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地域と身内の連携で長い見守り期間を乗り切る

一人暮らしも、高齢になると見守りが必要になってきます。民間の見守りサービスは便利ですが、かなり高額になるものも。健康なうちから利用すると、利用期間が長くなり、料金がかさみます。地域の見守りサービスを上手に使えば、節約が期待できるでしょう。また、認知機能が落ちてきたときのため、誰に財産管理を依頼するか決めておくと安心。任意後見制度の利用も検討しましょう。


警備員が駆けつける見守りサービスは月額2,000~5,000円

万一の時は警備員が駆けつけてくれる通報型見守りサービスの費用は、毎月2000円台から5000円台にもなります。高齢の一人暮らしが心配とはいえ、丸5年使えば12万円から30万円がかかってしまいます。これは、けっこうな負担です。
 
ただ、子世代が遠方に住んでいてすぐに駆けつけられない場合や、本人の見守りだけでなく盗難防止のためのセキュリティー対策を求めている場合は、通報型のサービスが有効でしょう。

子世代などに通知が届く見守りサービスは数百円台から

警備員ではなく、子世代が駆けつけることを想定した見守りサービスの場合はいかがでしょうか。
 
センサー型の見守りサービスは、冷蔵庫のドアや電気ポット、電球などの生活用品にセンサーを設置し、一定期間動きがないなどの異常を検知したら子世代などの設定先に通知が届きます。
 
センサーの多くはレンタル型で、月々数百円台から1000円台が主流。通報型よりも手軽に利用することができます。
 
ただ、設置場所に気をつけないと、意味をなさなくなってしまうため要注意です。確実に毎日使うもの、通る場所にセンサーを設置する必要があります。センサーが「一定時間、人が通らない」と異常を検知したため子どもが駆けつけたものの、親は旅行中だったという失敗談も。親子で相談し、有効に活用できるよう工夫しなければなりません。

地域で利用できる見守りサービスとは?

それぞれの地域で利用できる見守りサービスがあります。電話や訪問による安否確認のほか、認知症の徘徊者発見目的のサービスや、民間業者と連携した取り組みも見られます。安価に利用できることが多いため、お住まいの地域にどんなサービスがあるか調べてみてはいかがでしょうか。

安否確認サービス

それぞれの自治体の社会福祉協議会などが、独自の見守りサービスを行っています。電話による安否確認、地域住民の訪問による安否確認、高齢者が参加できるサロン活動など、自治体によって工夫が見られます。
なお、ライトや人感センサーといった通知型見守りサービスの月額利用料を自治体が負担する例もあります。
 
参考:一人暮らしの高齢者に対する見守り活動に関する調査(総務省)

認知症の方向けのサービス

外出通知をしてくれる機械を貸し出したり、またボランティアのスマートフォンや建物に設置された感知器と徘徊者が接近することで位置情報をキャッチできるシステムを利用できたり。徘徊防止に役立ちます。
 
参考:金沢市認知症高齢者地域見守りネットワーク事業

民間業者と連携した見守りサービス

お弁当の宅配サービスや新聞配達店が、自治体と連携し見守りサービスを行っている例が多くみられます。商品のお届けと同時に、家族の様子をうかがってくれるものです。宅配サービスは直接、家族の顔を見て安否確認してくれますし、新聞配達であれば郵便受けに郵便物が溜まっていないかどうか、さりげなくチェックしてくれます。
もしも異常を察知したら、親族や自治体に連絡を入れてくれる仕組みです。
 
参考:地域見守り活動(生活協同組合)

民間の見守りサービスを使う方法もある

自治体のサービスでは行き届かないところがあると感じたら、民間のサービスを利用することで補完できる例があります。安否確認から、買い物や病院への付き添い、炊事洗濯などの家事の手伝いなどを行ってくれるサービスを利用すると、より安心でしょう。
 
なお、見守りサービスの中には、見守りが生じた時期から、介護が始まるとき、もしものとき、そして死後の手続きまでサポートしてくれるものもあります。見守りが必要になると、次に心配になるのが「介護が始まったらどうしよう」、そして「葬儀や相続の手続きをどうしよう」。
 
見守りから見送り、そして相続まで一括相談できるサービスへの登録を検討するのも一案です。
 
参考:

認知症になったら財産管理は誰がする?

一人暮らしでなくても、認知症になったなら見守りの必要性はぐっと増します。認知症になると、本人も家族も困るのが財産の管理方法です。判断能力の衰えた本人が訪問販売に応じて高額な商品を買ってしまう、どこかで買い物をしたらしく散歩から帰ってくると財布が空っぽ……などといったトラブルが発生する恐れがあります。
 
認知機能が衰えたら誰に財布を任せるか、あらかじめ決めておけると安心です。多くの場合、家族の中でも一緒に暮らしている人や、子世代の中でもより頻繁に親に会える人が管理を任されることになるでしょう。
 
ただ、子世代は親の財布の管理はできても、名義人である親に成り代わって不動産の売買などができるわけではありません。子世代が親の代理で財産を管理できるよう、対策する必要があります。

任意後見制度や家族信託で自分の権利を守り、家族の負担も減る

判断能力があるうちに「もし自分の判断能力が衰えたらこの人に財産管理を任せる」と契約を結んでおきたい。そんなときに使えるのが、「任意後見制度」と「家族信託」の2つです。

任意後見制度

任意後見制度とは、判断能力があるうちに、自分の代わりにしてもらいたいことを任せる人(任意後見人)を選んでおける制度です。財布の管理から、重要な契約の代理までさまざまな権限を与えることが可能です。本人の身上監護をする人を選任することもできます。
任意後見制度を利用する際には、公正証書を作成しておき、本人の判断能力が落ちてきたら家庭裁判所に対して任意後見監督人の専任を申し立てます。
本人の判断能力が落ちてきたら使えない制度なので注意しましょう。
 
参考:任意後見制度とは(手続き流れ、費用)(厚生労働省)

家族信託

家族信託とは、あらかじめ指定した親族や第三者などに、判断能力が衰えたとき財産管理や処分を委託できるものです。任意後見制度とは違い身上監護人などの選定はできないため、財産管理を目的として契約するのに適しています。
家族信託の契約方法は自由ですが、家族間のトラブル防止のためにも公正証書を作成しておくのがおすすめです。また、家族信託をコーディネートするコンサルタントもいます。
 
任意後見制度や家族信託は、本人の判断能力が低下してからでは後見人や受託者を選任できません。早めの対応で、いざ認知症になったとき家族を困らせずに済みます。あくまで子世代のためにと、家族に話を持ちかけてみてはいかがでしょうか。

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