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cross red lines=越えてはならない一線を越える | 教科書に出てこないニュース英語 《UAEのニュースから》


UAE(アラブ主張国連合)のメディア The Nationalの電子版で2024年7月31日に配信された記事の見出しで使われていました。

Beirut residents fear escalation after Israeli attack 'crosses red lines'
イスラエルの攻撃が「越えてはならない一線を越え」、(レバノンの首都)ベイルートの住民は、状況のさらなる段階的悪化を恐れている

The National, 下記URLのページ


'red line'を辞書で引くと

goo辞書では、英和・和英辞典にはなく、国語辞典に記載されていました。

レッド‐ライン【red line】
アイスホッケーのリンクを中央で二分する赤い線。ホッケーリンクのセンターライン。
越えてはならない一線。交渉などで、譲れない一線。「交渉に際し—を設ける」「—を踏み越える」

goo辞書

しかし、

ケンブリッジのウェブ版辞書では

a limit beyond which someone's behaviour is no longer acceptable:
誰かの行動がもはや受け入れられなくなる限界

とあり、アイスホッケーのことは書かれていません。もはや2番目の一般的な意味の方だけが市民権を得ているようです。


「超えてはならない一線」を超える行為とは?

今回の記事によると

・レバノンの首都ベイルート郊外でのイスラエルのドローン攻撃の現場は水曜日も封鎖され、救助隊は前夜に攻撃を受けた住宅ビルの瓦礫の中の捜索を継続中。

・人口密集地域であるハーレト・フリークの市内でミサイルが三発発射され、少なくとも4人が死亡し、数十人が負傷した。

・イスラエルの攻撃は、標的であったヒズボラの上級司令官フアド・シュクル氏が滞在していたビルの一部を破壊し、近くの他の建物にも損害を与えた。

・ヒズボラはシュクル氏が攻撃時にビルにいたことを確認しましたが、彼が死亡したかどうかについては確認していない。一方、イスラエルは彼が死亡したと主張している。

・この攻撃で、2人の女性と2人の子供が死亡した。子供たちはそれぞれ6歳と10歳。

・火曜日の攻撃は、10月8日にヒズボラとイスラエル軍が国境で攻撃を交わし始めて以来、イスラエルがベイルートを標的にした2回目の攻撃であり、民間人が死亡した初めてのケースである。

・インタビューに応じた人々は対立の激化についての懸念を次のように示した。
ー「彼らはレッドラインを越えた。ダヒエを狙うとは思っていなかった。今は『目には目を』という状態だ。」
ー「ヒズボラが適切な対応を決定するのを待っているが、大きな対応を期待している。」
ー「今は静かだが、このテロ的なエスカレーションの後には大きな対立が予想される。民間人を殺し、負傷させるのは正当化できない。」

・(イスラエルに接する)南レバノンの住民は、10月以降、広範な避難と家屋や農地の被害を受けており、2000年までイスラエルが占領していた地域には長い戦争の歴史がある。

・ヒズボラがイスラエルと戦った最後の戦争は2006年で、レバノンでは主に民間人を含む少なくとも1200人、イスラエルでは主に兵士を含む158人が死亡した。ベイルートの南部地域は特にひどい被害を受けた。

上記記事本文を要約

つまり、
これまでの国境付近での攻撃ではなく、首都近郊の人口密集地にミサイル攻撃をして、民間人の死者も出したことを「一線を超えた」と住民が表現し、それを見出しにも使っているのでした。

          *************
この記事の攻撃の前の7月27日には、
イスラエルが占領しているゴラン高原のサッカー場で、ロケット弾が着弾し、子どもら12人が死亡したと、イスラエルメディアが報道。イスラエル軍はレバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラが攻撃したと主張し、28日未明にヒズボラの拠点7カ所を空爆したと発表していた。(ー毎日新聞電子版7月28日ーhttps://mainichi.jp/articles/20240728/k00/00m/030/023000cによる)

中東における報復の繰り返しの歴史は長く、どちらが悪いと簡単には言えない性質のものだ。この連鎖、終わりにする方法はどこにあるのだろうか。

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