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right to disconnect=繋がらない権利 | 教科書に出てこないニュース英語 《オーストラリア》

イギリスの公共放送BBCのウェブサイトで、2024年8月26日に配信されたレポート記事の見出しで使われていました。

Australians get 'right to disconnect' after hours
オーストラリア人、労働時間外の「つながらない権利」を獲得

BBC


◾️'disconnect'を辞書で引くと

disconnect [dìskənékt] 社会人必須レベル
━━[動]
1
他〈機械などの〉連結[結合]部をはずす,〈部品などを〉(本体などから)取りはずす,〈車両などを〉(…から)切り離す;自(…から)取れる,切り離れる
2他〈ケーブルなどの〉接続をはずす,(差込口などから)抜く
2a他〈器具などの〉電源を切る
2b他〔通例受身形で〕〈人の〉通話[通信]状態を切断する;他〔しばしば受身形で〕自《コンピュ》〈人を[が]〉(インターネットから)切断する[される]
2c他〈人(の家)の〉電気[ガス,水道,電話]を止める;〈電気・ガスなどの〉供給を(料金未払いで)止める
3自(人などとの)関係[連絡,交流]を断つ
━━[名]〔a [the] ~〕1(電話・インターネットなどの)切断(状態),不通
2(人・社会などからの)断絶(状態)

goo辞書- 小学館 プログレッシブ英和中辞典

'after hours'の'hours'は、単独で
[ working hours: 労働時間 ]や [ business hours: 営業時間 ]
を表すことがあります。

ですので、文脈から判断して
2b 人が(インターネットや電話による仕事上の連絡から)切断される
が、ここでの意味です。

語の成り立ちは、dis-(否定を表す)+connect(つながる)です。

◾️オーストラリアでは罰金付きの「つながらない権利」が法制化された。

日本でも話題としては数年前から上がっていた問題です。

記事によると新法の骨子は…

・従業員は、業務時間外の通信を無視することを選ぶことができ、無視しても上司からの処罰を恐れる必要がない。

・雇用主が業務時間外に労働者に連絡することを禁止するものではない。
・従業員が拒否する権利を持ち、その拒否が不合理でない限り返信しなくても問題ないとしている。
・このルールの下では、雇用主と従業員は自ら紛争を解決しようとすることを求められる。
・解決ができない場合、オーストラリアの公正労働委員会(FWC)が介入することができる。
・FWCはその後、雇用主に対して業務時間外の連絡を停止するよう命じることができる。また、従業員の拒否が不合理であると判断された場合、返信するよう命じることもできる。
・FWCの命令に従わない場合、従業員には最大19,000豪ドル(12,897ドル;9,762ポンド)、企業には最大94,000豪ドルの罰金が科される可能性がある。

前掲の記事

記事は後段で、労働者の異なる意見を紹介しています。

<歓迎の意見>
労働者を代表する組織、オーストラリア労働組合評議会
「この法律は、労働者が不合理な業務時間外の連絡を拒否する権利を与え、より良いワークライフバランスを実現することを可能にする」

広告業界の労働者、レイチェル・アブデルヌール
「こういった法律があることは本当に重要だと思います。私たちは一日中電話やメールに接続しており、スイッチを切るのが非常に難しいと思います」

<影響はないとの意見>
金融業界の労働者、デイビッド・ブレナン
「これは素晴らしいアイデアだと思います。広がってほしいと思いますが、正直なところ、私たちの業界には広がらないと思います。私たちは高給を受けているので、期待される成果を出さなければならないと感じており、24時間体制で成果を出さなければならないと考えています。」

前掲の記事

     ********

20カ国以上、主にヨーロッパとラテンアメリカの国々には、同様の規則があるそうです。

携帯電話、そしてその後の、
メール、LINEやチャットのような、
一斉手軽に部下にデータを含む指示を流し、回答を返信させることができるツール
が登場したことによる問題ですね。

     ********

私の元いた職場でも、内部ルールを決めていました。
勤務時間外であっても緊急性のある情報は流しても良いが、返信は義務としない
…といった内容でした。

金融業界の労働者、デイビッド・ブレナン氏のように、「自分の成果を高めるためには24時間対応も望むところだ」という立場の人はともかく、

急いで対応しなくてはならない事態は起こり得ますし、早くわかっていたほうが対応の準備ができてありがたいということもあります。

労働時間外に対応を求めることの問題点を理解した上で、緊急時にどうするのかについてチーム内で合意形成するのが理想であるように思います。

しかし、力関係のためにそうもいかない場合があるので、このような法制化がなされているのでしょう。

日本の皆さんの職場ではどうされていますか?








































































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