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pager=ポケットベル | 教科書に出てこないニュース英語 《UAE・持ち込み禁止》

インドの国営放送 DD NEWSのウェブサイトで、2024年10月5日に配信された記事の見出しで使われていました。

DUBAI’S EMIRATES AIRLINES BANS PAGERS, WALKIE-TALKIES AFTER LEBANON ATTACKS
ドバイのエミレーツ航空、レバノンへの攻撃を受け、ポケットベルとトランシーバーを禁止

出典↓

https://ddnews.gov.in/en/dubais-emirates-airlines-bans-pagers-walkie-talkies-after-lebanon-attacks/

内容は、タイトル画像ですでに予想された方もおられるでしょう。日本の新聞にも同様の記事が載っていました。

まず、カタカナ英語と元の英単語の違いを簡単に見てみましょう。


◾️'pager'がなぜ 'ポケベル' なのか

もとになる語 page を辞書で引くと意外な意味が書いてありました。

page2 [péidʒ]
━━[名]
1
(ホテルなどの)ページボーイ,給仕,ボーイ;((米))連邦議会の議員連絡係(高校生);花嫁の付添人
1a呼び出しアナウンス,ページボーイ[ポケベル]による呼び出し
2((やや古))召し使い,従者;(中世の)騎士見習

━━[動]
1
他〈人を〉(名前を呼んで)呼び出す
2他自(…に)ボーイとして仕える;(…を)(お客として)世話する

語源[原義は「少年」]

goo辞書 小学館 プログレッシブ英和中辞典

「呼び出し係のボーイ」が原義でした。
そこから「呼び出す」→「機械で呼び出す」と意味が広がったようです。

「ポケベル」という名称の由来については、次の説明が見つかりました。

「ポケットベル」とか「ポケベル」と呼ばれるが、「無線呼出しサービス」が正式な呼称となっている。ポケットベルおよびその短縮系であるポケベルの由来は、不明とのことだ。サービス開始当初は呼び出し音だけであったことから、ポケットに入れて持ち歩くベルということから自然とポケットベルあるいはポケベルと呼ばれるようになったと言われている。

https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0703/26/news007_2.html

最初は呼び出しのベルが鳴るだけだったんですね。

◾️walkie-talkieは、英語のtransceiverとは違う

…と、アメリカ育ちの人がブログに書いているのを見つけました。↓

そもそも“transceiver”とは「送信機」を意味する“transmitter”と「受信機」を意味する“receiver”が合さった単語で、文字通り送信機と受信機が一緒になった無線機です。

“transceiver”はパトカーやタクシーなどに設置されていたり机に置かれている無線機の事です。

電話で持ち運びが出来る携帯電話のように持ち運び出来る無線機が“walkie-talkie”(“walk”しつつ“talk”出来る)なのです。

https://ameblo.jp/tricolorlanguage/entry-12122119946.html

無線送受信器が英語のtransceiver、
そのうちの携帯できるものが英語でwalkie-talkie、
これを日本では「トランシーバー」と呼んでいる、ということでした。



◾️ポケベル等の禁止の具体的な内容は?

記事の内容を見てみましょう。

[リード文]
ドバイのエミレーツ航空は、先月のレバノンのヒズボラに対する攻撃で通信機器が爆発したことを受け、乗客がポケットベルやトランシーバーを機内に持ち込むことを禁止した。

[本文]
「ドバイを発着または経由するすべての乗客は、ポケベルとトランシーバーを受託手荷物または機内持ち込み手荷物として持ち込むことを禁止される」と、同航空は金曜日にウェブサイトで声明を発表した。また、禁止されている物品が発見された場合、ドバイ警察によりセキュリティ強化の一環として没収されると付け加えた。

9月の同時多発テロでは、ヒズボラのポケットベル数千個と無線機数百台が爆発した。

中東最大の航空会社であるエミレーツ航空はまた、イラクとイランへのフライトを火曜日まで中断し、ヨルダンへのサービスは日曜日に再開すると発表した。

レバノンへのフライトは、ベイルートの空港付近での攻撃を含む、イランを支持するヒズボラに対するイスラエルの攻撃がエスカレートしているため、10月15日まで停止したままとなる。

緊張が高まる中、他の航空会社数社もベイルートや他の地域の空港へのフライトを停止している。
(ロイター)

上記記事を翻訳(DeepLによる翻訳を修正)

預け荷物も持ち込み荷物も不可、見つかれば没収という内容でした。

他の記事によれば、先日の爆発も9月17日と18日の2波に分かれていたとのことなので、今回の規制は今後も仕込まれた爆発物が起動する可能性があると考えたためと思われます。


爆発したポケベルやトランシーバーは、戦闘員から医療従事者までさまざまな関係者数千人に配布されていたようです。武器と違い常に携帯することが前提となる通信機器のように、見えない形で生活に入り込む兵器は、これまでの物とはまた違った恐ろしさがあります。

あるテレビの番組で池上彰氏が、通知音がなって5秒後に作動するようになっていた、手にとって通信文を読もうとしているタイミングで爆発しその人間の戦闘能力を失わせるように、と解説していました。

また、たまたま着信したポケベルを父親に渡そうとしていた子どもが亡くなったと報じるニュースもありました。地域や家庭に持ち帰るものなのでこういうことも当然あるでしょう。


【参考資料】















































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