anti-trafficking efforts=人身売買対策 | 教科書に出てこないニュース英語 《フィジーのニュースから》
(タイトル画像はThe European Commissionのサイトhttps://home-affairs.ec.europa.eu/whats-new/communication-campaigns/end-human-trafficking-break-invisible-chain_enより)
フィジーの国営放送the Fiji Broadcasting Corporation(FBC)の電子版で2024年7月31日に配信された記事の見出しで使われていました。
'trafficking'を辞書で引くと
goo辞書ではtrafficの項目に派生語としてだけ記載されていました。
そこで、派生元であるtrafficの記載を見てみます。
中・高の教科書で出てくる意味は、名詞の1, 1a, 2。教科書の題材によっては3が高校で出てくるかもしれません。
この記事では-ing形になっているので、意味としては動詞です。
そこで動詞の部分を見ると、
「不法な売買や交渉をする」という意味しかありません。
そして、これに対応する名詞の意味が
「2a(不法な物品などの)取引,密売買≪in≫」です。
traffic in arms 兵器の不法取引という用例が書かれていました。
ニュースの記事の本文では、trafficking in personと書かれています。
「人間の中の交通」ではなくて「人間の不法取引」です。
私は、学校設定科目で模擬国連を行う授業を担当している時に初めてこの語に出会いました。そしてこの意外な意味があるのを知りました。
'anti-' は、「反」「対」「抗」「…でない」「非」を表す接頭辞です。「アンチ巨人軍」のように日本語にも取り入れられています。’アンタイ’と発音されることもあります。
それで、anti-trafficking efforts=「人身売買対策の取り組み」となります。
amplifyは、「増幅する」という意味なので、
「マスコミは人身売買対策の取り組みを強化する力があるとある人が述べた」
というのがこの記事の見出しの内容です。
人身売買が存在し、対策が進行中
今回の記事によると
・この発言をしたのはアジア財団の太平洋諸島地域代表であるサンドラ・クラウシャー氏
・氏によると、太平洋諸島諸国は、かつての「通過点」から「人身取引の目的地」へと変貌を遂げている。 《※ 私にはこの内実はよくわかりませんでした。》
・発言があったのは、前日の「人身取引に対する世界の日(World Day against Trafficking in Person)」を記念するタラノア・セッション(→後注)において。
・その理由は、「メディアが、深層調査を通じて人身取引の運営を暴露してきた。その結果、取引業者の逮捕や被害者の救出につながった」ため。
・また、メディアが被害者やサバイバーが自らの経験を共有するための場を提供しており、これが結果的に人身取引に対する集団的な行動を促進しているとも語っている。
・進行中のPacific Rise Counter Trafficking in Person Programmeという5年間のプログラムがある。これは、フィジーを含む5つの太平洋諸島諸国で行われている、USAID(アメリカ合衆国 国際開発庁)の主要な人身取引対策の活動で、この活動にもメディアのメンバーが参加している。
…とのことでした。
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日本では、人身売買/人身取引とその対策についてのニュースはなぜかほとんど目にしません。
しかし、国連の移民部門や犯罪部門の課題には挙げられているし、タイトル画像を使わせてもらったEuropean Commission(ヨーロッパ委員会)も取り組みを進行しています。EU内でも、アメリカ国内でも生じているようです。また、ウクライナ人は、女性と子どもだけで国外に逃げているため、狙われやすいとのことでした。
↓United Nations Office on Drugs and Crime(国連薬物犯罪事務所)のサイト「人身取引と移民密輸」
↓EU委員会のサイト「「UNODC(国連薬物犯罪事務所)とEU(欧州連合)は、児童の人身取引を終わらせるための新たな取り組みを呼びかけています。」
↓アメリカ法務省のサイト「人身取引」
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