぁ、と庭の草むしりをしながら思うのだった。


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